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『光る君へ』第十話『月夜の陰謀』のネタバレを含む感想

あっさり書いてしまった一話から三話くらいの感想記事に比べて、四話あたりから記述が長くなってるので、情報を簡潔にまとめて個人用備忘録にしつつも感想記事にもなる構造にしたいなーと、前回はドラマ中に発生した事項をまとめてから、後で細か目の感想を書くスタイルでやってみました
今回もそれでやってみます
例によってネタバレ配慮はまったくしておらず、あったことをそのまま書く記事になっておりますので、閲覧にはご注意ください

① 晴明より右大臣に献策があり、六月二十八日に歳星しゅくせいが二十八宿の氐宿ていしゅくを侵す日で、どの者にとっても善き日であり、丑の刻から寅の刻が右大臣にとっての吉刻なので、この間に何としてでも花山天皇を連れ出して出家させることを勧められる
この辺の星詠みや陰陽道のあれこれは難しい

② 右大臣の息子たち、道隆、道兼、道長、そして正妻が産んだ嫡男ではなく、いわゆる外腹の子である道綱まで集められて六月二十八日の計画の確認
道隆と道綱は、天皇の殿舎より剣璽(三種の神器)を持ち出して、新たに天皇に即位させる東宮の御座所である梅壺へ運ぶ
道兼は花山天皇を密かに内裏より連れ出して寺社に案内し、その場ですぐに出家させる
道長は事が成ったら関白に、新しい天皇の即位を伝令する
道綱は普段三兄弟と同列には扱われていないので、明らかに戸惑っているが、父の頼みをやり遂げようと奮い立っている
しかし父の右大臣は、誰かに見咎められたらお前が手を下せ(嫡男の道隆には殺らせるな)と命じる
「人の命を奪うことは賎しきもののすることだ」と第七話で口に出していた事を思い返すと、つまりそういうこと、はっきり嫡男と妾の息子との順列をつけている

③ 花山天皇は腹心の藤原義懐にたびたび子を作るよう促されており、腹立ち紛れに遠ざけてしまう
「あいつらにも嫌われてしまったな…」と心細そうにする花山天皇、普通の男の子のようて哀れ
そんな彼を励まして、自分も一緒に出家すると申し出る道兼、腹黒いが遣り手ではある

④ また月を眺めながらまひろの事を考えてる道長、花山天皇を退位させる陰謀の役割が軽いのが不満かと父の右大臣に訪ねられて、そういう訳ではない、と言葉を濁す(まひろの事ばっかり考えてる)
右大臣は、この陰謀が失敗したら道長だけは何も知らなかったと言い繕うよう伝える 道長には優しく甘い
道長と道綱の扱いがはっきり違うことに、道長は特に言及はしないが、それはきっと子供を産まれで差別することはこの社会において当たり前だったから、優しい道長も違和感を持てないのだろう

⑤ 琵琶を弾くまひろ、針仕事をしているいとさん
父はこのところ“高倉の女”の元へ通いつめらしい
琵琶の音色で「悲しいことがあったのですか」とまひろを気遣ういとさん、まひろと二人の会話のシーンはこれまでになかったので新鮮
父が“高倉の女”の元から戻らず、大学に行っているまひろの弟がどこかの家へ婿入りしたら、いとさんは行く宛が無くなるので、ここに置いて欲しいと言うが、まひろはもちろん居てもいいし、弟の婿入りに付いていって変わらず世話をすればいいんじゃない? と提案する
この当時の侍女や下人の働き口の変化ってすごく曖昧で流動的だったのを感じる しかしまひろも、いとさんが居ないと困るのではないか、
それともまひろは一人でも意外に家事を含む生活が出来るんだろうか

⑥ 気になる“高倉の女”のところへ無鉄砲にも偵察に出かけるまひろとお供の乙丸、高倉の女の住まいは貧しく荒れた庵のような家、死に瀕した女を父は看病をしていた
零落した女を見捨てず世話をしていた父に感じ入ったまひろは、言ってくれたら看病を手伝うのに、自分に出来ることはないか、と熱を込めて訴えるのでした
“困った状況下にある女君を見捨てない”という『源氏物語』における光源氏の属性の萌芽だと感じる

⑦ まひろと乙丸が帰宅すると家の前で百舌彦が待っており、道長のまひろへの文を渡してくる
乙丸とまひろと百舌彦が並んでるとちょっと面白い
道長がまひろへ贈ったのは古今和歌集の恋歌
まひろに会いたい、恋心を抑えられない、お前も会いたいと言ってくれたら自分も生きながらえるものを…
という情熱的な和歌だが、まひろはそれに対して道長を諌めて励ますかのような漢詩を贈るのだった
男の恋歌に漢詩で返す! その内容といい、まひろでなければ、後の紫式部でなければ、出てこないエピソードで大変素晴らしい
またそのまひろの書いた筆跡はあくまでも、女性のものらしい、なよやかさがあるのが素敵
漢詩の漢字が変換で出ないので以下自分用メモです

⑧ 恋歌を贈ってるのに硬い漢詩で返ってきちゃうのに困惑した道長は、同僚の藤原行成に相談する
すると、漢詩を贈るのは“志”を詩に託しているということ、貴方に伝えたい“心”より“志”があるのでは、と慧眼の行成どのだった

⑨ 道長は梅壺の姉詮子のところへ向かう途中の回廊で、麗しい姫君とすれ違う
その姫君は、詮子が新たに手を結ぼうとしている源氏の家系、源高明の姫君の明子だった
左大臣源家の一の姫倫子と明子、ともに道長が妻として詮子と新たな天皇となる詮子の息子とで勢力を固めようと画策する姉詮子に、強めに拒絶してしまう道長
しかし詮子は「いずれ分かるであろう、己の宿命が」と意に介さないのだった
そして視聴者は、道長が実際に倫子も明子も妻としているのを知っているのだ

⑩ 我私欲相見君
 (我もまた君に逢いまみえんと欲す)
道長とまひろは再びあの六条の廃院で逢う 今度はちゃんと逢瀬として…
二人でどこか遠くの国に行こうと言う道長に
嬉しい、しかし道長は政をすべきではないのかと必死に訴えるまひろ
しかしまひろと逢うために生まれてきたのだと耳を貸さない道長
二人の言い合いがあまりにも、あまりにも、恋情が通じ合っているのに、互いに引き下がらないものだから、すごいラブシーンだよ…と震える心地になる🌟
そして“事後”の描写もしっかりあったので、そうか、結ばれたのか…社会的には添い遂げられない二人なのにな…これで良かったのか…

⑪ 出家する事を義懐どもに言っておいた方がいいかと道兼に相談する花山天皇、慌てて止める道兼
その後も忘れ物をしたり、女官に見咎められたりと大変そう 女装している花山天皇と逢瀬のふりをしてやり過ごす🌟
無事に牛車に到着する
 
⑫ 丑の一刻、道隆と道綱は剣璽を奪いに立つ
神器ってそんなに気軽に持ち出せるもんなのか疑問だが、普通に女官が持ってきてくれて持ち出してた
あらかじめ懐柔していたのか?
道綱、移動中に転倒しかかる
「あいすみませぬ!」🌟

⑬ 道長、関白邸に知らせに走る
晴明邸においても、従者の須麻流すまるが晴明に刻を伝える🌟

⑭ 花山天皇は剃髪し出家する それと同時に道兼は花山院の元を去る

⑮ 明くる朝、右大臣藤原兼家が、新たな天皇の摂政となることを宣言し、蔵人庁(天皇の側近)の長に藤原道兼が就任することも伝えられる
藤原実資がそれに異を唱えるが、決定事項は覆らない

⑯ 予告、まひろが右大臣家と左大臣家に突撃して何か訴えるらしきシーンがあった 倫子さまも手厳しい顔と表情、こわいが楽しみ

さて、いつもこの『光る君へ』感想記事でご紹介させて頂いてる、ひろうすさんの絵巻ですが、今週も描いて下さってます!

いたずらがき、なんて謙遜していらっしゃいますが、今回も麗しく可愛らしく、しかし独特でもあるピックアップです
この記事内で🌟のマークが付いている箇所が、ひろうすさんの描かれたシーンになりますので、この長い記事は置いといて、ひろうすさんちにはぜひともお出かけください!
花山天皇と道兼の、ひきつった顔と真顔の対比の再現が絶品なんですよ…
そして各キャラの表情もそうですが、まとう衣装と質感の再現も素敵です
こういう、ご本人の個性が輝いているけど、完璧な再現でもある、というのが真の絵巻作家さんであることよ…!! とため息が出るのでした

ところで、前回の九話では、なぜこんな事件が起きるのだろう…という謎のひとごろしが発生して凄くモヤモヤする事件がありました
ころされた直秀とその仲間たちが実は生きているのではないか、死んだふりをしていたのではないか、と九話の画像を見返し、生きている直秀たちとその仲間たちの人数をかぞえて死体になった彼等との数を比べたんですが、やはり間違いなく全員ころされたようでした…
今回の話では、その事件がまひろと道長の絆や互いへの想いをより強める結果になったし、まひろが漢文に唱われる民草を慈しむ“仁”の思想を己の中に確固たるものとした契機になりました
しかし、嫌な書き方をしますが
直秀たちって、市井の中で生きる人たちであり、権力者への反発心を持つ者たちであり、ある意味まひろと道長の同士であったはず
そして、直秀ってまひろに恋心を抱いているのか、道長を慕っているのか、どちらともとれるところが、三角関係のような、でも三人にしかない絆が深いような、そんな存在であるように演出がされてました
そんな彼を二人の絆や思想を高めるための装置として殺すのは、そりゃ悪手じゃろと言わざるを得ない
直秀が生きていてくれて、これからもずっと、二人と付かず離れずの不思議な、この三人にしかない、このドラマにしかない特別な関係性でいてほしかったと思うのです
直秀たちが死んだことで起きた二人の変化は、それは直秀たちの死でないと出来ませんか? いやそんな事はない
貧者に行き届かぬ政治、生まれにより定まり覆せない身分や経済の格差への憤り、それらは直秀らが死ななくてもいくらでも二人の目の前にあることです
二人で遺体を埋葬することで、ある意味呪いのように二人の絆が深まったのだとしても、まひろの母が道長の兄の道兼に惨殺された事実と、それをまひろが一生許さない、呪うと決意し、それを許した道長という構図が以前ありました(っていう感想を以前書きました)から、直秀でそれを重ねなくとも充分だと考えます
ただ、大河ドラマは約五十回で作られるはずですから、現在はまだ五分の一なので、ドラマそのものの構造に難癖を付けるのは早計なので、もちろん今後も鑑賞は続けますが、今後文句の多い感想記事になっちゃったら、あいすみませぬ
文句があっても、その文句がなるべく楽しく読んで頂ける内容になるよう務めますので、よろしければまた見てやって下さい

ところで、まひろの仁を説く政治を道長に求める姿勢って、小野不由美さんの『十二国記』の麒麟を思い出しました
政治をするとなると、まひろの理想って、そりゃあそう出来たらいいけど、実際には権力を掴んで維持するために闘争に明け暮れたり、政敵を排除するために汚い手を使ったりしなくちゃいけないことだらけのはずです
でもそれを乗り越えて、二人が手を取り合えて、理想の政治を成して国家を作れたらどんなに良いだろうか

二人が異世界転生して『十二国記』の王と麒麟にならないかな
そうすれば、まひろという伴侶の麒麟を傍らに置いて王としてめっちゃ頑張る道長と、その博学才媛ぶりを遺憾無く発揮して道長を支えて国を正すまひろが見れるのにな…なんて、無茶な妄想をしてしまったのでした

そう言えば、同じく『十二国記』を読んでいる友人と以前、王と麒麟、なるならどちらが良いか? という議論をしたことがあるのですが
麒麟は指令集めが凄く楽しそうでやってみたいが、肉が食えなくなるのはしんどいので王がいい、しかし蓬莱に行けないのはしんどいので、蓬莱の書籍を買ってきてくれる優しい麒麟にいてほしい、と政治とは全く関係ない回答をしてしまったので、そうじゃねーだろ、と突っ込まれたのでした
最後に今回の視聴メモです

今回は少なめです

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