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7インチ盤専門店雑記338「B面の愉悦2:The Police「Someone To Talk To」」

ザ・ポリスの、と言うよりは、アンディ・サマーズの「サムワン・トゥ・トーク・トゥ」と呼びたい曲です。如何せんザ・ポリスのヴォーカルはやはりスティングです。でもこの曲、アンディ・サマーズが作詞作曲で、ヴォーカルも彼なんですよ。クレジットされてませんけどね。ザ・ポリスのWikiでも、誰が歌っているかも触れられていないので、アンディ・サマーズが歌った形跡は見当たりません。

そもそも、この曲、英国では「Wrapped Around Your Finger」のB面曲ということになっております。米国では「Wrapped Around Your Finger」のB面は「Tea In The Sahara」です。「Synchronicity I」は日本でのみシングル・カットされております。米国市場で考えますと、大名盤「Synchronicity」からはまず「Every Breath You Take」の大ヒットが出て、次が「Wrapped Around Your Finger」、サード・シングルが「King Of Pain」、4枚目が「Synchronicity II」でした。英国はまた違うみたいですけど、よく分かりません。

とにかくデビューからあまりに短期間で巨大な存在になって行ったThe Policeは、おそらくもう限界だということが誰の眼にも明らかだったでしょう。解散の噂が流れ始めたときも「やっぱり」という感想しかありませんでした。3人が3人とも相当な実力の持ち主だったにもかかわらず、完全にスティング主導になってしまいましたからね。しかもスティングがやりたいことをやっているわけではないという、難しい状況だったので、当然の結末でしょう。しかも最後のアルバムが名曲てんこ盛りだったわけで、The Policeは最後までThe Policeだったということなんですよ。

でも、その後がねぇ…。スティングは大ヒット連発になって行くわけですが、個人的にはアンディ・サマーズのアルバムとかもの凄く聴きましたし、好きだったもので、「なんで売れないかなぁ…」と思っていたのですが、B面曲とはいえ、こういう曲も録音していたんだということが知れたときには、嬉しかったわけですよ。

それにしても、何で日本は「Synchronicity I」がシングル・カットなんですかね?何でそのB面が「Someone To Talk To」なんですかね?レコード会社の担当者の思い入れか何か強く作用してませんかね…?

この時期、映像中心の時代になっていった背景もあり、シングル・カット、特に7インチ・シングルのリリースに熱心なアーティストとそうでない連中が峻別できるようになっていきます。当時はそんなことを意識しながら聴くことはありませんでしたが、7インチ盤専門店をやるようになってからは、7インチ盤があるかないかがハッキリしましたから、かなり強く意識するようになってしまいました。これはアーティストのご意向なんですかね?それともレコード会社の意向なんですかね?出資者、エグゼクティヴ・プロデューサーの意向もあったでしょうね…。ややこしい時代だな。

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