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【感想】この癖がすごい! 漫画「夜桜さんちの大作戦」作者の“ 凶一郎愛 ”がすごい

『このへきがすごい!』のお時間です。

エンタメの中から、“製作者の癖がすごいな…”と思ったものを紹介します。

さて、今回取り上げる作品は、ジャンプで連載中の漫画「夜桜さんちの大作戦」

アニメ化も決定し、今年4月から放送予定です。


さて、『このへきがすごい!』のコーナー
今回は…

作者・権平ひつじ先生の「凶一郎が好きすぎる」癖がすごい!
という話をします。

作者の「凶一郎愛がすごい」

あのー。作者の寵愛を受けてるキャラをほんと久々にみました。

気のせいじゃなくて、本当に権平先生は凶一郎をめちゃくちゃ気に入ってるなと感じます。この漫画で常にスポットライトが当たっているというか。

主人公は太陽だけど、この漫画の裏テーマはきっと「夜桜凶一郎という人間を描くこと」だと思います。

序盤に追加する新キャラが殺香と鳩田で、「六美への愛が歪んでいる」という凶一郎の類似属性な点とか(主人公の対比類似で話を広げない)

夜桜家の兄弟姉妹はたくさんいるけど、シナリオの中心は常に太陽と六美と凶一郎の三人組の関係性を描いている感じとか(例えば、幼児化する話は太陽と凶一郎で対比展開させる)

タイトルは「夜桜さんち」なんだけども、この漫画って常に太陽・六美・凶一郎のトリオの話だと感じるんですよね、ブレないな

作者の書きたいものって、この三人の関係性(を通しての凶一郎)なんだろうなと感じますね。新章突入で双子が登場しますが、それも「太陽と六美と凶一郎トリオの概念」なのは変わらないように思いました

きっと作者は「父性が好き」

昔に権平先生の読み切り「チャコの脱獄論」を読んで印象に残ってるんですけど、権平先生はきっと「父性」が好きで、父性を描きたい作家なんじゃないかなと思います。

「チャコ」も「夜桜」も、主人公を通して父性的なキャラクターに対して憧れを持つ…みたいなフォーマットなんですよね。主人公じゃなくて、主人公が憧れる存在こそ、描きたい対象のように思いました。
主人公の視点を通して、憧れの存在を魅力的に描くフォーマットを好むのかな?

作者のブレない「癖」は売りになる

なぜ『この癖がすごい!』という角度で本作を取り上げたかというと、作者の突き抜けたへきは強力な武器になると思っているからです。エンタメとして強度が高く、売りになる。

シナリオには作り手の理性が入りますが(内容に整合性をとるため)、癖はより本能に近いというか。
作者という人間の、理性の皮を剥がしたその奥にある“癖”にこそ、我々はきっとお金を出す価値を(無意識にでも)見出しているんじゃないかなと感じています。
その人にしか書けない一点モノの ““好き”” にはとびきりの栄養と魅力がありますよね

そして結構面白いのが、作者の癖は大半の読者層にスルーされるところ。
人気投票の結果を見ても、『夜桜さん』が多数派に受けているのは「凶一郎ではない」んですよね。こういうの、メジャーなサブカルではあるあるで、興味深いです。
大多数には直接受けなくても、作者が注ぐ情熱とか勢いって、サブリミナルでじわーっと効果があるのかもしれません。
へきって一部の層に大ウケするってだけでなく、作品全体に魅力をじんわり上乗せする効果があると思っています。

週刊連載の魅力は「癖」を引きずり出すシステムにある?

週刊連載ってハードスケジュールであることはよく耳にしますよね。
でもやっぱり漫画界の王道といえば週刊連載作品ですし、なにか「週刊」であることにエンタメの肝があるのかもしれないなと考えます。そこで思ったんですが

…週刊連載システムってもしかして…

「作者を多忙な執筆スケジュールで追い詰めて、理性を剥がし、奥にあるその人自身の「本能」を意識的に引きずり出そうとしている?


作者自身の癖を絞り出して極上ジュースにしたものを、我々読者にふるまって美味しく飲んでもらうエンタメ。
もしかしてそれが週刊連載の唯一無二感の正体なのかも…。

ローマ帝国でコロッセオを観戦しながら酒を嗜む貴族みたいなエンタメ。それがもしかして、週刊連載漫画なのかもしれませんね…

おわりに

「夜桜さんちの大作戦」のアニメが4月から放送されます。
個人的には、凶一郎がどんなふうにアニメで描かれるのか注目しています。

誰かのへきを他者が扱うとき、どういった化学反応になるのでしょうか。

今から楽しみです!


#夜桜さんちの大作戦 #漫画 #感想 #アニメ

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