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コントラクト・キラー(1990🇫🇮)

原題: I HIRED A CONTRACT KILLER(1990、フィンランド=スウェーデン、79分)
●脚本・監督:アキ・カウリスマキ
●出演:ジャン=ピエール・レオ、マージ・クラーク、ケネス・コリー、アンジェラ・ウォルシュ、セルジュ・レジアニ、ジョー・ストラマー

ジャン=ピエール・レオ主演で、舞台はロンドンというカウリスマキ初期作品の中でも少し異色な一本。

とは言え薄暗い空の感じとかくすんだ街の景色とか、画面を構成する要素はまぎれもなくカウリスマキ印といったところ。

レオの朴訥とした感じ、劇中でもフランス人設定ということでやや訛りのある英語の喋りなど、イイ味出してる。

15年働いていた水道局が民主化になるということでリストラの対象になるアンリ(レオ)だが、サインするよう言われると動揺とか逡巡とか一切見せずにアッサリサインをしてしまう。

仕事が終わるとこれまたアッサリと自殺の準備を進める。

クビになった。じゃあ死ぬかってまるでギャグの速さ。

首吊りに失敗し、ガス中毒に挑むもガス会社のスト騒ぎで助かってしまう。

どうしても死ねないので、殺し屋を雇って自分を殺してもらおうとする・・・というようなあらすじ。

恋愛要素が入ってきたり、強盗殺人の冤罪をかけられたり、余命わずかの殺し屋との対決とか、いくらでもエンターテインメントに昇華できる要素があるのにそんな兆しをすべて無視して素通りしていくこのカウリスマキ文体がここちよい。

途中でジョー・ストラマーが出てくるが、ここも当然ながら何のあおりも入れずにサラッと登場する。

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