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さらまわしネタ帳015 - 東京芝浦電気株式会社

古い7インチ盤をいじっている時間が多い昨今、いろいろ気になることがありまして、インターネットで調べたりするわけです。昔に比べ、「便利になったなぁ」とは思います。それでも当然のことながら、限界があります。古い物事の情報に関しては、やはり危機感をもってせっせと情報をアップしている人達がいることを少し前から感じております。本当に有り難いことです。もちろんそこには、「戦争の悲劇を風化させるな」といった思いが込められたものも多く、リアルタイムに生きてきた証言者が高齢化していることもあって、時間との勝負になっている作業だと思います。感謝、感謝です。

自分も古写真を含め、ローカル・カルチャーを物証として残していく作業に興味がないわけではありませんが、最近は音楽的な部分に絞っております。やはり個人的にできる活動は限られます。

最近とみに思うのは、自分の好きなシングル盤に関しては、Wikipediaの情報が全然充実してこないということなんです。洋楽の場合、英語のページを翻訳してアップしてあるものも多く、それはそれで貴重な情報なのですが、国内で発売された洋楽シングル盤の情報は当たり前に誰でも知っているような情報にとどまっているようなものです。時々自分で書き込むかという衝動にかられますが、「そんな時間がお前にあるのか?」と、もう一人の自分が羽交い絞めをかけてきます。

加えて、毎度もどかしい思いをしており、やはりウェブの情報に限界を感じる部分というものがあります。現物が手元にあることの優位性、面白さみたいなものを常々思い知らされているんです。

例えば、ヘッダー写真に載せた「黒いオルフェ」の7インチ盤が手元にあります。ここでまず目につくのが、「東京芝浦電気株式会社」と書いてあることです。東芝の社員なら普通に理解できることかもしれませんが、1960年に東芝音楽工業として音楽レコード事業部が独立するまでは、東芝本体からリリースされていたということですね。1973年にはイギリスのEMIが資本参加したことで東芝EMIになって、2007年にEMIグループに売却、2012年にアメリカのユニバーサルミュージックグループの傘下に、という歴史をたどるわけですが、長きにわたる東芝の原初の資料をみるような気分で観ているわけです。

さすがに60年以上前につくられたものですから、この辺のレコードで状態のいいものは少なくなっていることは容易に想像できます。そして写真のように、めちゃめちゃ状態のいい盤が目の前にあることの面白さですかね…。

ただし、この辺まではウェブで調べがつくんです。それほど貴重な情報でもないわけです。ところがその当時、どんなラインナップで発売されていたかといった一歩踏み込んだ情報になると、もうまるで判らないんです。そこでカンパニー・スリーヴ、内袋の情報と…。「キサス・キサス・キサス」「ラ・クンパルシータ」といった古典的な曲名が見えますな。同時代感というんでしょうか、時代感覚は内袋の情報がイチバンです。

あれ、この時代で350円って少し高い気がしますね…。なんでだろ…ってなわけで、興味は尽きないんです。現物主義でも楽しみ方はいろいろです。

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