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7インチ盤専門店雑記498「Wild Thing」

エイプリルフールはどうも好きではないので、…新年度に相応しく、しょーもない音源をご紹介しましょうか。下ネタというほどでもありませんが、エロスを売りにした音楽というものがありまして、お好みでない方は飛ばしてください。…一応少しは売れたレコードの話ですけどね。

Fancyというバンドをご存知でしょうか?1974年にリリースされたファースト・アルバム「Wild Thing」が中ヒットとなりました。タイトル・チューンもそれなりに売れましたが、日本盤はリリースされなかったと思います。エロ過ぎて日本国内では放送できなかったでしょうから、納得はできます。物凄く苦労して何年も探し続けてようやく手に入れました。

「Wild Thing」、あれです。トロッグスのヴァージョンがナンバーワンになり、ジミ・ヘンドリックスもカヴァーした有名な曲ですね。…ジェフ・ベックもやってました。あの曲のエロエロ・ヴァージョンが1974年の後半から1975年の冬頃、よく流れていたんです…FENだけですけどね。とにかく喘ぎ声まみれなんです。ヴォーカルということになっているアン・カヴァノーさんは、ポルノ女優が本業です。

ギターはMarlon、ベースがMo Foster、ドラムスはLes Binksです。ギターのMarlonというのはRay Fenwickのことです。スペンサー・デイヴィス・グループやイアン・ギラン・バンドで活躍した上手い人です。この人、大学で教鞭もとるような方でして、名前が出せなかったんですかね。「Wild Thing」でも硬質でノイジーないいギターを聴かせています。中学生の自分は純粋に彼のギターが好きで、この曲がかかると喜んでおりましたけどね…。

売れていた頃はFENで日に何度も流されていました。…違和感を覚えるほど、繰り返し流されていたんです。日本では全く売れてないのでヘンに思って当然でしょう。でもある晩、中学2年生の自分にも理解できました。この曲がかかった後、放送事故かと思うほどの無音が続いたんです。そして、メアリー・ターナーだったと思いますが、ウルフマン・ジャックだったかもしれません。記憶が定かではありませんが、この2人の番組を楽しみに毎晩FENを聴いていましたから…。

数秒の無音のあと、ボソボソっと聞き取れない程度の言葉を発したんです。中学生ですからネイティブのつぶやく英語が理解できるわけないんですけどね、「… home」だけは聞き取れましてね。でもその瞬間、ああそういうことかと理解できてしまったんです。「戦争なんかしてないで早く帰ってこいよ」という意味のことを言ったんだなと。奥さんや彼女が待っているから早く帰ってこいと、ヴェトナムに向けて毎日流していたんですかね。まあ、アメリカ人の考えることは、…ついて行けませんけど。それからは個人的に何としても手に入れてやろうと探しました。

ところがですね、これが手に入らなかったんだ。まず全然売れなかったはずの1976年にリリースされたセカンド・アルバム「Turns You On」が、80年代に入ってから手に入りまして、望みを繋げました。そもそもアルバム・タイトルもジャケットも分かってなかったので、「Turns You On」を買ってから、「Wild Thing」が入ってなくてガッカリしたんですけどね。昔の音楽関連の情報収集というのはその程度です。

そして、驚いたことにTower Recordsで「Wild Thing」のCDを手に入れます。もう就職していたので、80年代後半でしょうか。それから間もなく、世の中的にはCDに切り替わっていたと思いますが、まだ安レコを漁っていて、未開封カット盤を見つけたんです。嬉しかったですけどね。…でも、ちょっとカミサンの前で聴くのも憚られる曲でして、あまり聴いておりません。ジャケット裏面にも「一人で聴くな」と書いてありますしね。

YouTubeにはセカンド時のラインナップでのTop of The Popsの映像も載ってます。もうヴォーカルは別の方ですね。ご興味ありましたら検索してみてください。

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