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文盲のばあさん

先日の新聞コラムに、江戸時代は文字を読めない人が多くて、絵で暦を作る藩があったらしいことが枕に書かれ、その一例として、「入梅」の項では、盗賊が馬の背から荷を奪うさまを描き、「荷奪い(にうばい)」入梅にかけているといった事例が紹介されてあった。
コラムは、梅雨時の雨の降り方が、犯罪か暴力装置に見えておかしくない近年の気象状況から各所での豪雨被害に目を転じ、防災と防犯は似てきたとして、防災意識を喚起して結んでいる。


ここでの本題は枕。つまり、江戸時代は文盲が多かったというところ。

俺のばあさんは明治40年代の生まれ。平成も半ばを迎える頃、90余歳で鬼籍に入った。
子供の頃は、共働き家庭であったので、いつもばあさんに面倒をみてもらっていた。ある時、俺が小学校低学年の頃だろうか、お袋が働いていた病院の先生の弟が県議会議員選挙に出るということで、家族の1票たりとも無駄にはするなということで、ばあさんも投票に行かねばというになり、ばあさんはその候補者の名字のみの書き方を俺に習った。広告紙の裏側を使い、何度も何度もその名字を書いていた記憶。今から思えば、ばあさんは字が書けなかったんだろう。いわゆる文盲ってヤツだったんだな。
江戸時代もさることながら、明治末期の生まれで、昭和を生きた人の中にもうちのばあさんのような文盲は相当数いたんだろな。

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