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読書感想文

私は黄色いカーディガンの女が気になって仕方がない。
今村夏子著「むらさきのスカートの女」を読み終えて思ったことだった。
「あ、小説の始まりと一緒だ!」
なるほど、この物語は繰り返していくんだ、そう思った。

黄色いカーディガンの女の行動で印象に残ったのが2つある。
1つは、むらさきのスカートの女と所長の不倫デートを尾行している時に無銭飲食をしたこと。もう1つは、むらさきのスカートの女を追い、新幹線に乗る資金確保のために券売機の前で優しそうな女性に声を掛け、100円をもらっていったことだ。そして、1回声掛けの人選ミスをしていた。
笑うところではないが、なんだか笑ってしまう。
全て変な行動(犯罪…)なのにとてもコミカルに読めた。まるでお笑い芸人のコントを見ているかのように感じ、私は笑ってしまった。
この他にも黄色いカーディガンの女の不思議な行動はたくさんある。彼女について気になることばかりだった。

私は病院の待合室で、この読書感想文を考えていた。
病院じゃなくて、もし、公園のベンチにいたら。
私は子どもたちに肩をポンっと叩かれ、キャッキャッと笑われるのだろうか。そんな風に思わせてくれて長い長い待ち時間が楽しく感じられた。


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