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ぎっくりしゃっくり昼下がり 22年春

これはテキストベースのラジオ番組「ぎっくりしゃっくり昼下がり」である。一回見ると忘れないこのネーミングセンス、ほんとにステキですね(褒めてます)。お久しぶりのギク川霊さんにご登場いただくのであるよ。




はいっ!
いや〜、すっかり春ですねっ!
春がね、参りましたっ!

みなさんこんにちは〜、ところによってはですね、こんばんはのところもあると思いますがっ! もうね、時代はグローバルっ!ですから、はいっ。
お久しぶりのギク川霊でございますっ!

もうですね、わたくしギク川のまわりはですね〜、春って感じでして、ええ、そうなんですよ、なんだかですね、藤の花も咲いておりまして、春本番って感じがね、いたしますですね〜、はいっ!

え〜、わたくしギク川ですね、ほんっっとに久しぶりの登場でございまして、みなさんね、わたくしのことをお忘れじゃないかと、ええ。
そう思いますとね、もう夜もですね、眠れるんだか熟睡するんだか、いや〜、どっちにしても寝てるぞと、ええ。
ということでですね、今回も元気チャージばっちりでですね、お送りしたいと思います〜はい〜。

さてっ、
本日ですね、
お久しぶりのgeekさんにご登場いただこうかとっ!
はいっ! こんにちはっ!

こんにちは、…こんにちは

geekさん…

はい

2回言いましたね?

えっ? はい、なんとなく

よござんす。
ということでっ、
ご無沙汰しておりますがっ、お元気でしたか?

おかげさまで、なんとか、はい。

あのですね、
ギク川リサーチ情報によりますと、
なんだかお忙しいようですが

え、そうなんですか?
それはまた、どういった…

なんだか、
審査員をやられる
という情報をキャッチしまして

あっ、はい、そうですね。
ありがたいことに、ええ。

そして油断したところが
こちらから依頼を頂いたって
聞きましたよ…

はい、油断しておりました。

わたくしギク川がいない間に、
こんなことになってたんですね。

どうやら、なってましたねぇ。
ありがたいことです、はい。

と、いうことでっ!

ということで??

今回はですね、こちらの作品について
geekさんに聞いていきたいと思っておりまっす!

あ、そうなんですね。
そうですか。

はいっ!
準備はよござんすか?

…よ、よござんす


はいっ!

ではでは、
改めまして今日のお題はこちらですっ!

こちらの作品についてですね、
伺っていきたいと思います、はいっ!

え〜早速ですが、
お題が「旅」だったようですね。

そうですね。旅。まずこのピリカ文庫ですね、いろんな方が面白い作品を寄せてらっしゃいまして、なかなかすごいところなんですね。ひとつのお題に対して、2人のクリエイターが作品を寄せるというものですね。
そして、これまでの履歴を見てますと、ほかのテーマに比べて自分のイメージに合ってたのかな、と感じますね。そういうものを選んでくださったんでしょう。
ありがたいことですね。

なるほど〜。
このピリカ文庫で
「旅」以外に、書いてみたいテーマとかってありますか?

う〜ん、「創作」は自分よりも他の方のほうがうまく書かれるので、そこに割って入る、というのはあんまり考えてないんですよ。

そうなんですか?

そうなんです。
書こうと思ったら、変ではない程度のものは書けるんだろうと思うんですが、かなり時間を費やす気がしますね。
それはそれとして、他のお題、抽象的な方がイメージが膨らむかもしれないですね。逆に、たとえば最近の「エイプリルフール」とかって、わたしだと書けないと思います。こういうのでパッと書けちゃうって、すごいですよね。ほんと、noteって多士済々というか、感心しますね、はい。
どちらにしても、わたしはなかなか書けないな〜と感じてます。

とはいえ、
今回はオファーから完成まで
そんなに時間がかかってないというウワサも…

あ〜、どれくらいでしたか。ギリギリになってお待たせしてしまうのはいけませんので、早く仕上げたいな、とは思ってましたが。……いま確認したら、オファーをいただいてから完成まで1週間かかってなかったでしたね。

じゃあすぐに書かれたんでしょうか?

お受けして数日後にnoteの下書きを書き始めて、そのまま仕上げた感じですね。
お受けするときにピリカさんへの返信メールを書きまして、そこで「もう面白そうなひきだしはあらかた開けてしまいました」とお伝えしたんですよ。
なので、何もないところから出発しました。

なんとなんとっ、
じゃあ書き始めてからは早かったんですね。

そうですね。お受けしたタイミングでは「近いうちに書こう」という話題も無くて、温めてたアイデアも熟成下書きも無かったんですよ。で、どうしようかな〜どうしようかな〜って思いながら、

思いながら、どうされてたんですか?

参考になりそうな本をいくつか読んでました。

そうなんですか!?

ええ、そうなんですよ。イザベラ・バードの「日本奥地紀行」とか、丸パクリできないかと。ははは。冗談ですよ。
あとは星新一の「できそこない博物館」とか、枕草子なんかですかね。何かヒントになりそうなことないかな〜と。

じゃあ、そこからヒントを得た!ってことでしょうか!?

いや、書けそうなことは何も

いやいやいやいやっ、
それはピンチじゃないですか!

時間はあったので、どうしようかな〜と思いまして、「旅」ということばの捉え方から考えてみようかな、と思ったんですよ。

お題の捉え方が大事だぞ、と

ええ。
ここで通常の捉え方をすると、きっと他の方が書かれるものと並べたときに、自分の文章は見劣りするだろうな、と感じたんですね、漠然と。そこで、以前に書いた自分の文章をヒントにしたほうが早かろう、と思い直しまして、

なるほど〜、
そうしたら何か浮かんできましたか?

過去の投稿をみまして
「バイクでツーリングする文章書いたんだなぁ」
と思いました。

…あの、geekさん

はい?

…ギク川もですね、
存じ上げておりますよ、それは

ははっ。
で、どうしよっかな〜と思いまして。
ひとつね、アイデアとしては浮かんだんですけど。

おおっ!
どんな感じでしょうかっ!

あ、聞きたいですか?

ぜひっ!

えーっとですね、学生さんが主人公の話です。
導入部分、学生が古文の授業で、奥の細道に触れるわけです。「月日は百代の過客にして、行き交う年もまた旅人なり」って。

有名な文章ですね。

そこから「先生、旅ってなんですか?」って聞くんですよ。すると先生は黒板に大きな円を無造作に描いて「旅っていうのは、こっから出発して、元のところに戻ってくるってことや」と面白くなさそうな顔して言うんです。「芭蕉ってそうやろ?」とか、わかったような顔して。
学生としては「先生っ! ふざけんのやめてくださいっ!」ってなるんですよね。そこで喧嘩して、学生はあてもなく出かけるんです。で、出かけた先で何か成長につながるような出来事を入れて、家に帰ってくる頃には心の中が整理されている。
出発してから、いくつかの出来事があって、大きな円じゃないかもしれないけれど、ちょっとした円を描いて、出発した元のところに帰ってくるようなもので、まあ、こういうのが旅ってことなのかな、と気づく、という感じで着地させればいいかな、と。

なるほど〜。
そして、それは書かれなかったんですか?

書いてませんね。一言も。
頭の中にありましたが、いま初めて書いてみました。
なので、もういいかな、と。

あっ! 
もういいんですか!?

はい、いま書きましたので。

ええ〜っ? あっさりですね。

他の方が書くと面白くなるかもしれませんね。

そぉですか〜。
で、実際に完成したものは
今おっしゃったお話と全然違いますよね?

そうなんですよね。
そこで「旅」をもう一回捉え直してみようと思いまして。

旅、ということばを、ですか?

はい。
しばらくは「ものがたりに出てくる人が旅をする」と考えていたんですが、どうせだったら、読んだ人が旅をした気分になったほうが面白かろう、と思いついたんですね。何気なくnoteで下書きでメモし始めた時にふっと思いつきました。

それがオファーをいただいて数日経ったときだったと!

あっ! 鋭いですね。
そうなります。

じゃあそこからは
ほんとにすぐ書き上がったんですか?

そうですね。
2時間か3時間くらいじゃないでしょうか。
一旦最後まで通して書いてみて、ちょっと読んでみて。
で、修正して。

なるほど〜。
じゃあ文章はすらすらと出てきたって感じでしょうか

そうですね。
一言で言えば「朝、散歩をしました」ってだけのことなので。ただ、

ただ?

いくつか工夫するようには心がけました。

と、おっしゃいますと?

五感に訴えかけるような表現を入れる、というのがひとつですね。視覚だけじゃなくて、肌で感じる寒さや暖かさ、あとは、言葉で正確に表現するのは難しいですが、嗅覚の表現がうまく作用するといいな、と思いました。静かな朝の散歩、ということで聴覚に関する言葉は入れてませんね。最後、コーヒーのところは、味覚にも訴えかける、かもしれません。

そうなんですね〜

あとは、音ですね。
読むときの抑揚、リズムがおかしな感じにならないよう心がけたところはありますね。わざと文を切らなかったり、短い文を挟んだりしつつ。

そういえば、
言葉遣いがちょっと現代風とは違いますよね

そうですね。
参考にしたのは、泉鏡花の高野聖です。
わたしの書いたのは現代の景色なんですけど、文体を現代からずらすことで、土地だけでなく、時間的にもちょっとした旅の気分が出せればいいな、と思いました。
今回、あのいぬいゆうたさんに朗読いただいたのですが、実は泉鏡花を朗読してらっしゃったんですね。


今回、いぬいゆうたさんがgeekさんの作品を朗読されるっていうのは、
ご存知だったんですか?

いえ、配信で初めて知りました。
サプライズでしたね〜。

いかがでした?

やっぱり流石ですね。わたしが読んだらあんなにいい感じにはなりませんので。すまスパのパーソナリティこーたさんが「まるでオーディオブックで往年の名作を聴いているような感覚」とおっしゃってまして、いぬいゆうたさんの力量で、レベルの高いものに仕立てていただいたんだな〜、と思ってます。ありがたいことです。

ピリカさんご指名だったそうですね

さすがの人選でしたね、ほんと。
って、ギク川さんよく知ってますね〜

そりゃもう、
わたくしギク川ですからっ!

あ、そうですか

はいっ!
そしてそしてですね、
文章の構成なんですけれど、
どんなことを考えながら書いてたんでしょう。

あんまり考えてなかったです。

なんとなく書いて、ちょっと足して、引いて、という感じですね。

この表現を使ってみたいな、
とかそういうのはありましたか?

う〜ん、そうですね。あまり直接的な表現は使わないようにしました。春の肌寒さから暖かさへ移っていく雰囲気が出せるといいな、とは思いましたけどね。

な〜るほど〜

あ、そうだ。
結果的に枕草子は意識しましたね。

とおっしゃいますと

この文章って、最後に喫茶、つまり「人間のいる場所」を登場させたんですけど、この構成は枕草子が頭にありました。

そうなんですか?
ギク川ですね、
ぜんっぜん「なるほどっ!」ってならないんですけど

えっとですね、
枕草子の第一段、春夏秋冬の春夏秋までは、景色の話をしていたのに、冬の部分で急に人が登場するじゃないですか。「火など急ぎおこして、炭もてわたるも・・・」と言って。この第一段を読んでいくと、春夏秋と、どこか観念的な世界の話に見えたのが、冬の描写に人間が登場することで、世界が身近なところに引き寄せられるような気になるんですね。

ええ

わたしが書いたものでいえば、途中までは、自分の五感を通した世界を捉えているだけなんです。五感で感じる世界にフォーカスすることで、周りが静かであること、言い換えると独りで歩いていることを同時に表現してるんですよ。
それが、最後に人間のいる場所を置くことで、そういう独りの世界から、人の居る世界に戻ってきた、言い換えると、小旅行から帰ってきたような効果を狙ったんですね。そういう意味では「異世界を彷徨うていた」とわざわざいうのはちょっとくどかったかもしれません。
あと「泡沫」もちょっと表現を変えたほうがいいですね。雲散霧消、というのがいいか、それに類する言葉の方が意味が通りますから。

そうだったんですね。
ここまで伺うと
「な〜るほど〜」という感じに思えてきますね。

いまご覧になると改善点があるとおっしゃってますが
では、この作品は
100点満点で言うと、何点くらいでしょう?

えっ!?
う〜ん、いい質問ですねぇ…。
そうですねぇ。
……75点くらい、でしょうか。

そうなんですか!?
ギク川ですね、
意外と謙虚な感じに思ってしまいますが

やっぱりね、ものを書く人から見るといろいろ見えるところがあるだろうな、というところと、創作を継続してやっているわけではないってところ、でしょうかね。
改善点があるから、より良い文章が書ける可能性が残ってるってことで、いかがでしょう?

はいっ!
ありがとうございます!!


ということでっ!
今回は久しぶりの放送でですね、
geekさんに
「文章で旅をする」
という作品について伺いましたっ!

いや〜、久しぶりでしたが
皆さまですね、
ギク川のこと、
思い出していただけましたでしょうか!?
忘れた頃にですね、
わたくし登場するかもしれませんよ〜。

さて次は
どういう話題の放送になりますか、
お楽しみに!
今日のお相手はこちら、はいっ!

あっ!
久しぶりすぎて、また油断しました。
えー…、はい、
geekと

ギク川霊でしたーっ!
また次回お会いしましょーっ!

バイバーイ!