誠意

ラジオから流れるチェロの調べに
ああ この曲だと
かつて高校の部活帰りに向かった
新しくできたばかりの
コンサートホールでの
演奏会を思い出した

当日 冒頭で その高名な演奏家の方がは
実は曲目構成を勘違いしていましたと
おっしゃられ 後日もう一度 演奏会を
開いてくださったのだ

どちらも かけがえのないひととき
二回目の方が 格別に思えた
作曲家への敬意と聴衆への誠意
ご自身の演奏家としての矜持
温かいお人柄が伝わってきた

今 ラジオの演奏が終わり
どこかで聞き覚えのある
海外の奏者のお名前と曲の紹介があり
次のバイオリン曲に移った

***
昨日馬頭琴を見かけた
遠目にはかわいらしい印象だった

教科書に 何十年と変わらず
同じ作品が取り上げられていて
今の子ども達は 学校で 民族衣装と楽器とを
実際に目にし その国にまつわるお話も聞ける
どうやら それが当たり前のようだ

いつものように 宿題の音読のサインも終え
王族と庶民の暮らしとを 思い比べる
権威を振りかざす傲慢な存在と
理不尽なことでも一律に従う立場
守るべき家族の在り方
***

幼少期から 日々どんな景色を見て
誰と接して過ごすかで
人生感は随分違うのだろう

いかに環境や立場が変わろうとも
揺るぎない信条を 持ち続けたいと願う
あの時のチェリストのように

















 
















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