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【#8】いまのわたしを探す記録

母と友人。

2人は、四六時中、連絡を取り合っていた。

恐ろしいくらいに、ずっとだ。


母は、何か困った事があったら、友人へ連絡する。
友人は、母が少しでも喜ぶようなプレゼントをする。


それも、「えっ、こんな高価なもの…。どうしたの?」
といった品物を、これでもか、と贈る。


電化製品から、ワイン、映画のDVD、歌手のCD。
ポータブルDVDプレーヤーやタブレットなども贈っていた。


なんでそんなに…。
明らかに、普通ではない。


父はどう思うのだろうか。
もはや、家に帰ってこない父だから、
様子も分からなかった。


そして、その友人は、わたしの生活にも入ってきた。


最初は母と食事くらいだった。


すると、職がないと知った友人は、
自分のところで働くか?と聞いてきた。


わたしは、早くお金を貯めて、一人暮らししたかったので、
取り合えず、そこの面接を受ける事になった。


その法人は、NPO法人だった。
(詳細は伏せます。)


友人は、わたしの上司。
もちろん、同僚もいて、スタッフは5名の事務職といった感じ。


取り合えず、履歴書を用意しようと思っていたら、
友人が、面接の練習と言って、
いろんな所へ連れ出して、色んな事を聞かれた。


学歴、職歴、家族の話…。いろいろだった。
なんだかおかしい、と思いながら、
とりあえず、話せるところだけ話した。


そうすると、ひとしきり
わたしの情報をまとめ上げ、
面接の一問一答、一言一句を作り上げた。
(なんだこれ…。と思った。)


そして、紹介で入る、という話で臨んだ面接。
なぜか、他のスタッフは、
わたしと友人が知り合いという事をしらされていなかった。


それに、友人は面接官の席に座った。

「え…。」

そして、面接を受けるわたしを
余裕な顔で、点数をつけるかのように見ている。


なんだこれ。


とりあえず、面接が終わり、入社が決まった。


それからが地獄のような日々だった。


入社1日目。
早めに来て、緊張感を解こうと思ったわたしは、
1番乗りだった。


すると、つぎに友人が来た。
そして、わたしに、あるものを渡した。


「…。ICレコーダー?」


「引継ぎ中は、常にこのICレコーダーを録音して。
 先輩がいつ嘘をつくか、教えてない事があるか、これで分かるから。」


そう言った。


やはり、変だ。

これは流石におかしい。
こんな人と母は普通に付き合っている。
それも、四六時中、連絡を取り合っている。


そこから半年ほど、そこで務めたが、
友人は、その法人で揉め事を起こし、
わたしに自分の仕事を押し付けて、1人で辞めると言い出した。


本当に、意味の分からない人だった。


そこで、わたしも友人に角が立たないように辞めた。
(もう、二度とその職場には顔を出せない。)


それでも、母に話しても、それも仕事のうち。
社会勉強だよ、といった反応をされた。


更に恐ろしい事に、
家でのわたしの様子を、逐一、友人に報告していた。


今日、こんな事を言っていた。
今日は、仕事で疲れた顔をしていた。
同僚の話をしていた。

・・・。


もう、書ききれない程、わたしのプライバシーは
全くなかった。


精神的に追い詰められながら、
それでも、わたしはまた、次の仕事を探し始めた。


それが、わたしを実家から出る
上手い逃げ口になった。


そうやって、心身ぼろぼろになりながら、
やっと一人暮らしを始めた。



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