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【ヒプマイ】CROSS A LINE簓パートから読み取るTragic Comedyの人生観に関する一考察

秋めいてまいりましたね。
いかがお過ごしですか。

遅ればせながら、昨年末ごろからハマり出したヒプノシスマイク。
楽曲やドラパ、Live DVDを中心に拝聴し始め、ステやコミカライズはまだなのですがこれが沼というものなんですね。鼻まで浸かっています。
既にかなりの曲が出揃った状態での遅すぎる参戦でしたが、とりわけなぜかCROSS A LINEが刺さってしまい、9thライブのライブビューイングでは冒頭DJプレイでかかっただけでハンカチが出動してしまいました。涙腺直結CROSS A LINE!

やわらかなホーンセクションに軽快なギターが耳に心地よく、空港・飛行機と旅立ちを思わせるMV、ストーリーを追っていなくても「これはなにかがひと段落したに違いない」「エンディングテーマでは?」と思わせる歌詞と曲想。
大まかなお話の流れやキャラの性格、関係性を理解した後に聴くと、こだわり抜かれたリリックがさらに感慨深い。
特に個別パートは、それぞれがそれぞれの場所に帰って、いつも通りの日常の情景のなかに、少し変化があったりなかったり。短いフレーズにもかかわらず、印象的なワードは外さず、しかも韻まで踏んでいてお洒落にまとまっている。本当に巧みのひとことに尽きる。(おまけにキャラ間の匂わせまである。すごい。)

anthemのリリックもそうだなと思ったけど、ハッキリ言わずともここまで言えばみんなわかるはず、と信頼されている感じさえする言葉選びが非常に好きなんです。
anthemはこんな子、こんな職業だよ、というところだったけど、CROSS A LINEはさらに踏み込んで、どこでなにしてて、こう思っているよ、というところまで投げかけられている。そしてもう、キャラを少し知っていればありありとその情景が浮かぶようになっている。
なんか、たぶん心情と情景の表し方が俳句とかに近い。しらんけど。ゆえに、個々人で見えるものが少しずつ違うと思うけど、その差も面白い。
特に簓のパートは、明るく飄々とした印象の彼から垣間見える案外割り切った人生観とそれを支えるオオサカマインドが巧く表現されているなぁと思った。

強炭酸の泡沫(うたかた)
超淡々と弾け飛ぶお宝だから
気抜けた
思い出し笑い
良し悪しは無い
笑って締めたい

ご案内の通り、白膠木簓は売れっ子漫才師。
いまはピンでどうのこうのだが本人は漫才師を名乗っている。司会からロケから劇場からなんでもマルチにこなす彼は、戦いが終わってすぐオオサカディビジョンを中心としたいつもの巡業に戻ったことだろう。
簓の目の前に強炭酸があるのなら、それはクリームソーダのことである。限られたフレーズ、わかりきっていることは書く必要はない。夏井先生もそう言っていた。そして、泡沫は水面に浮かぶ泡のこと。

喫茶店。目線を落として眺めるクリームソーダのグラスの中。
淡々と絶え間なく、生まれては消える泡の流れを止めることは誰にもできない。
幼少期の記憶、相方との別れ、相棒との行き違い。幾度も出会いと別れを繰り返した簓は、永遠などないことも、他人は変えられないということも知っている。
どうしようもできない大きな流れ。眺めるしかできない刺激的な泡の想い出ひとつひとつ。
いずれは全て消えてしまうものだけれど、忘れもしないその全てが簓にとっては宝物で。いろいろあったし、随分時間が経ってしまったなぁと、ふと我にかえり、糸目を更に細めてクスッと一笑したかもしれない。(「気抜けた」がダブルミーニングになってる!!)
しかし、たとえそうだったとしても、それが良いとか、悪いとかではない。物事はそういうもの。そのへんは憂うことなく、まぁ、しゃあないやん?と割り切り、酒でも飲んで笑って終われたらそれで良し、と。まさにtragic comedy。
とにかく笑えれば、最後に笑えれば。
今日一日の終わりに、ハハハと笑えれば。
おや、なんだか違う歌声が聞こえてくるような?そんな締めで、バトンは次の乱数に引き継がれる。
たった4小節でこれ。これが18人分。ひとことでmagic。

そういえば簓の座右の銘?は「俺の人生を変えられるのは俺だけや  誰も俺のためにそんなことやってくれへん」だけど、彼にしてはちょっとネガティブな言い回しだし、自分に言い聞かせている感じもあるし。
笑いで他人を変えることはできなかった。群衆をどれだけ笑わせても、一番近くにいる大事な人は、いつも笑顔とは程遠い顔をして自分から離れていってしまう……。でも、だからこそ、せめて自分自身だけは。という、絶望の中でなんとかギリギリ前を向けた一節にも見えてくる。

と、ここまで書いといてなんだけど、強炭酸がビールやチューハイで、いつもの飲みの途中にふとセンチメンタルに引き摺り込まれ、思わずふふっと笑ったのを「なんやお前、もう酔うたんか」と元相方に小突かれる簓が見えたという人もいるだろう。(個人的には18人とも周りにメンバーがいない状態だと思ってるので一例として。ダイスも野津山さんの動きから「聞いてる?」と問いかけている相手は電話の先にいるとおもってる)
絶妙に説明しすぎないリリックがもたらす、余白のある幻たちを18人分も楽しめる。そんな楽曲、CROSS A LINE。
あなたの推しは、どこでなにをしていますか?

他にも、兄たちは選ばないペスカトーレ、あんまり全体曲で出して来ないはずの銃兎の心のやらかい部分、一二三が歌舞伎町に「戻る」と言っているところなど「うわああ…!!」となるフレーズがたくさん散りばめられてるのでたまに聴くとまた色んな発見があって楽しかったり。
ディビ毎3人のお声の重なりの違いも必聴。
公式YouTubeにはノーチケットライブで披露されたスタジオ LIVEバージョンもあるのでそちらもあわせてどうぞ。(ダイマ)
お隣さんが歌ってるときの、嬉しそうなほかの演者さんたちのかわいいことかわいいこと…!!

以上、言葉とキャラクターを大切にしてくれていることがギュンギュン伝わる、CROSS A LINEのリリックが好きすぎるというお話〜簓編〜でした。
ヒプマイはいいぞ!
みんな、10th LIVE当たりますように!

PS ナゴヤの解像度が低いのか、唯一、獄パートだけは後半がよくわからないので有識者の方にきいてみたい……
無反応ではなく未反応なのはなぜか?誰に対しての「どう伝えたって」なのか……??ガキどもは「嵐に耐えた奴ら」なのか「嵐に耐えた奴ら以外」なのか……🤔

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