ごらん、パレードがいくよ
パレードは厳かに、あくまでも厳かなまま進んでいく。
僕が想像してたパレードとは少し違っていて、だれも、何も言わない。
いや、パレードは音楽と光の鮮やかな集団、というのが世間一般のイメージだと思っている。
けれど、違う。
これは明らかに違う。
だからパレードなのかどうか、それがもはや怪しい。
もしかしたらこれはパレードではなく、それに似せた何か、なのかもしれない。
だとしたら危険だ。
みんなパレードがやってくると思って待っていた。
それが間違いだったとしたら、暴動が起きるかもしれない。
俺はパレードを見に来たわけで、こんな地味な中年の男女が順番に歩いている列を見て、何が楽しいのだ。何が夢の国なのだ。
そう、ここは夢の国であり、僕らは日常を忘れて楽しみに来ているわけで、何が楽しくてこんな亡霊みたいな列を。
そう考えると、だんだん腹も立ってくる。
騙されている。
と思ったが、そもそも、誰も、パレードが来る、とは聞いていない。
あくまでも噂で、パレードを見に行かないか、という呼びかけがあったにすぎない。
つまり誰も責任を押し付けられないわけだ。
その鬱憤が、渦巻いていてついに、誰からともなく、その列に加わり始める。
けれど、暴力的な人はいなくて、ただ、列に加わるだけで、ぼんやりとした目で列に加わっていく。
パレードは拡大しつつある。
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