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おばあの達成感

はや、睦月も終わろうという日、友人とかねて申し込んであった地域の
ガイド協会主催のハイキングに出掛けた。

場所は「吾妻山公園」東海道線の二宮駅が最寄駅だ。
二宮は童話「ガラスのうさぎ」の舞台になった場所で、周辺は曽我兄弟
ゆかりの土地とあって、曽我兄弟の菩提寺やお墓があったりする。

「ガラスのうさぎ」記念碑のある二宮駅から旧東海道を通り、一里塚を確認したり、本陣跡に東海道の名残を感じ、「ここは箱根駅伝の選手が走り抜けたところです」などとガイドさんの説明に耳を傾ける。
二宮駅の由来となった、相模国の二宮、「川匂神社」(かわわじんじゃ)に
お参りし、今は全く整備されていない鎌倉古道の一部で、人一人が通れるほどの細い獣道を登り、「吾妻山公園梅沢登り口」に至る。

相模国の二宮「川匂神社」

この獣道、ガイド協会の方が許可を得て周りの草や木を取り除いたそうで、
急斜面、細い、落ち葉が降り積もり滑る、の大変な道で、ほんの数十メートルの登りだったと思うが、足元の不安定さに思わず四つん這いになってしまいたいほどだった。鎌倉古道は鎌倉幕府が出来た中世に都と地方都市を結んで作られた街道で、ハイキングコースとして整備されたところも、全く忘れられたような獣道もある。

いよいよ吾妻山山頂の公園を目指す。私たちが登ったのは吾妻神社を目指す昔ながらの参道コースだ。約20分ほどの登りで、丸太で土留めをしてある土の階段だ。これが私にとってはハードで、途中で太腿の辺りの筋肉が痺れたような感覚になり、ほとんど惰性と気力で登った。ようやく吾妻神社の境内に着いた時にはベンチにへたり込んでしまい、いかに筋力が減退しているか身を持って体験した。

吾妻神社・日本武尊が東征の際、
妻の弟橘の姫に命を助けられたことに感謝して建立と伝わる

ここから山頂の吾妻山公園までは、ほんの2折れほどの階段だ。最後の気力を振り絞って登った先には、それはそれは見事な風景が広がっていた。
吹き出した汗も足の痺れも一気に忘れるほどだ。
雲一つない晴天に恵まれて、真っ白に雪を被った富士山を背景に広がる満開の菜の花、首を回せばその横に広がる紺碧の海、しばらくは呆然とその景色の中に我が身を置いた。

吾妻山山頂公園

山頂で持参したおにぎりで昼食をとり、帰路は二宮役場口へ向かう階段
(こちらは石段だった)で下る。
最後は曽我兄弟の姉「花月尼」が兄弟供養のために建立した「知足寺」に立ち寄り、曽我兄弟のお墓を見て二宮駅に戻った。

とても疲れたハイキングではあったが、あの山頂で味わった達成感は何年振りのことだろう。・・・多分半世紀振り・・
80の坂を遠に越えたこの歳になって、こんな経験ができた健康に感謝しかない1日だった。






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