中露に侵される日本領土(2)

中露に侵される日本領土(2)
“シーチン”修一 2.0

【雀庵の「大戦序章」133/通算565 2023/2/4/土】マキャベリ曰く「自由はあるが秩序のない国、自由はないが秩序のある国、どちらがマシか? 後者である」。

国際社会は大昔から「平時にあっては外交、有事にあっては戦争」で物事を進めてきた。戦争に勝つためには国民の結束、「秩序」が一番大事だから、有事にあっては自由民主は抑制されるのが普通だ。

国民は平時、平和の時代にあってはカネ儲けにいそしみ、旨いものを食って面白おかしく暮らす。しかし永遠の平和はないから、やがて有事、紛争、戦争の時代になる。大好きで一緒になった夫婦や、血のつながる親子だって喧嘩したりするのだから、お互いに「変な奴ら」と思っていた国同士が、やがて「嫌な奴」「ゴロツキ」「敵」そして戦争になるのは宿命だ。共生はまれで、植物でさえ生存競争は激しい。小生のお気に入り散歩コースの多摩川や多摩丘陵でもツタがはびこって植生が随分悪化している。「開発」という人災が一番の問題だが・・・

西郷南洲翁遺訓集から引用する。https://www.keiten-aijin.com/ikun

<徳川氏は将士の猛き心を殺ぎて世を治めしか共、今は昔時戦国の猛士より、猶一層猛き心を、振ひ起さずば、万国対峙は成る間敷也。普仏の戦、仏国三十万の兵三カ月の糧食有りて降伏せしは、余り算盤に精しき故なりとて笑はれき。

(徳川氏は将兵の勇猛な心を抑えて世の中を治めたが、今は昔の戦国時代の武士よりもなお一層勇猛心を奮い起さなければ、世界のあらゆる国々と対峙することは出来無いであろう。普、仏戦争のとき、フランスが三十万の兵と三ケ月の食糧が在ったにもかかわらず降伏したのは、余り金銭のソロバン勘定に詳しかったが為であるといって笑われた)

正道を踏み、国を以て斃るるの精神無くば、外国交際は全かる可からず。彼の強大に畏縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に従順する時は、軽侮を招き、好親却て破れ、終に彼の制を受るに至らん。

(正しい道を踏み、国を賭けて、倒れてもやるという精神が無いと外国との交際はこれを全うすることは出来ない。外国の強大なことに萎縮し、ただ円満にことを納める事を主として、自国の真意を曲げてまで、外国の言うままに従う事は、軽蔑を受け、親しい交わりをするつもりがかえって破れ、しまいには外国に制圧されるに至るであろう)

談国事に及びし時、慨然として申されけるは、国の凌辱せらるるに当たりては、縦令国を以て斃るとも、正道を践み、義を尽すは政府の本務也。然るに平日、金穀理財の事を議するを聞けば、如何なる英雄豪傑かと見ゆれども、血の出る事に臨めば、頭を一処に集め、唯目前の苟安を謀るのみ、戦の一字を恐れ、政府の本務を墜しなば、商法支配所と申すものにて、更に政府には非ざる也。

(話が国の事に及んだとき、大変に嘆いて言われるには、国が外国からはずかしめを受けるような事があったら、たとえ国が倒れようとも、正しい道を踏んで道義を尽くすのは政府の努めである。しかるに、ふだん金銭、穀物、財政のことを議論するのを聞いていると、何という英雄豪傑かと思われるようであるが、実際に血の出ることに臨むと頭を一カ所に集め、ただ目の前のきやすめだけを謀るばかりである。戦の一字を恐れ、政府の任務をおとすような事があったら、商法支配所、と言うようなもので政府ではないというべきである>(以上) 

つまりは、パワー、戦力がないと国家も消滅するということ。ソロバン勘定ができたところで、国民、民族に元気、覇気、根性、勇武の覚悟がないと他国から軽侮され、やがては侵略され、その属国になったり亡国を免れないのだ。

ユダヤ民族は2000年もの間、亡国の民だった。極東の小さな国の日本が当時最強と言われたロシア帝国との戦争で勝ったことにはユダヤ人の資金協力(戦時国債買入)も大いに寄与したが、日本の勝利がユダヤ民族を大発奮させたことは覚えておいた方がいい。「ソロバン勘定だけは巧い」と軽侮されてきたユダヤ民族によるイスラエル国家の再興(1948年)に繋がったのだ。

1952年4月28日のサンフランシスコ条約発効により、日本は外交権を含む主権を回復、その直後の同年5月15日に日本はイスラエルを承認し、国交が開始された。日本もまたイスラエルから支援を受けている。

<2011年3月11日の東日本大震災で、外国政府として初めて医療支援チームを派遣したのがイスラエルであった。

2014年5月にはネタニヤフ首相が来日し、天皇・皇后両陛下や安倍晋三総理と会談した。ネタニヤフ首相は「イスラエルと日本には共通点がある」として、(ユダヤ民族への)ホロコーストとともに広島と長崎への原子爆弾投下を挙げた>(WIKI)
宗教や主義思想に淫すると人間は平気で残虐なことをする・・・恐ろしいことだ、油断大敵、キモに銘じるべし。

「古事記」と「旧約聖書」は日本とイスラエルの国造りの物語だが、何となく相性が良さそうな気がする。ブリタニカ国際大百科事典によると――

<旧約聖書:英語表記は Vetus Testamentum; Old Testament。ラテン語の testamentumは契約、つまり神と人類との約束の意。旧約聖書は本来ユダヤ教の聖典であり、正式の名は『律法、預言書と諸書』。キリスト教でも新約聖書とともに正典とされている。

「旧約」の名はキリスト教の立場からの名称であり、2世紀末頃から「新約」と区別するために用いられるようになった。旧約聖書の原典であるヘブライ語正典 (24巻、39書、一部はアラム語) の最終的決定は1世紀末頃とされている>

宗教史ではユダヤ教→キリスト教→イスラム教の順になっているから、ユダヤ教は老舗、本家である。ユダヤ教聖典は古事記と同様に国造りの物語としてとても面白い。一方で新約聖書は「創作」臭く説教本みたいで、ワクワク感がない。イスラム教は、小生が刑務所入りして読書不可の3週間ほど読むことになった「房内心得」と似ており、もろに為政者の統治のための規則だらけのようでゲンナリする。

神道は天を畏れ自然を敬うという日本人の心の原点のようで好きだ。明治の廃仏毀釈騒動で散々な目に遭った仏教十三派は、怖れをなしたのか、それ以降は政治権力と距離を置き、お釈迦さまの原点に戻り始めたようで結構なこと、小生も檀家として分相応に喜捨している。心の故郷、原点のような神道(武)と、穏やかな日本仏教(先祖崇拝)・・・共にアイマイと言えばアイマイだが、宗教はそれくらいの方がいいのではないか。

カナダの作家モンゴメリ(1874~1942年)の「赤毛のアン」を読んでビックリしたのは、プロテスタントによるカトリックへの激しい憎悪である。新大陸へ移民したキリスト教徒が先住民を虐殺したことは最近でもニュースになったが、英国のプロテスタントとアイルランド地方のカトリックの対決は「1970年代から1990年代にかけて『北アイルランド紛争』と呼ばれる事態」(WIKI)になり、多神教のアバウトな日本人は「何やってるんだか、ンッタク」と困惑していたのではないか。停戦したものの今でも火種はくすぶっているようだ。

思うに、宗教に過度にのめり込んだ(淫した)人々や、共産主義者、独裁信奉者の類は「私は正義病」が激しく、異教徒や反対者を駆除することをためらわない傾向があるのだろう。正義と思えば殺人だろうが残虐だろうが何でもできる、というのは人間の初期設定みたいで、それに脅されたり、甘言に騙されたりする人は少なくない。

その一方で「表向きは強者に従う」「善人や友達の振りをする」「事を荒立てない」といった「処世術」を身につける人も結構多いのかも知れない。在外公館の外務省高官は事なかれ主義者が多そうで、日本の国益は二の次、三の次、兎にも角にも赴任国の官僚と高級ワインを飲みながら仲良く交際するのが仕事だと思っているようだ。カネや票に転んで邪教の問題を取り上げない政治家、マスコミも多そう。危機感なしのヘタレ多過ぎの感。

現実を見よ!と、日本人の覚醒を促す山本皓一氏著/写真「中国・ロシアに侵される日本領土」から。

<石垣島の名蔵湾を出港してから約10時間。夜明けの海に魚釣島が姿を現した。東海大学の海洋調査船「望星丸」に乗り込んだのは、調査の主体である石垣市の中山義隆・市長以下、東海大学の山田吉彦・海洋学部教授ら、市職員と研究者で構成された調査団23名。私は過去の尖閣諸島取材の経験を認められて、メディア関係者としては唯一、同行取材を許された。

「あれが、魚釣島ですか・・・」 神秘的な夜明けの光景を目の当たりにした中山市長がつぶやいた。初めて魚釣島を自らの目で見た者は、必ずその意外な大きさに驚かされる。

2022年1月31日、午前6時30分、波の音に交って日本語と中国語が交互に飛び交う様子は、望星丸の艦橋にも流れていた。「こちらは日本国海上保安庁。貴船は日本の接続水域に入っている。領海に入らないように・・・」

望星丸の周囲を7隻の船が航行している。中国海警局の「海警」2隻と、それを取り囲む海上保安庁の巡視船5隻だ。数に勝る海保の巡視船が、調査船を完全にガードし、追尾してきた中国船の接近を許さない。中国船への対応はすべて海上保安庁が担う。山田教授によれば、調査船が中国船と直接交信する行為は、中国海警局による管轄権行使を既成事実化する恐れがあるからだという。

海保の万全な動きもあり、海洋調査が始まった。海水サンプルの採取も、中国船から見えない形で行われた。

その後、戦中にこの地で遭難した犠牲者たちをともらう献花が洋上で行われていた時、船内に緊張が走った。中国船が突如、望星丸の方向に舳先を向けたからである。監視していた海保の巡視船がただちに中国船を挟み込むようにしてブロックする。身動きが取れなくなった海警船、ついに速度を落としながら去っていった。

石垣市と東海大学による尖閣海洋調査は、日本の国境政策において画期的な意味を持つものだった。なぜか――
それは、日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、初めて実効支配強化に向けた取り組みを「承認」したことを意味するからである。

調査計画は、海洋問題の第一人者として知られる山田教授が中心となり、5年がかりで温めてきたものだった。私は実施直前に計画を知らされ、同行取材を承諾してもらうことができたが、計画の漏洩には細心の注意が払われており、守秘に関して念押しされていた。

調査はわずか7時間程であったが、目的は達成できたと思う。研究者による海洋調査とともに、目視による島の状況も確認できた。

私が上陸した2003年の島の様子は後述するが、その時に青々と密生していたクバ(ヤシ科の常緑高木、ビロウの別名)の根元は茶褐色に変色していた。わずかに残った下草をついばむ5、6頭のヤギの群も見えた。自然繁殖したヤギは今では800頭を超えているとも推測されており、食害によって自然環境も脅かされているようだ。

船着き場近くの鰹節工場跡の石垣はかなり崩落し、海岸には無数の漂着ゴミが打ち上げられていた。2012年9月11日の尖閣諸島の国有化以降、日本人の上陸は以前にも増して厳しく制限されたため、魚釣島は自然の猛威にさらされ、荒れ放題になっていた。

2022年は「尖閣諸島国有化から10周年」にあたるが、強引で稚拙な国有化を進めた民主党政権の掲げた「平穏かつ安定的な維持・管理」とは裏腹に、魚釣島は「打ち捨てられた島」になっていた。

今でも悔やまれるのは、国有化の直前に行われていた東京都による(2012年9月2日の)尖閣海域洋上調査が身を結ばなかったことである。都の依頼で私も同行したこの調査は、当時の石原慎太郎都知事が「東京が尖閣を守る。どこの国が嫌がろうと、日本人が日本の国土を守るためだ」と宣言し、都による尖閣購入を前提として進めたものだった。調査団の中には「妥当な購入価格」を査定する専門家も含まれていたほどだ。

ところが、調査団が石垣島に帰港した翌日の朝刊各紙には、唐突な「尖閣国有化」の記事が踊った。民主党政権による買収の経緯には数々の怪しげな裏話もあるのだが、いずれにせよ政府が石原氏の購入計画を横取りした結果、尖閣諸島は国民から“隠される存在”になってしまったのである。

今回の調査を終えて石垣港に帰着した途端、私たちは石原慎太郎氏の逝去を知らされた(2022年2月1日没)。尖閣諸島の重要性をどの政治家よりも理解していた石原氏は、地元自治体(石垣市)と海上保安庁、そして山田教授ら研究者たちが協力した海洋調査が無事に終わったまさにそのタイミングで旅立った。不思議な巡り合わせというほかない・・・>

そう言えば石原氏の「尖閣購入費を!」の呼びかけで小生は1万円を寄付した。全国から寄せられた寄付は14億円に達したが、浄財は眠ったままだ。尖閣諸島の保護、灯台や港などの開発、発電機、監視棟、常駐体制・・・なすべきことは山積している。

韓国は竹島強奪を既成事実化するためにインフラを整え、防衛体制を着実に強化し「実効支配」を進めている。学ぶべきは学ぶべし。

日本は日韓基本条約締結(1965/昭和40年)により、当時、最貧国と言われていた韓国に莫大な投資をして復興を支援した。竹島については「韓国を刺激したくない」という忖度から「不法な支配である」と抗議するだけのソフト対応を続けてきたが、結局、韓国は増長して竹島を事実上「軍事要塞化」した。日本の「話せば分かる」式のソフト戦略は大失敗したと言わざるを得ない。

日本は尖閣諸島について「中共を刺激したくない」とこれまたソフト戦略を続けてきた。日本政府は「尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らかであり、現に我が国はこれを有効に支配しています。したがって、尖閣諸島をめぐって解決しなければならない領有権の問題はそもそも存在しません」というのが公式の主張である。「中共に強奪されかねない」という喫緊の問題があるのに「問題はない」・・・ほとんど思考停止、一種のビョーキだ。

NHK2022/8/4「中国が弾道ミサイル9発発射 うち5発は日本のEEZ内に」から。
<防衛省は、中国が4日午後3時ごろから4時すぎにかけて、内陸部のほか台湾に近い福建省と浙江省の沿岸から、合わせて9発の弾道ミサイルを発射し、およそ350キロから700キロ飛んだと推定されると発表しました。

このうち5発は、沖縄県波照間島の南西の日本のEEZ=排他的経済水域の内側に設定されている中国の訓練海域に落下したとみられるということです。中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは初めてだということです>

文武両道の「文」だけでは日本の領土領海を守れない時代になった、ということだ。核兵器、徴兵を含めた「武」の強化を進めなければ確実に日本は中露の属国になる。危機感を高め、万全の備えをすべし。
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