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第1回キリコ研究会発表会 ~ オリジナルサインの採用について ~

初投稿させていただきます、ぎんぅ(@gin_dmps)と申します。

今回は第1回キリコ研究会の成果を述べさせていただきます。 テーマは「キリコデッキにおけるオリジナルサインは必要か」です。以下、目次です。
結論だけ見たい方は、「まとめ」、「結論」を読んでください。

キリコによる実績について

・グレートチャクラカップ(22/05シーズン)ND最終45th レート1677
・デビルディアボロスZカップ(22/08シーズン)瞬間24th 18戦 16-2達成

研究に至るきっかけとなったBA 8th について

22/08/11(祝木)にBA 8th (Battle Arena 8th) が開催されました。私の事前メタ予想は、「ラッカ超次元」、「ダイヤモンドカスケード」等の中速ミッドレンジが最大母数と予想していました。同環境で猛威を振るっていたネクラ超次元は日が経つにつれて対策が進み、ネクラ超次元の切札「バルカディアス」が呪文を止める能力を持つならば、呪文を使わないデッキ、つまりクリーチャー軸のデッキを使えばいいのではないかとユーザーの中で考えが広まっていったように見受けられます。また、直前の公認オフライン大会でBest4に「ラッカ超次元」が3人入賞していました。そこで、ネクラ超次元は少なく、「ラッカ超次元」やクリーチャー主軸のビートデッキが多いのではないかと推測しました。また、速攻系デッキがネクラ超次元に微有利を取れることから一定数いると考えました。そこで使用したデッキが「オリジナルサイン型エンペラーキリコ」です。

BA 8th 使用デッキ

キリコというデッキは生半可なビートデッキに有利を取れる点が特徴だと思います。このデッキに対して、中途半端に殴ると手札を与えたり、マナが伸び「エンペラーキリコ」の着地に貢献してしまうからです。以下、実際に対戦したデッキです。

1回戦 クローシスMRC 〇
2回戦 ネクラデスドラゲリオン 〇
3回戦 エンペラーキリコ ×
4回戦 ダイヤモンドカスケード 〇
5回戦 ダイヤモンドカスケード ×

メタ読みは少し当たったと言えるでしょう。しかし5回戦、有利であるはずのダイヤモンドカスケードに負けを取っています。この試合がきっかけで、今回の研究テーマを思いつきました。

事故現場 

なんと、キリコ着地直前でブースト時にオリジナルサインが落ちたのです(レインボーカードのためそのターン使用可能マナ数が増えない)。これが原因でエンペラーキリコを出すことができず、ターンを返し負けてしまったのです。ここが単色だったら勝っていたかもしれない。そこで、私はオリジナルサインが本当にこのデッキに必要なのか研究しました。

研究方法

前提として、オリジナルサインを採用する理由として「速攻デッキへの回答札兼他デッキへの受け札」、「手打ちによるキリコ着地の上振れ要素」が挙げられます。今回採用した理由は前者ですし、大体の方も同様な理由だと思います。そこで、「オリジナルサイン」の必要性を「シールドから踏む確率」と「重要局面におけるブースト時にマナに落ちる確率」を天秤にかけて比較することで検証していこうと思います。
※今回、別のレインボーカードによる影響は考慮していません。

研究内容

・「シールドからオリジナルサインが来る場合」

まずは、「シールドから踏む確率」から。
以下、4投時における計算式です。(「オリジナルサイン」が盾に1枚埋まる確率の場合)

オリジナルサインが1枚盾に埋まる確率 計算式

こちらが、0枚(埋まってない場合)~ 4枚全ての場合をまとめた結果です。

図1 オリジナルサインが盾に埋まる確率

オリジナルサイン4投時、盾から1枚以上トリガーする確率は42.7%(1 - 0.573)となり、2試合に1回トリガーするかどうかという結果となりました。

・「重要局面におけるブースト時にマナに落ちる場合」

まずこのデッキにおける重要局面という言葉の定義付けをします。
特に重要なのは、やはり「エンペラーキリコ」の着地可能ターンの局面。
そして共通認識として、マナチャージはターンに1回手札からマナに置く行為のこと、マナブーストは山札からマナゾーンにカードを置く行為のことを指します。
” ゆっくり確実に展開できる ” に越したことはないですが、現環境、キリコの実装当初より試合の高速化が進んでいたり、低コスト除去が増えた影響で、以下に示すようなギリギリな展開を要求されることは多々あります。

パターン1「盤面1体+6マナ時」(マナチャージで7マナ)
この局面におけるキリコ着地ルートはフェアリーライフ or クサナギ + アマテラス { または 青銅 + 聖域(盤面のクリーチャーがオリジンの場合に限る)または リリィ + 聖域の3択。}
※今回の事象では前から1つ目の場合のみを取り上げます。(後の2つはオリジナルサインが落ちるか落ちないかに左右されないので)

パターン2「盤面0体+7マナ時」(マナチャージで8マナ)
この局面におけるキリコ着地ルートは青銅+リリィ+聖域 または 青銅+アマテラスの2択。

この2つのパターンをここでは、重要局面と定義します。
パターン1・2に共通していえるのはマナブーストカード使用時、デッキトップがレインボーだった場合、マナが足りず、その動きを通すことができなくなります。次に記載する結果にミニ重要局面パターン3~5があるので一応、、、雑に流してもらって構わないです。

・パターン3「3マナ時 2コスブースト+青銅」(マナチャージで4マナ)
マナ数が4の時に、2ブースト決めれる最強ムーブ。

・パターン4「4マナ時 2コスブースト+エナスパ」(マナチャージで5マナ)
マナ数が5の時にブーストから2枚ドロー or 1体バウンスができる。

・パターン5「青銅+エナスパ」(マナチャージで6マナ)

図2 ブースト時、オリジナルサインが落ちる確率(スマホの方はクリック+拡大推奨)
オリジナルサインに限らず、レインボーカードが落ちる場合と同義

計算方法は、そのパターンの動きを取るときの平均残り山札枚数を参照して、デッキトップが「オリジナルサイン」である確率を出しています。(トップが「オリサイ」= ブーストカード使用で「オリサイ」が落ちる)

例:パターン1(平均山札枚数 19) で、デッキ内の「オリサイ」が1枚の時トップが「オリサイ」である確率P1
P1 = (1/19) * 100 = 5.26 %

ターン前後でドロー・ブースト等による多少のずれがあるため、平均山札枚数には誤差があります。パターン1・2においてデッキに2枚以上「オリジナルサイン」があると、ブーストカードにより「オリジナルサイン」が落ちてキリコ着地ができなくなる確率が10%~23%もあります。先ほど述べた私の交通事故は確率的に正しいと言えます。5試合もすれば重要局面において1度「オリジナルサイン」が落ちても文句が言えない確率です。

実際に起きた事故現場での事故率と反省

BA 8th 5回戦

この状況はパターン1です。山札枚数が20枚、公開ゾーンにレインボーカードが2枚見えていたので、今回の構築の場合、山札にはレインボーカード残り0~3枚の場合が考えられます。山札にレインボーカードがn枚あり、トップがレインボーであるときの確率をPnとします。
P0 = 0/20 = 0%
P1 = 1/20 = 5%
P2 = 2/20 = 10%
P3 = 3/20 = 15%
結果論、盾全てが単色だったので今回の場合、事故率はP3の15%が当てはまります。
低い確率のように見えますが、5戦も行っているといつか引く確率であったと思います。敗因は明らかに事故率を上げた構築のミスだと言えます。

まとめ

「オリジナルサイン」の必要性を「シールドから踏む確率」と「重要局面におけるブースト時にマナに落ちる確率」を天秤にかけて比較すると述べました。
「オリジナルサイン」を4投しても、盾から出ない確率は57.3%であり、この確率では速攻系を見れているのかは少し怪しいところです。また、「オリジナルサイン(レインボーカード)」がデッキ内に2枚以上あれば、ブースト時、常に最低でも10%以上の確率でキリコが出せないリスクを背負わなければなりません。

結論 「結局採用するべきなのか?」

私の結論としては、4投は採用するべきではないです。速攻系デッキを見るためだけにその他対面、毎試合10%以上の負け筋を背負うのは大会やランクマッチにおいては正直キツイところです。環境が速攻系デッキに支配されているならそもそもこのデッキを使うべきではないです。

新たな発見

ここからは今回の研究を応用した考えを2つ述べていきます。

・1つ目「キリコにレインボーカードを投入できる枚数」

「オリジナルサイン」の他に採用されるレインボーカード「クサナギブレード」についてですが、「オリジナルサイン」が0枚、「クサナギブレード」が4枚の場合、図2での確率がそのまま当てはまります。この2枚のレインボーカードに限らず、キリコというデッキにレインボーカードを合計4枚入れると上記の事故が同様に最低10%以上で起こり得ます。もちろん、これ以上増やせば事故率はもっと上昇します。
事故率を10%強以内で抑えるならば、レインボーカードの採用できる結論枚数は「1~2枚」、多くて「3枚」まででしょうか。

図3 レインボーカード1~2枚の事故率拡大版(再掲)

レインボーカード1~2枚ならばこの事故率で収まります。1枚盾落ちすれば、5%強というかなり低い確率となります。

・2つ目「オリサイ2枚、コルテオ2枚 確率的ベスト説」

どうしても「オリサイ」がないと使っていけないという方向けです。1つ目でレインボーカードの確率的に採用できる枚数が「1~2枚」と述べました。トリガー率を減少させずに、事故率を増加させない組み方が「オリサイ2枚+コルテオ(別の単色トリガーでも可)2枚」です。
※ただし、同時にクサナギのような別のレインボーカードを採用すると事故率増加です。
最低限の受けがあり、事故率も増加させない配分だと思います。

最後に

とても長くなりましたが、読んでいただきありがとうございます。
計算方法や考え方に誤りがあった場合は申し訳ございません。
これからもキリコの研究を様々な視点から行っていこうと思っています。
第2回をどうぞお待ちください。

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