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デジタルな月光

 星空の下で見て聞いて感じている事は、意外と大事な事だったりする。

 小さな頃星空よりも眩しかった街の商店街の看板や輝きは、少しずつ輝きを失って閉まったシャッターが並ぶ街へと姿を変えた。
 大人になった私は買物をしに商店街ではなく、大型ショッピングモールへ自動車で行くと、去年まであったテナントが抜けていて、ムシ歯の抜けた様な空間だけが存在している。
 先月はまた1つテナントが抜けて、ムシ歯だらけの様に広がる…、早く歯医者に行かないと歯が無くなるよ〜。
 

 買物を終えてセルフレジで無言で精算を携帯電話で“ピッ”と済まし、ポイントが付くのを一人喜ぶ…。
 自動車にガソリン補給しようと思うと、、近くにあったスタンドはもはや営業してなくて、ガソリンが少ない自動車でスタンドを探してドライブするスタンド難民にいつの間にかなってしまった…。

 そんなドライブの道すがら見かける道路沿いに建ち並ぶ家々は、昔見た時より色褪せて“子供の飛び出し注意”の看板が朽ちて、子供達の声すら聞こえない…。
 そんな町を通りながら、町外れのスタンドへ辿り着き、給油は“セルフ給油”になっていて、給油しなから近くの小学校は建物だけ真新しく輝いていて、まるで可愛らしい小鳥のいない鳥カゴの様な儚さを感じる。

 ガソリンスタンドを後にし、家路へ向かう途中のコンビニで、“喫煙はあなたの健康を害す危険性を高めます”と書かれてあるタバコを手にしてレジへ行くと、タイからの留学生が額に汗して働いていて、私が「タバコ、プリーズ!!」なんてヘンテコ英語で話しかけると、流暢な日本語で留学生が「こちらで、宜しいですか?」と、この日始めて会話したのは留学生だった事に気付き「ありがとう!」と…。
 その彼が輝いて見えたのは気のせいだろうか…?
 
 僕は漆黒の夜空に変貌した街にある自宅へ帰り「“アレクサ”」と呟く…。
 目を覚ますと通学路沿いの自宅の前を、子供達がいろんな会話をしながら通う姿を窓ガラス越しに見ると、陽だまりの温かさにつつまれる。

 働く場所さえ無くなる、こんなデジタルオートマチックな時代の月光は冷たく眩しいくらいに輝く…。

 追伸
 太陽の様に、熱く輝いて……………………!

 
  ……………………… 終わり……………………
 
 
 





 
 
 


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