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ショートショート

昔々、死にたがりの男が居たそうな。
その男は周囲に「いつか死ぬ」「さっさと死にたい」等と言いながらその日を過ごしていた。
そんなある日、酒場でいつも通りの口上をしていると「それならあそこに行けばいい」と○○を、客に勧められた。そこは自身の本心と願いが一致して初めて願いが叶う場所でもあった。
地元の人間が勧めなかったのはそういう理由があったからだ。男もそう言う風に理解していた。だから言っていたのだろう
ただ、今回勧めた客はこの酒場に初めて来た客でありつつ、地元に帰ってきた奴だった。
「今から行くなら○○円。明日生きていたなら更に○○○○円だ!」
赤ら顔で言う客。それに対して盛り上がる酒場の客。
客は男のじめじめした言葉を、口から発せられるじめじめした言葉を聞きたくなかったかもしれない。
うんざりするほどに思っていたのだろう。

次の日、その時。その村に居た人間は全員死亡した。

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