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ハラスメントを忘れて楽しめる「太陽にほえろ!」

2月9日、今月2回ある肉の日。
いや、肉はどうでもいい、金曜日だ!金曜日の想い出。

まだ週休1日半ドンの時代。
金曜夜8時の体内時計をキチっとしてくれた番組があった。
「太陽にほえろ!」
昭和の刑事ドラマだ。ゆとり時代以降の生ぬるいマニュアルや働き方改革など無関係な、24時間戦えるビジネスマンも登場する前の、これが当たり前の刑事ドラマでした。拳銃も撃つし、デカが殉職もする。そして、石原裕次郎扮する藤堂係長が配属刑事にネーミングするニックネーム。今ならばヤバイ「ハラスメント」になるけど、そんなのカンケーない「不適切にも程がある!」のが昭和の刑事ドラマである。
それにしても。
「西部警察」の裕次郎は課長だから、まあいいとして(どこが)、「太陽にほえろ!」では肩書が係長。たかが中間管理職なのに、あの貫禄と本庁にまで睨みを利かせる人脈とコネ。これが、昭和刑事ドラマの謎パワーだ!

係長です。肩書は、係長なんです!

刑事たちに十字架の如く背負わされる変なニックネームも、どうして当時の視聴者に受け入れられ、この番組に釘付けになったのか。自分勝手に考えてみた。そして分かったこと。
音楽が染みること。
このOPテーマに染みた大人の子や孫が、「名探偵コナン」に染みている。あの音楽は、強く人を引きつけるんだ。

「太陽にほえろ!」から「太陽にほえろ!PART2」までの全刑事が、映像に出ていて、オジサン、懐かしくなります。音楽、コナンと同じ人ですから。何となくわかりますよね?

それと、社会風刺やシリアスな時代背景に人間ドラマも、きちんと脚本家が描いている。「そんなこと、ないない」なんてのも、納得させられる深みあるストーリー。ニックネームなんか、大した問題じゃない。そう感じざるを得ません!

だいたいこのあたり。全員係長以上でよくないですかという貫禄!

令和の人には信じられないハラスメントテイストのニックネームをご紹介しよう。笑いたい奴は、笑うがいいぜ。

藤堂俊介 / ボス:石原裕次郎
本庁で指揮が執れるほどの実力を持ちながら、捜査に妥協を許さない性格ゆえ七曲署の捜査一係長に留まっている。シリーズ初期には自ら現場に赴くことも多かったが、中期以降はデスクにこもったまま指揮を執るようになる(裕次郎がガチの大病だったこともあり、最終回まで長く不在)。最終回の1年後設定であるPART2冒頭で、本庁に栄転したと紹介される場面があった。

山村精一 / 山さん:露口茂
捜査一係では主任格、推理派で藤堂を補佐する司令塔。「落としの山さん」と呼ばれ、長い人生経験により、相手の心の襞までも読み取る洞察力を持つ。千代田署捜査第一係長への栄転が決まった直後に暴力団組員の報復で狙撃され絶命。殉職する。

野崎太郎 / 長さん:下川辰平
交番勤務からの叩き上げ。長さんの由来は警官歴は藤堂よりも長い巡査部長~部長刑事からという、いい加減そうな理由。山村同様、一係の主任格。シリーズ途中で警察学校教官に転任し、PART2で復帰する。

石塚誠 / ゴリさん:竜雷太
ごり押しのゴリさんがニックネームの由来。射撃の腕は警視庁刑事の中でも3本の指に入るほどの実力。1982年(昭和57年)10月、覚せい剤密造事件に絡む暴力団との銃撃戦の直後に覚醒剤中毒者の凶弾により、搬送中の救急車内で死亡。殉職する。

島公之 / 殿下:小野寺昭
貴公子然とした風貌から、ニックネームは殿下。1980年(昭和55年)7月、センターラインをオーバーしてきたトラックを避けようとして崖から転落し爆発・炎上。交通事故死。

内田伸子 / シンコ:関根恵子(現:高橋惠子)
初登場時は七曲署少年課婦警。第38話に捜査課勤務となり正式に捜査一係の配属される。父・内田宗吉(ハナ肇)の営む小料理屋を手伝うことで、お新香からシンコというニックネームになる。1974年(昭和49年)8月、柴田純(松田優作)と結婚するため退職。

早見淳 / マカロニ:萩原健一
警察官としてのキャリアはシンコの1年後輩。長髪・ノーネクタイ・三つ揃いの風貌に銃を提げた姿がマカロニウエスタンだという理由でニックネームがつけられた。立小便中に通り魔に刺されて死亡。職務執行中の失命ではないため殉職に該当しないらしい。

柴田純 / ジーパン:松田優作
早見の後任として捜査一係に配属。一張羅のジーパンからニックネームとなる。のちに内田伸子(シンコ)と恋仲になって婚約するが、その矢先の1974年(昭和49年)8月、自分が身を挺して守った男に撃たれて死亡。殉職。

三上順 / テキサス:勝野洋
柴田の後任として捜査一係に配属。テンガロンハットをかぶった姿がテキサスのカウボーイのように見えたのでニックネームになる。本庁栄転決定後の1976年(昭和51年)9月、単身で拳銃密造グループの取引現場に乗り込み銃撃戦の末に死亡。殉職。

田口良 / ボン:宮内淳
お人好しで慌てん坊な大阪のボンボンだからニックネームになる。1979年(昭和54年)7月13日金曜日、事件の関係者である女性を庇い被弾、電話ボックスから一係に電話中に絶命。殉職。

滝隆一 / スコッチ:沖雅也
殉職した三上の後任として城北署から七曲署捜査一係に転属。英国製の品を好み気障な態度からスコッチ野郎と侮蔑されたことからついたニックネーム。チームワークを嫌い上司の命令を無視して常に単独行動を好む。1977年(昭和52年)3月に山田署に転勤。1980年(昭和55年)3月に七曲署出向、復帰となる。過去に胸部を撃たれた際の傷が原因の持病が再発。1982年(昭和57年)1月、拳銃密造事件の捜査に参加したが喀血。病死。

岩城創 / ロッキー:木之元亮
機動救助隊員時代の経験を活かしたロッククライミングが得意な山男。ロッキー山脈踏破を夢みており、ニックネームとなる。交通課婦警だった早瀬令子(長谷直美)と2年にわたる交際の末、1980年(昭和55年)8月に結婚。1982年(昭和57年)8月、念願のロッキー登山中、容疑者を追う一係と合流し捜査に参加。容疑者に狙撃され死亡。

五代潤/ スニーカー:山下真司
上京して間もない頃、自暴自棄になっていたところを田口(ボン:宮内淳)に助けられ、彼に憧れて刑事に。そのとき買ってもらったスニーカーを愛用しニックネームになる(随分と持ちがいい)。恩人である田口が射殺されたことを知り、休暇を取って他管轄である七曲署管内で単独捜査を行っていたところを一係のメンバーと遭遇。管轄外の勝手な捜査が問題視され免職になるところを藤堂のはからいで七曲署捜査一係に配属される(係長の権限だろうか?謎である)。妹が拳銃乱射事件の巻き添えとなって死亡、彼女の夢である「沖縄に海の牧場を作りたい」という遺志を実現させるため、1981年(昭和56年)9月に退職。故郷の沖縄へ帰郷する。

西條昭 / ドック:神田正輝
医大中退後、たまたま「警察官募集」のポスターを見て警官になった変わり種。自ら「ドックって呼んでくれよ」とニックネームを名乗った。

竹本淳二 / ラガー:渡辺徹
父親も刑事で野崎の同僚だったが殉職している。高校時代にラグビーをしていたのでニックネームになる。膝の激痛から外傷性の骨肉腫に冒されていると判明。復帰後も再発の疑いが同僚たちに懸念される。1985年(昭和60年)8月、つくば万博行きバスジャック事件の捜査中に犯人と相討ちになり死亡。殉職。

原昌之/ ジプシー:三田村邦彦
一匹狼的な性格のために行く先々で疎まれ、所轄署を渡り歩くことからジプシーというニックネームになる。右胸心臓の特異体質。1983年(昭和58年)2月、西多摩署への転属を内示され栄転する。

春日部一 / ボギー:世良公則
ハンフリー・ボガードに心酔し、自らボギーと呼んでほしいと頼み込んでニックネームになる。1984年(昭和59年)4月、射殺犯とその婚約者を自分の意思で国外に逃がしたため運転中の警察無線から藤堂に退職の意思を伝え、単身で事件の背後にいる組織と決着をつけようするが刺されて死亡。

井川利三 / トシさん:地井武男
捜査に対する執念は人一倍で食らいついたら離さないスッポンのトシさんというニックネームになる。山村の殉職後は一係の主任格として捜査を取り仕切る。

岩城(旧姓:早瀬)令子 / マミー:長谷直美
初登場時は七曲署交通課婦警。1980年、岩城創(ロッキー)と結婚。1981年、1男1女の双子を儲ける。1982年に創がカナダで殉職。1983年(昭和58年)3月に一係に配属。2児の母親だからマミーというニックネームになる。

澤村誠 / ブルース:又野誠治
父がピアニスト。ブルースと呼ばなければ返事しないことからニックネームが決定した。最終話であわや殉職寸前の危機を迎えるが、藤堂以下一係の刑事たちによって一命を取り留める。

水木悠 / マイコン:石原良純
1984年11月に配属。インテリで三菱のパソコンを導入し、捜査に活用。マイクロコンピュータから、ニックネームになる。

島津公一 / デューク:金田賢一
孤高かつ優秀な刑事。本人の印象と名前から公爵=デュークというニックネームになる。1986年(昭和61年)10月、警視庁の海外研修生に選ばれ本庁籍で去る。

太宰準 / DJ:西山浩司
葛飾柴又署交番勤務から七曲署捜査一係に配属。刑事(警察官)をクビになってもいいように求人情報誌を携帯している。イニシャルがニックネーム。

橘兵庫 / 警部:渡哲也
藤堂の城北署時代の後輩。病気療養中の藤堂が復帰するまでの間、臨時係長代理として警視庁捜査一課から着任。階級がニックネーム。

篁 朝子/係長:奈良岡朋子
警視庁に栄転した藤堂の後任として七曲署に赴任して捜査一係の係長に就任。階級は警部。ニックネームが役職名。

喜多 収/オサムさん:寺尾聰
飄々とした個人主義者。型にはまったスタイルを嫌い、上司である篁を陰で「おばさん」と呼ぶ奔放な性格。ニックネームじゃないと思う。

「太陽にほえろ!」2作には続編がある。
「七曲署捜査一係」は1997年から1999年に3作品が制作・放送された。
長さんとシンコが登場したが、あとの刑事は一新。
奇抜なニックネームは、もう、なかった気がする。時代だよな。

脚本は個性的だった。実力者たちが手掛けているのだが、匿名の投稿脚本が採用された作品(79話)もある。報酬を求めず匿名を通したいという主旨のため原案者は不明のまま。テレ朝版初代ドラえもんの声優・大山のぶ代が書いた脚本も5話ほどあった。
また、意外な人のゲスト出演もあった。84話は中村雅俊のテレビ初出演。また石原裕次郎の一部代役を渡辺徹がこっそりやっていたらしい。
沖雅也はドラマで殉職した翌年6月28日、警備員の制止を振り切り飛び降りて帰らぬ人となってしまう。

しかし、
ニックネームがしょうもないモノばかり
というのは疑う余地もない。
ねえ?

派手な銃撃戦のない、昨今の刑事ドラマ。
時として、「太陽にほえろ!」が懐かしくなる。
「西部警察」ほど派手じゃなくて、いいんだ。血の通うドラマが観たい。
いまの脚本家に、こういうものは描けないかもなあ。