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結婚8年目でもダメ。家事分担?なにそれおいしいの?

去る、2023年のクリスマスイヴ。
サンタクロースも恐れおののく形相で、食器を捨てまくる女がいた。わたしである。

前日に怒涛の5連勤を終えたわたしは、帰宅するなり最低限の子どもの世話をしてバタンキュー(古)してしまった。
翌朝。子どものクリスマスプレゼントをツリーの下に置くという毎年のミッションを忘れていたことに気が付き飛び起きた。我が家のクリスマスツリーはリビングにある。急いでリビングに向かうと、そこで強烈な存在感を感じた。

ふとキッチンに目をやり絶句。
大量の食器たちが水平線のように弧を描き、シンクいっぱいに広がっているではあーりませんか。
よく見ると、しゃもじで米をなでつけられたであろうガラスの器がある。本来、そうめんを食べるような夏の器。恐らくこの犯人は(夫)、ごはんをよそる茶碗が洗われていなかった為、目に止まった皿をつかったのだろう。生まれたときから耐熱性なんぞ与えられなかったガラスの器は、ホカホカの米をよそられ何を思っただろうか。

わたしは、『昨日、夫は1日休みだったのになぁ』と思った。

そのまま洗面所に向かった。ここでも惨劇が繰り広げられていた。
洗濯機の上に服やらタオルがてんこもり。洗濯機をあけると満員電車の車内のように、汚れた布たちが息を殺している。忍びだ。
また、足元のカゴには洗濯槽に入り切らなかった2軍たち。床にはカゴにさえ入り切らなかった3軍が散らばっている。

わたしは、『昨日、夫は1日休みだったのになぁ』と思った。

くくく。この全てをわたしが1人で片付けるのだ。自分の休日を使って。ぶはははは!!!笑えてくる。いつも思うがなぜ夫は、このおぞましい状態を見て見ぬふりができるのだろうか。
今まで何度、怒鳴り、泣き叫び、諭し、話し合いをくりかえしたかわからない。たいていのことはパッパと決まる私たち夫婦なのに、家事分担の件だけは結婚8年たっても答えがでない。

ここでコレを思う人がいるだろう。

”結婚する前に気づかなかったんですか?”

ってな。
気づいていたといえば、薄々気づいていた。しかし、相手が山下智久に見えてしまうほどの甘い恋愛中に『家事が苦手そうだから』という理由で別れる選択技は、あの頃のわたしにはなかった。そして、量産型アラサー女子だったわたしは、『はやく結婚したい!』の気持ちが、誰よりも何よりも勝っていた女だった気がする。

よって、「付き合っていたころは、さほど重要案件ではありませんでしたが、環境の変化と恋愛期間終了後の心の変化に伴い、今は超重要案件にかわりました。」と、お答えしたい。


わたしはこの事案が発生するたびに、ネットのなかに同志を探しにいく。ネットには家事をしない夫と生活をともにする哀しき民が、わんさかいることを知っているから。しかし、軽く8年間は検索している為、もうすへて読み尽くした感は否めない。
ちなみに、『家事をしない旦那は褒めて育てよ♡』的な記事は、読まないようにしている。
なぜならうちの夫は育たない。公園のお砂場の砂に柿の種 (菓子) を植え、一生懸命に水をあげても花が咲かないのと一緒だ。
そもそも、わたしごときに褒められてうれしくなり、皿を洗い始めるアラフォー男とわかった時点で伸びしろの幅にドン引きする。そんな柔軟なポテンシャルを備えているのであれば、他のところで発揮して頂きたい。

そこで冒頭のように、わたしは食器を捨てた。自分の気に入っていない食器を捨てまくった。そしてその足で、食洗機を求めて近所のコジマデンキに向かった。歩きながら、怒りで奥歯をギリギリと噛み締めた。悔しさのあまり、ちょっと泣いていたかもしれない。

コジマデンキはクリスマスプレゼントを買うファミリーで激混みだった。こんなイヴの日に、己の涙をふきながら食洗機を買おうとしてるやつなんていなかった。
『もういくらのでもいいわ。しらねーし。』
そんなやけくそのなか、ちょうど良さそうなものを見つけ、コジマと契りを交わすことにした。
しかし、契約目の前にして『自分のクリスマスプレゼントに食洗機買いに来た女』と映っているだろう自分がとてつもなく情けなく思い、購入をやめた。今頃家でのんびりしている夫を思うと、なにもかもバカらしくなってきた。
わたしは店員さんにお詫びを伝え、今度はダイソーに向かった。『今後は紙皿にラップをして飯をよそろう』と思った。もちろん、子供にはちゃんとした食器で食事をしてもらう。そんなことは、あたり前田のクラッカーだもん。(古)

ここでわたしは気がついた。
【そもそもわたしが色々と考えて生活が成り立つようにチョコチョコ動くのって、なぁぜなぁぜ?】と。

左手に飯をのせ、右手でたべることだってできる。そう思い、ダイソーに行くのもやめた。いまひとつだけ、サンタクロース殿にプレゼントを頂けるのであれば、一人暮らしをしていた気ままな日々に時を戻す機会をください。と願った。

お昼すぎ、フラフラと家にかえると大量の洗濯物が干されていた。クリスマスイヴに家出をしたと思われたのか、ケーキとプレゼントが用意されていた。ちなみにプレゼントはモコモコの家着。以前娘に、モコモコのちゃんちゃんこを着せていたときに「ママもなこんなあったかいやつほしいなぁ〜。」とポロリと放った一言を、娘が夫に伝えてくれたらしい。ごめんなさい。半日家出してごめんなさい。

でも、シンクは変わらずだった。わたしが捨てきれなかった食器が山積みのまま。なぁぜなぁぜ?

きっと夫は幼少期に、かあさんの皿洗いの手伝いをしてコップを割り、手首から鮮血が吹き出したトラウマがあるのだ。きっとそうだ。それでいい。


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