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自己紹介その2~監査法人勤務~

公認会計士の主要業務である監査業務というのは、主に企業の決算書類が会社の状況を正しく示しているか、様々な角度から検証して、監査証明を交付することで、資本市場の信頼性を確保するという制度で、若手のスタッフの業務としてはサンプリングした取引の正確性を確認したり、全体としての適正性の意見表明の根拠となる資料集めをするのが主流となります。少々経験を積んでも根本的な業務は変わらず、クリエイティブに何かを生み出したり、サービスを提供することで顧客に感謝されることがあるわけでもなく、あまり面白いと感じる要素はありませんでしたが、それでも20代前半の頃から日本を代表する企業の舞台裏に立ち入ったり、幹部役員とも接触する機会があるというのは大変貴重な経験であったと思います。

ただ、男女雇用機会均等法が実現してしばらくたっていたものの、高学歴であっても女性は補助的業務に従事し、結婚または出産で退職するのが当たり前の時代、資格を志した際に両親に言われた、「資格があれば男女対等に働ける」「資格さえあればライフイベントで離職してもいつでも好きな時に働きなおせる」という安易な要素はないことを早々に実感しました。

監査法人での業務や評価制度には確かに男女差はありませんでしたが、監査というのは本社だけでなく地方の支店や工場といった出張の日数も相当多く、相当自分自身や周囲の方に負担をかけることで、私自身家庭と両立することは全く考えられませんでした。そして何より日々往査先として伺う日本を代表する企業での男女格差が多く、当時私たち世代よりも上の女性会計士というのはかなり少なかったため、女性がメンバーに加わっても、「なぜ女性なのにわざわざこんな資格を取られたのですか」などという言葉を向けられることも多く、中年の上司と二人で赴いた際に、名刺を差し出しても、公認会計士だと思ってもらえなかった(おそらく上司の秘書と勘違いされていた)こともありました。

業務自体に創造性や面白さの要素がほぼないことで、モチベーションの落ちた態度の悪い職員になってしまっていたうえ、肉体的に精神的に、女性の働きにくさを感じていたことで、26歳で結婚、1年後の出産を機に、キャリアのリセットをすべく、将来のことも何も考えないまま逃げるように退職を選択しました。

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