東谷刀也/詩

詩・短歌・俳句を書きます。 よろしくお願いします。

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最近の記事

【詩】洞窟

真っ暗な空間には 命は宿らない 視界を塞がれ 感覚の麻痺 余命幾ばく 未来は 見えない 声が聞こえる 記憶を呼び起こす 懐かしい声 彷徨う魂は その肉体に問いかける 「生きたいのか」と しかし私は 太陽を失った世界 冷たい肉体 洞窟の中

    • 【詩】面影

      誰もいない 夏の 公園の夕日 橙色は地平線に 沈み始める 街が薄暗くなり 人々は家路を急ぐ やがて 世界は宇宙のカーテンを引く 地上には 月、星々の光りが 降り注ぐ 今宵は 少し あの日の面影を 無人の公園に映して 亡き友人と遊ぼう そして さようなら  さようなら

      • 【詩】命の途中

        風に揺れる葉が 地上に落ちた まだ 命の途中 瞬間に 消えた命の輝きを 私は 忘れてしまったのか 静かな部屋の中 私は 心の鼓動の存在を 忘れてしまったのか つらいことの連続で 生きることを 忘れてしまったのか 本当はもっと 生きたいのだろう? 私は あと何回呼吸ができるのか 太陽の輝きを あと何回見ることができるのか 一度だけ与えられた 生命の神秘 私は残りの人生を もう一度 歩み始める あの日の青空を思い出しながら

        • 【詩】アイス

          午後一時過ぎ 君から突然のライン 北口でアイスを食べてる 今日は日曜日で晴れ 春にしては暑いくらいだ だから 君も夏を先取りして アイスを食べるのだろう 寝坊して 駅まで行けない 断りのライン 了解のライン 冷凍庫の中には 昨日買った31のアイス 僕はそれを取り出して食べた たぶん君と 同じ味

          【短歌】ここにまだ残されたままの腕時計彼女の帰りを待っている

          ここにまだ残されたままの腕時計彼女の帰りを待っている

          【短歌】ここにまだ残されたままの腕時計彼女の帰りを待っている

          【短歌】着信音真夜中に出たスマホからあなたの声が聞けてよかった

          着信音 真夜中に出たスマホから あなたの声が聞けてよかった

          【短歌】着信音真夜中に出たスマホからあなたの声が聞けてよかった

          【詩】雪が、降る

          地上に降る雪が その儚さを伴って あなたの手のひらに 触れた 甘い体温は 雪を溶かし 水滴が残った 白い姿は 澄んだ涙に変わった  あなたは泣いていたの? 凍てつく寒さの中 消えていく命の灯を まだ 見つめていた 息をすることは もう できず 瞳を開くことも 叶わない 次第に冷たくなる体を 抱きしめていた  天国のよう 白い世界を 魂の帰る場所が ここ ならば それは 幸せなのかもしれません 私はまだ 真っ白なキャンバスに 何も 描けないまま 今年も あなたに 会いに

          【詩】雪が、降る

          【俳句】赤蜻蛉夕陽の紅に消えていく

          赤蜻蛉夕陽の紅に消えていく

          【俳句】赤蜻蛉夕陽の紅に消えていく

          【短歌】走りゆくその背を追つて走りゆくゴールはまだ遥か遠くに

          走りゆくその背を追つて走りゆく ゴールはまだ 遥か遠くに

          【短歌】走りゆくその背を追つて走りゆくゴールはまだ遥か遠くに

          【詩】希望

          掬い上げるのは 小さな光 ふわふわの 粒子が 零れ落ちないように やさしく 触れる 両手いっぱいの 光は 互いに ぶつかり 揺れて 忙しなく 壊れないように 無垢の心で囲った 指の隙間から 覗く 光は たくましい 生命の源を予見させ やがて 生まれる 命の産声が 聞こえる その光こそが 僕の希望

          【詩】死連

          月の輪郭を 捉えることはできず 薄い雲に透かされて ただ ぼんやりと浮かぶ 今宵は 旅立ちの日 全ての縁を切り 一人の私は 頼りない足を 踏みしめた ぼんやりと ただただ浮かぶ月の 光が 恋しく 世を照らす それは やがて 厚い雲に遮られた 闇の中に 化け物が蠢く 人食いの半妖は その口を開けて 待っていた 私の足音を聞きつけ 背中を刺す視線 瘴気が満たす 空間を ああ 月が顔を出した 命拾いをした ような 頼りない足を速め ああ 旅は始まったばかりだというのに

          【詩】悪夢

          不気味なサイレンが街に響くと同時に 銃を持った兵士たちが攻めて来た 侵攻する兵士たちから逃げるため 僕はひたすらに走った 流れ弾が脚をかすめ 転ぶ 這いつきながらビルの隙間に隠れるも 絶望に空を仰いだ ゆっくりと足音が近づく そして 見つかった 銃口を僕の額に向け 知らない言葉を発した 僕は目を瞑り 終わりを待った 目を開けると そこにはいつもの僕の部屋 ベッドの上で目を擦り 現状を理解する 「夢か」 窓から朝の陽光が差し込み 小鳥がさえずり 目覚まし時計が鳴った 当たり

          【詩】空の理論

          何もできなかった 人として 生きることが遥か遠く そんな自分を愛することは できなかった 理想は脆く 現実は厳しい 死の世界はすぐそこに 人を愛することも できず 本当の自分は 遠い過去に置き去りにした 今の自分は誰かが作り出した ニセモノ 空間に私の魂を浮かべ 肉体を蝕む “社会”から逃げる けれど トビラは何処にも無くて 彷徨う魂は やがて その光を失った 結局 何もできなかった 人として 何も…… 生きること それは 苦しみの連鎖の中 私は どのように死んでいく

          【詩】空の理論