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7インチ盤専門店雑記155「カフェのあるべき姿」

カフェのあるべき姿ってあるんですかね?ウチは7インチ盤専門店のレコ屋と本屋を内包している、文化系といわれるヤツの典型でしょうけど、ただ普通の文化系はコーヒーとスイーツあたりが中心で、お食事を提供していないところも多いようですね。開業準備中にいろいろ調べましたし、行ってみました。文化系カフェめし屋は他にはないレアな存在のようです。加えて店主がラジオ・パーソナリティという店もあまりないでしょうかね。…いいですね、超レアですね。

おまけに最近はあまり利用がないギャラリー・カフェとしても使えるわけです。展示イベントが入ってなければ、レコード・ジャケットをフレームに入れて飾っているわけですが、展示するのは昔のサントラ盤のイラスト・ジャケが多いわけです。キッチン前のメインの壁面は、ほぼパット・メセニーが独占しておりますけどね。ただし、入り口付近の壁面が大きく使えるので、展示イベントの際はメインはこちらとなります。そのスペースを使って、今現在はリトル・フィートのジャケがどっと展示してあります。要するにネオン・パークの作品展示ですね。

どうも観察していると、ウケているのかどうかあやしいところなんですが、他のジャケットより反応はありますね。ランチタイムの大抵のビジネス・パーソンはちらっと見て、のけぞるか二度見するといったところです。概ね女子は興味を示す程度、男子は顔をしかめていますかね。近所の幼稚園のお母さんの中には音楽好きもいらして、「お、リトル・フィートやん」(なんでか関西弁)などとおっしゃってます。

昨晩も常連のMさんが「リトル・フィートまつり」などと言いながらお楽しみいただいていたようです。先々週あたりビッグ・サーに行ってらしたMさん、さすがにギンズバーグやケルアックあたりの話題が出ていたのか、店舗入り口正面に飾ってあるローウェル・ジョージのソロの前でしっかりお話させていただきました。そう、ギンズバーグの「HOWL」がジャケットの中に描きこまれているんですよ。最近気が付きましてね。ちなみにビッグ・サーはLA北方の文化人が好んで住んだエリアだそうです。ジェイ・ファーラーがサントラをやっている映像もありますし、以前に野村訓市さんがビッグ・サーを訪ねる記事をブルータスが載せていましたね。好き者はこの辺の話題がお好きです。

まあ、こういうのが楽しくていけないわけです。文化系カフェといっても、ちょいとフツーではない趣味でして、Mさんに言わせると、「初めてこの店にきたとき、満席近いのに爆音でジェネシスがかかっていて、何だこの店と思った」とおっしゃいます。文化系カフェは個性を醸成してなんぼですから、個性出してますよ~、出しまくり。やり過ぎとも言われておりますから。好き者こそハマる店、昨晩お隣にも好き者がいらっしゃってましたね…。彼も相当だな。

先月末の、砂町文化センターの「レコードの魅力」講座の展示でも「HOWL」は登場しました。エルヴィス・コステロのポケット・ポエッツ・シリーズへのオマージュですね。デザイン関連の話題で、こういうのは格別面白いです。

アルバム・ジャケットにくらべ、7インチ盤のジャケットって、やはり大きさで負けていることもあってか、あまりしっかり作られていないものが多いように思います。その辺は少し残念でもあります。でもまだ語られていない分野でもあり、今後もスリーヴのデザインなどには注意して、展示などしながら活用していきたいものですね。

…え?カフェのあるべき姿?…そんなもん、あるわけないじゃないですか。好きでやっているんだから、放っときなさいって。





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