スールキートス

1970年生まれ。編集者。プレミアリーグ、フジロック、キャンプ、ワイン、旅が好きです。

スールキートス

1970年生まれ。編集者。プレミアリーグ、フジロック、キャンプ、ワイン、旅が好きです。

最近の記事

南米の怪人 カルロス・バルデラマ

 フットボールの起源は1863年。イングランドのフットボール協会が、現代のフットボールにも通ずるルールを制定したこととされる。イングランドが“フットボールの母国”と呼ばれる所以である。そこから現在まで、古今東西、星の数ほどのフットボーラーが出現したが、見た目のインパクトでこの男に勝る者はいない。  カルロス・バルデラマ。金髪。カーリー。アフロのようなボリュームヘアー。日本では“ライオン丸”という異名も持つ。風貌はソウルフルなバンドのミュージシャンのようでもあり、怪しいブツを

    • 冷静な芸術家 デニス・ベルカンプ

      「カッシーナ」や「コールマン」など、体操競技の技には国際大会でその技を成功させた選手の名前がつけられることが多い。フットボールは技術の難易度や美しさで勝敗を決めるスポーツではないため、このような例は皆無だが、ひとつだけ例外がある。 「ベルカンプターン」。プレミアリーグの2000-01シーズン。アーセナル対ニューカッスル戦の後半11分。その劇的な瞬間が訪れる。アーセナルのMFロベール・ピレスが左サイドを駆け上がり、ゴール前の中央付近で敵DFを背にしていたデニス・ベルカンプにグ

      • 太陽の騎士 スティーブ・マクマナマン

         曇天のイングランドから、太陽の国と呼ばれるスペインへ。工業都市のリバプールから、欧州屈指の世界都市マドリードへ。未踏の新天地で大きな足跡を残した英国人フットボーラーがいる。  スティーブ・マクマナマン。愛称は“マッカ”。身長188cmと高さはあるが、体型はモデルのような痩身で、手足が長い。主に中盤のサイドでプレーし、武器はドリブル。同時代のドリブラーで有名なのはマンUのライアン・ギグスだが、マッカのドリブルはギグスのように爆発的かつ直線的なものではなく、長い両足で独特の

        • 武骨なマエストロ ポール・スコールズ

           激しい爆裂音。フットボールスタジアムでそんな音を体感したのは初めてだった。2002年6月7日、2002年W杯、イングランド対アルゼンチン。グループリーグで最も注目されていた因縁の対決のプレミアムチケットを運よく入手できた私は、熱狂の札幌ドームでこの大一番を観戦した。冒頭の爆裂音の正体は、ポール・スコールズが放ったミドルシュートの音(右足がボールを叩いた瞬間の音)である。シュートは惜しくもゴールを外れたが、スコールズの代名詞ともいえるミドルシュートの破壊力に戦慄が走った。

        南米の怪人 カルロス・バルデラマ

          献身の戦士 パク・チソン

           名もなき戦士の最初の大きな挑戦は2002日韓W杯。グループリーグ最終戦、強豪ポルトガルを相手に決勝ゴールを決め、ベスト4入りの立役者となった。当時Jリーグの京都パープルサンガで共にプレーしていた松井大輔は、W杯後にチソンは別人になっていたと語る。その後、韓国代表を率いた名将フース・ヒディンクの推薦を受け、オランダの名門PSVアイントホーヘンへ移籍した。  次の大きな挑戦は2004-05UEFAチャンピオンズリーグ。セミファイナルでイタリアのACミランと激闘を繰り広げ、ホー

          献身の戦士 パク・チソン

          最後の王様 ズラタン・イブラヒモビッチ

          「俺は誰にも似ていない。ズラタンはオンリーワンだ」  フットボールの世界に真の王様がいなくなって久しい。かつてはペレ、プラティニ、マラドーナのように、クラブチームでもナショナルチームでも絶対的な存在感を放ち、ゲームを支配するエースがいた。しかし現在のフットボールでは規律や連動が重んじられ、“違いを生み出し続ける”我の強いプレイヤーは敬遠される傾向にある。メッシやネイマール、ロナウド(ブラジルの怪物ではないほう)も王様タイプだが、かつての王様たちと比べればスケールも存在感も小

          最後の王様 ズラタン・イブラヒモビッチ