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7インチ盤専門店雑記468「ココモ」

1988年公開の映画「カクテル」のサントラから、ビーチ・ボーイズの「ココモ」がナンバーワン・ヒットとなりました。ビーチ・ボーイズは特別思い入れも無ければ好きなバンドでもなかったのですが、この曲だけは妙に好きでした。

その当時乗っていたルノー5は、正規輸入のカタログに載っていないような1100ccエンジンを積んだ安物でした。…正規ディーラーで買ったんですけどね。もらい事故でフロントを潰されたとき、真ん中にあるべき菱形のエンブレム周辺のパーツが手に入らないとか言われましてね。結局少し後の年式の、真ん中にエンブレムがないものに土台ごと交換されてしまいましてね。ボディと同じ色に塗ると4万円と言われ、塗らずに乗っておりました。…正規ディーラーだったんですけどね。

1987年当時の自分とルノー5 GL1100cc
…バブリーな時代に抗っておりました

このサンクのオーディオの音が結構気に入っていたんです。もともと狭い室内ですから、広いクルマよりは条件がいいかもしれませんが、室内空間を目一杯使っているような鳴りで、どんなジャンルの曲もよーく聴こえたんです。それはカーラジオでも同じで、1988年10月に開局したJ-WAVEの音を最初に聴いたときはビックリするほどの音でした。クルマではお気に入りのカセットテープを聴くことが多かったものの、J-WAVEのおかげで、ラジオをよく聴くようになりました。1970年代から80年代前半まではFENばかり聴いていた自分がラジオ回帰したのはJ-WAVEのおかげでしょうし、あわせてあのルノー5のおかげという気もします。

トム・クルーズ主演の「カクテル」は公開時に劇場でちゃんと観ました。世間の評判はイマイチだったように思いますが、自分はそんなに悪くないというか、バーテンダ―の技を極めるこの役者さんは凄い人かもという、むしろ好印象だったように思います。サントラはこの時代の常でオムニバス風にどれもヒットしそうな曲が寄せ集めてあるスタイルのもので、買おうか止めとこうか迷っているうちに買い忘れてしまいました。如何せん、1988年です。CDに切り替わったばかりで、新盤CDはまだ高かったんです。アナログはもう店頭では売ってなかったように思います。

そんな時期、カーラジオから流れてきたビーチ・ボーイズの「ココモ」、もの凄い低音が響いて、気持ちよかったんです。ビックリしました。35年経った今でも忘れられない瞬間なんです。MTVやベストヒットU.S.A.でミュージック・クリップは散々目にしていたんですけどね。音質云々は考えたことがなかったんです。増してや、さほど興味もないビーチ・ボーイズでしたからねぇ…。

時は流れて、レコ屋を始めてから、やはりあの低音が響く「ココモ」をアナログで聴いてみたいという気持ちが残っておりました。オークションなどはCDはあるものの、アナログ盤は滅多に見かけません。たまに出たとしても、5000円から1万円程度の高値です。1988年という時代がそうさせるのでしょう。…そう、1988年のアナログ盤、どれもいい音で鳴るんですよ。

結局、7インチ・シングルの見本盤は手に入りました。なかなか見つけられなくて苦労したのですが、なんと「Still Cruisin'」という別の曲のB面に収録されておりました。…「ココモ」ってナンバーワン・ヒットですよね。この「Still Cruisin'」という曲は、調べてみたらアメリカでは93位どまりなんですけど…。何なんですかねぇ?まあ見本盤ですし、なかなかにいい音で鳴る7インチでして、あの低音は楽しめます。しかしよく分からんことになっておりますな。サブカル80sのイベントで鳴らしてみますかねぇ…。

ちなみにこの曲、あの1969年8月のシャロン・テート事件の犯人、チャールズ・マンソンとその仲間たちが追いかけていたテリー・メルチャーがプロデュースしているんですよね。つまりロマン・ポランスキーとシャロン・テートが購入した邸宅の前居住者です。シャロン・テートさんは本当にお気の毒でした。

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