赴任した小学校で最初4年生を受け持った
その時は、学年主任も私も、初めてその学年の担任になるということだった
主任の配慮か公平の見せしめか、どちらでも良いよ、好きな方選んで！というふうに、クラス名簿の入った茶封筒を渡されたのだ(詳しくは①に投稿済み)

そして、
《熱血先生》！と上の学年の子どもたちに言われるほど、熱血時代を送る

1年の月日はあっという間に過ぎ
五学年に上がる前の三月がくる

天下分け目のクラス編成がまた行われる三月である

私は迷っていた
持ち上がりを希望せず、他の学年を希望しよう....

私は子どもたちにとってよい教師であったのか　担任が私でなかったら、もっと子どもたちがのびのびと育ったのではないか
そんな風に思うようになっていた

実は臨時講師三年目の最初1学期間は、採用試験に受かるために自分のこと重視で過ごしたと言っても過言ではないほど、これまでの二年間とは気持ちが別だった

『早く私たちの仲間になってください』

指導主事が私に助言した言葉である
今でもはっきり覚えている

『1学期間は宿題も出さなくていい、自分のことだけやってください　宿題出せば丸つけに追われる　2学期からでもあなたなら子どもはじゅうぶん育つんだから』

前任校の教務主任の言った言葉は、私が熱血である前に、本採用(臨時ではなく、正職員)になれ！なってこそ、真の児童教育ができる
ということの一つの表現だったに過ぎないのかも知れない

本採用じゃなければ先生の仲間として見られないんだ
教壇に立って先生って呼ばれてるだけでは、先生方からしたら先生じゃないんだ
どれだけ教育に対して熱血でも、先生として仲間入りしていないんだ

子どもに
先生！って呼ばれてるだけなんだ

私は本気になった
採用試験7月まで時間がない
運転中は問題集を膝に置き、信号待ちですらも隙間なく勉強
休み時間は子どもと遊ばず、ひたすら勉強

朝早く学校に行って勉強したこともあった早く行きすぎて眠くなりうたた寝することもあった
登校児童のキャッキャする声に目覚めて、慌てて起きて、何食わぬ顔して出勤簿に判子を押すこともあった

そしてその年
私は受かったのだ
(ニ時試験の面接内容がまた滑稽　それについてはまた後で書くこととする)

私は次の年、晴れて本採用となったのだ
赴任校は、引き続き同じ学校

なぜ私が持ち上がりに自信がないか
それは
1学期間、自分の試験中心の生活を3ヶ月間したことで、何かが変わったのだ　

熱血は表面上で
児童教育の要領を掴んだ
そのことは熱血ぶりを裏で7割に抑え、児童教育に努めるということである

7割だぞ
つまり100%ではないってこと
7割でも熱血感満載に子どもたちは感じている
私の100は他から比べたら1000だから子どもにとってさほど変わらないのかも知れない　7割でも周りの教師に比べたら2倍も3倍も熱く感じたのかも知れないが

私だけが違和感があった
自分自身に違和感があった

それでも子どもたちと愛情いっぱいガチンコで向き合う
1年はあっとうま

4年生が終わる時期になると容赦なく子どもたちは聞いてきた

『繭子先生、
　5年生になっても繭子先生ですよね』

私は嘘でも首を縦には振らなかった

『分からないよ、校長先生が最終的に決めることだから』

-……………………………

👴『繭子先生、受け持ちの子どもたちが7人位でドドドーって校長室に来てお願いしていったぞ』

👩『え、何をですか？』

👴『5年生も担任を繭子先生にしてください、だと。』

複雑ではあった
リーダー格が友達引き連れて、校長にお願いしに行ったというのだ
4年生なりの正当反撃
あの子たちらしい

迷いは消えた
私は来年度公務分掌希望用紙に
５学年を希望したのである

私の自信の無さ少し回復
子どもたちに助けられた出来事である

そのことを校長から聞いていなかったら、他の学年を希望していたかもしれない
いや希望していた

クラス編成は、持ち上がろうが持ち上がらなかろうが、
4学年の担任たちがクラス編成をする
私は主任とあれやこれや相談して、クラス替えの編成に携わった

《誰が
   どのクラスを持ってもいいように》

そして、私は5年2組の担任と発表される
それは春休みの職員会議(校務分掌発表)の4月2日のことである
5学年主任は、４年主任とはまた別の男性であった
なぜならその4学年主任は、教務主任となったのだ

そして今回の学年主任
誰から見ても真面目一本の先生である
その主任もなんのこだわりもない人だった
私は昨年の学年主任からのやり方を提案した
なぜなら私がクラス編成に携わっているが、今回の主任は携わっていなかったからである
自分なりの潔白の証明か？

『どちらの封筒を選びますか？』

ちょうど1年前の光景と同じ
A4の茶封筒を今度は私から学年主任に突き出した

『どちらでもいいですよ
　　　　　　　　ならばこちら』
一方の封筒を主任は手にした
私にはもう一方の封筒が残る

お互いに開封し、名簿や学力、その他の特徴記載を確認していた

あ。
一人だけ、一人だけ気になっていた女の子が居ない。

それは
母子家庭で、とても複雑な家庭環境の子であった　更に周りから少しだけ意地悪される傾向があった

私に迷いはなかった
『そちらのAさんをこちらのBさんと
   かえていただけますか』

同じ位の成績　同じ位の雰囲気
そしてなによりも私は4年生のときにその子を強く叱ったことがあり、私じゃない方が伸びると思っていた子

主任は何の躊躇いもなく
『いいですよ』

経験年数は私の2倍
私はまだ講師の立場だったから、主任なりの配慮だったのだと今noteを書きながら思う

クラス編成
名簿は習字で書き、廊下に名簿を貼る
始業式前春休みの我々の仕事である

そうして、クラス編成後、

クラス担任とクラスメイトが
クラス発表ぎりぎりで動かしたのだ

校長室に駆け込んだリーダーも私のクラスとなった

新採用1年目5学年担任
西塚繭子先生の誕生である

私は
子どもの愛によって再び先生となることができた

感謝

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