見出し画像

7インチ盤専門店雑記519「キング・クリムゾンで踊りますか?」

ロバート・フリップがエイドリアン・ブリューを擁し、リズム隊はトニー・レヴィンとビル・ブルフォードという、私的には最強布陣と言いたい80年代のキング・クリムゾンですが、3部作「Discipline」(1981)「Beat」(1982)「Three Of A Perfect Pair」(1984)で一旦解散してしまいます。クリムゾン・ファンの間でも実に人気のない時期です。90年代以降のライヴに重きを置いたプロジェクトの時代まで待たないと、そのよさが理解されなかったと言ってもいいのですが、あれはまた別という人もいますしね。…私的には、ビル・ブルフォードが叩いていればもうすべて買いなので、もちろん好きです。誰が何と言おうと、好きなものは好きと…。

Bruford Levin Upper Extremitiesあたりが、実はクリムゾン本体よりも好きだったりします。赤坂BLITZでのライヴ、間近で観ることができたのは有り難かったです。複雑極まりないリズム、ソリューションの瞬間はもうサイコーでした。不協和音から和音の主旋律に戻った瞬間の快感をリズムでやってみせたような人たちです。2000年のクリムゾンは、伝説と言われるロバート・フリップ翁恐るべしの一夜ですね。エイドリアン・ブリューの機材が不調で音が2度ほど途切れてしまうのですが、ロバート・フリップがもの凄い手数で弾き続け、演奏を続行したのでした。テクニカルな部分はエイドリアン・ブリューに任せてという反隠居状態クリムゾンと思っていたもので、その瞬間に聴こえてきたロバート・フリップのギターには驚かされました。

まあ、ここのところ、キング・クリムゾン関連の某人を題材に「プログレの大衆化」といった趣旨で書いているのですが、あまりにもポップになり過ぎたものよりは、ブルフォードあたりの音源が実は最も好きです。また別の機会に書こうとは思いますが、クリムゾン人脈は大衆化し過ぎずにプログレの面白さを維持・発展して行ってくれましたから、追いかける価値があったと思います。ジェネシス、ピンク・フロイド、ELP、YESとキング・クリムゾンで5大プログレ・バンドというわけですが、他は随分ポップで聴き易いものになってしまいましたねぇ…。

2001年は、ビル・ブルフォードのEarthworksでの来日でしたが、お台場のレストランみたいなハコでやってくれまして、まあ演奏は凄かったのですが、なかなか異な雰囲気でしたね。Earthworksの面白さを理解している人がどれくらいいたのかなと疑問に思ったライヴでした。…しゃべっていて聴いてないお客さんがやたらと多くて、ちょいと腹が立った記憶が残っています。

2003年のクリムゾンはビル・ブルフォードもいませんし、古い曲をやってくれるわけでもないので、満足度は高くないのですが、演奏クオリティは相当のものでしたね。硬質な音が耳に突き刺さって辛かったようなことを以前に書いております。

というところで、80sクリムゾンに戻りますが、1984年の「Three Of A Perfect Pair」からのシングル・カットは「Sleepless」でした。ヘッダー写真はこの曲の12インチ・シングルなのですが、…なんとDance Mixが収録されているんですね。…キング・クリムゾンで踊りますか?珍盤とでも申しましょうか、1980年代って、キング・クリムゾンですらダンス・ミックスを出した時代なんだということの方がインパクト大かもしれませんけどね。繰り返しますが、…キング・クリムゾンで踊りますか?…踊れますか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?