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インド洋タイポールモード現象

インド洋に浮かぶ島にある、その洞窟に入ると、急に冷えて、半袖では耐えられなくなる。

何か羽織るものを、と手を伸ばすとそこに、カーディガンがあって、ちょうどいいや、とそれを羽織るともう脱げなくなる。
カーディガンの呪いで、以来カーディガンの人、という印象がついて、なかなか離れない。
実際、カーディガンも離れないけれど、それはそれとして、世間の冷たい視線が実に痛い。
でも、カーディガンなんてすぐに脱げるんじゃ、と思ったあなた、呪いを舐めちゃいけない。

カーディガンを脱ごうと、袖に手をかけるでしょ、するともう一方の手がそれを拒んで磁石が反発するみたいに、グインと逃げていく。
反対で手にかけても、同じこと。
これが呪いでもうどうしようもない。

え、一生カーディガンを羽織っていないといけないってこと?
その通りなのである。
つまり風呂に入る際も、カーディガンだけは脱げない。
他は脱げるのに、不思議とカーディガンだけは残っている。
そして手をかけるとグインだ。
仕方なく風呂に入るが、カーディガンはすぐに濡れてしまい、ベタベタして気持ち悪い。
いっそのこと、もう肌みたいに何も感じなくなればいいのに、あくまでもカーディガンとしての存在感を保っている。

それがインド洋タイポールモード現象だ。

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