城趾

近づく程に 遠ざかる
きっと 分かれ道をことごとく
選び間違えているのだろう

これでは斥候も務まるまい
あたかも往古の造り手に
試されているかのよう

ようやく頂に到り
四方を見渡す

この景色の中で
戦い抜いた人々を思う

資材を運ぶのにも
難儀したに違いない

雨水をためていたのか
秘密の抜け道を設えていたのか
後世の素人にすれば 何もかも謎だらけ

草むらの間を駆け下り
ひび割れた舗道に出る
いつかは この道も
見分けがつかなくなるのだろう








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