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「西のあじさい寺」東大寺別院阿弥陀寺


「西のあじさい寺」とよばれる寺に紫陽花を愛でに行く。

私の記憶の奥にある阿弥陀寺は、今にも崩れ落ちそうな土壁と見上げるほどの大木老樹と濃く茂った葉と仁王像、幼い私にとっては、ちょっと怖い雰囲気の古刹だった。

昭和50年頃より境内に紫陽花が植えられ始め、その後「西のあじさい寺」を目指して本格的な植樹活動を経て、現在80種4000株の紫陽花が植えられ、「西のあじさい寺」として参拝客の目を楽しませてくれている。

前々日の強風と大雨に浄化された山の木々は、深く清々しい緑色のグラデーション。

紫陽花が五分咲き、七分咲き

お地蔵様の赤い帽子が、午前のやわらかな光を浴びる。

大平山の山麓、牟礼坂本に佇む古刹での、静かに流れる時間

ふるさとを巡る時間は、かけがえのない心潤うひと時だ。
泰山木(タイサンボク)精緻な工芸品のような白い花

景観や暮らし、自然は、十年、二十年、いや五十年先を描ける視点があってこそ

そんなことを、「西のあじさい寺」となった長い年月を振り返りながら思い、東大寺別院阿弥陀寺を後にした。

阿弥陀寺別院から車で防府天満宮まで戻る。

ここだね、と決めていた店でお茶時間

築100年を超える民家は昔旅館を営んでいたそうで、その後、薬局を開いていたそうだ。
そういえば微かに記憶があるような・・・

ひんやりとした風が通り抜ける。このレトロ感が、なんともお洒落

「おいしい。私、ここ大好き」と自然と言葉が出てくる。

ブルーベリージュース
苺の「酵素ジュースのソーダ割り」

ドリンクひとつ撮っても美しい。
ゆっくり飲んで、通り抜ける風を感じる。

いい町だなぁ。

十代のころは、嫌いで退屈で、何一つ変わらない停滞した空気が性に合わないやと思っていたというのに、「ここでまた暮らすのもいいかもね」などと、ありえない話をしたりするのだから、人間って変わるもんだ。


もっと風を感じていたいけれど、そう長居をするわけにもいかない。

すぐ近くにある「山頭火ふるさと館」を訪れる。

山頭火の自由律俳句と人生を辿り、ゆっくりと過ごす。

雨ふるふるさとは はだしであるく 種田山頭火

天神鱧の、のぼり旗が、静かにそよいでいる。

紫陽花の花が俯くほど雨が降り続く梅雨、からりと梅雨が明けるころ、
鱧は脂を蓄えて一段と美味くなるそうだ。
「防府の夏の味覚」

(2019/06/08 訪問)


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