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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : カフェの効用

児童相談所からお預かりしているポスターやポストカード、ステッカーといった配布物が10月から新しくなりました。QRコードがついていて、ホームページを閲覧できるようにしてあったり、内容もアップデートされているようです。ただでさえお忙しいでしょうに、こういった作業もやっていらっしゃるんだなと感心しきり、「お手伝いできることがあれば何なりと」ということになっておりますが、まあ私にできることが特別にあるわけではなし、こういったPRのお手伝いや、興味がある方の取次ぎがせいぜいです。

里親募集、病気やら経済問題やら、いろいろな事情で親御さんと一緒に暮らせないお子さんをあずかる話ですから、決してそうそう気安いものではありません。人格が形成されるイチバン大事な時期に苦難に直面しているのですから、本来なら子どもさんたちのメンタルケアだって想像もつかないほどに重要なことだと思います。

前職でDVの被害者を加害者から隠すための仕事に関わっていたことがあり、詰め寄ってくる加害者の矢面に立つこともあったので、正直なところ複雑な家庭の事情やらに関する難しい話はもうこりごりという感覚も自分の中にはあるんです。それでも困っている人を助けたいという気持ちが無くなっているわけではないので、頼まれたらやりますよね。まあ、前職で私の顔がコワいことが役に立つ仕事があったことは笑い話にもなるほどですが、世の中いろいろな人がおりまして…、思い出したくもない嫌な仕事でしたね。むしろ、こういったやさしい世界のお手伝いは自分のメンタルに関してはプラス作用しかありません。

少々イカレていると思われる連中と、密室となる会議室や相談室で相対するのはいい気分ではありませんでした。それでも相手のことを親身に思いやって対応すれば解決できない問題はないと、何とも単純な発想で頑張ってましたからね。「アナタの家族のことを思ってここまでやっているんだぞ!」的な論調ではありますが、30分以上怒鳴り続けてブチ切れそうになったこともありました。そう職場の連中に話したら、「まだ切れてなかったのか」と驚かれましたけど、怒り狂っているふりをしながら相手が返す言葉もなくなるまで論破するのは得意技でしたね。…実は冷静に考えていますから。本当にとんでもない特技です。今後使うことはないことが望まれます。

以前やっていた中央エフエムのラジオ番組のディレクターK氏もニコニコ食堂とかやっている人ですが、彼から番組のお声がけをいただいたとき、類友なのかなぁとも思いました。表立って子ども食堂とかいった活動をやっているわけではありませんが、本当に困っている人がいたら手を差し伸べることはできます。子どもが食い詰めるのは本人に責任はありませんから。一部の人間にだけ伝えてある、ジンジャーの裏の顔です。

ちなみに、何故カフェめし屋が児相と連携するかというと、養親のマッチング・イベントなどは通常、役所の会議室等でやるわけですが、そうすると里親候補も里子の候補も緊張してお互いの本質部分が見え難いからなんです。カフェで美味しいものでも食べながら語り合えば人となりも見えるということなのでしょう。案外カフェの効用としての本質部分を突いている話なのかもしれません。もちろん前職の同僚の紹介ではありますが、児相の担当者さんたちも、ウチの料理を気に入ってくれておりまして、信頼関係というか、良好な関係は築けております。

ローカル・カルチャーの情報発信などでも、相当にわかり難いことをやっていると言われますが、養育家庭募集のポスターに至っては、「何故カフェにコレが?」とクエスチョン・マークが頭上に飛び出している方も時々いらっしゃいます。堪らず声をかけていらした女性のお客様がいらっしゃいましたが、事情をお伝えしたら、「ウチも短期の受け入れをやっているのよ」というお話しでした。やさしい世界の住人は、そこにも、ここにもいらっしゃいます。困っている子どもさんは、都内でもビックリするくらいいるのだとか。児相の担当者さんたちの奮闘には本当に頭が下がりますが、この世界も捨てたものではないという感覚も少しだけありましてね…。さて…。

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