【詩】空の理論


何もできなかった
人として
生きることが遥か遠く
そんな自分を愛することは
できなかった
理想は脆く
現実は厳しい
死の世界はすぐそこに

人を愛することも
できず
本当の自分は
遠い過去に置き去りにした
今の自分は誰かが作り出した
ニセモノ

空間に私の魂を浮かべ
肉体を蝕む
“社会”から逃げる
けれど
トビラは何処にも無くて
彷徨う魂は
やがて
その光を失った

結局
何もできなかった
人として
何も……

生きること
それは
苦しみの連鎖の中
私は
どのように死んでいくのか
恐怖の一片を
また
飲み込んだ



創作活動に使わせていただきます。