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FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 068:意外なゲスト・意外なコラボ2

さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第68回(2023年1月13日(金)20時~
(再放送:1月15日(日)19時~)

清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。しかも可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。
サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。

今週は「意外なゲスト・意外なコラボ特集」の2回目です。前回は「リスナー置いてけぼり企画」という評価もいただきましたが、カフェの常連さんからは「またやってくれ」と言われる状況でして、前回よりリスナーに寄り添った2回目です。

1曲目
「Angel Spread Your Wings」Danny O’Keefe (1973)
2曲目
「Magdalena」Danny O’Keefe (1973)

まずは「グッド・タイムス・チャーリーズ・ガット・ザ・ブルース」が有名なダニー・オキーフです。エルヴィス・プレスリーもカヴァーしている曲でして、他には「ザ・ロード」という曲はジャクソン・ブラウンにカヴァーされたりといったところで、作曲者として非常に高く評価されている人です。この人のアルバムには意外な人たちが起用されています。まず1973年の「ブリージー・ストーリーズ」というアルバムからご紹介しますが、これニュー・ヨーク録音でして、フュージョン系のミュージシャンを全面的に起用しています。スタッフのゴードン・エドワーズがベース、ギターはヒュー・マクラッケンあたりです。そして面白いのが、エレピをダニー・ハサウェイが弾いております。しかもほぼ全曲。しかも後に彼がカヴァーすることになる曲もここにあります。ダニー・ハサウェイが弾いてない曲はドクター・ジョンだったりします。「エンジェル・スプレッド・ユア・ウィングス」はジェリー・リー・ルイスやジュディ・コリンズがカヴァーしております。「マグダレーナ」はダニー・ハサウェイがカヴァーします。

3曲目
「So Long Harry Truman」Danny O’Keefe (1975)
4曲目
「Steel Guitar」Danny O’Keefe (1975)

もう一枚ダニー・オキーフを紹介します。広島・長崎に原爆を落とすことにゴーサインを出した大統領がハリー・トルーマンですね。タイトル曲「ソー・ロング・ハリー・トルーマン」という曲は、ギターはダニー・オキーフ、レッキング・クルーのラリー・ネクテルがピアノとベースを弾いており、ドラムスがドン・ヘンリーです。さらにコーラスがバーニー・レドンにリンダ・ロンシュタットにドン・ヘンリーなんです。

「スティール・ギター」は、ギターがグレン・フライ、ベースがランディ・マイズナー、ドラムスがドン・ヘンリー、そしてスティール・ギターはデヴィッド・リンドレーが弾いているんです。イーグルスの人間関係が壊れ始めた1975年にこのメンツは意外ではないでしょうか。

5曲目
「Little Hideaway」Leon Russell (1975)

6曲目
「Rainbow In Your Eyes」Leon Russell (1976)

レオン・ラッセルの大名盤「鬼火」です。名曲「レディ・ブルー」が収録されている1975年の名盤です。これは2つのセッションからなるアルバムですが、スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダック・ダン、アル・ジャクソン等が演奏している基本部分と、レオンの他にはここで見染めて結婚してしまうメアリー・マクリアリーという黒人シンガー、そしてテディ・ジャック・エディというドラマーだけで録音している実にインティミットな曲が3曲ほど入っています。このテディ・ジャック・エディが、実は俳優のゲイリー・ビジーのミュージシャン時の名前なんです。1978年の「バディ・ホリー物語」や、日本では非常に人気があるサーフィン映画「ビッグ・ウェンズデイ」のあの3人のサーファーの一人です。ジャン・マイケル・ヴィンセント演ずるマット・ジョンソンとウイリアム・カット演ずる真面目なジャックともう一人、ちょっと切れているリロイを演じていたのがゲイリー・ビジーです。彼がここでドラムスを叩いているんです。この後、メアリーさんと「ウェディング・アルバム」も作るレオン・ラッセルですが、そこでもしっかり起用されています。

7曲目
「Hey Jude」Wilson Pickett (1969)

ウィルソン・ピケットの有名音源ですが、ここでギターを弾いているのが若き日のデュアン・オールマンです。「このときサザンロックが生まれた」と言われる一曲です。エリック・クラプトンはこのレコードを聴いて、「このギタリストは誰だ」と電話をかけまくって見つけ出し、デレク・アンド・ザ・ドミノスのレコーディングに参加要請したという、いわくつきの一曲です。7インチ・シングルでお届けしました。

8曲目
「May Dark Hour」Steve Miller Band (1969)

オリジナルよりもいい音で鳴るベスト盤でお届けしました

もう1曲、ビートルズ絡みです。スティーヴ・ミラー・バンドにポール・マッカートニーが参加している音源があります。ビートルズのGet Backセッションの最終段階で、ビートルズが運営するAppleレコードの資金管理を任せる人間としてアラン・クラインと契約する際に、ポールだけがサインを拒み、大喧嘩のようになって、他のメンバーが帰ってしまった後、近くにいたスティーヴ・ミラーがポールの話の聞き役になったとかで、結局その日そのままセッションして一曲録音したということで、これがその曲なんです。ちなみにポールはドラムスを叩いているということは語っておりますが、ベースも弾いているらしいとか、いろいろお説があるようです。これが後の大ヒット曲「フライ・ライク・アン・イーグル」に似ていたり、ウイングスのテイストがあるという人もおりまして、なかなか曰くつきの一曲なわけです。


9曲目
「Love On The Air」David Gilmour (1984)
10曲目
「Blue Light」David Gilmour (1984)

ピンク・フロイドのギタリスト、デヴィッド・ギルモアの1984年のソロ・アルバム「アバウト・フェイス」のベーシックな部分はギルモアのギターとヴォーカルに加えて、トトのスティーヴ・ポーカロがドラムス、ピノ・パラディーノがベース、イアン・キューリーという人がキーボードを弾いています。ここに、ディープ・パープルのジョン・ロードがシンセを弾いている曲があったり、ジミー・ペイジの仲良しのロイ・ハーパーがいたり、さらに意外にもスティーヴ・ウィンウッドが2曲でオルガンを弾いています。番組ではその2曲をご紹介しました。

11曲目
「Wild Night」Van Morrison (1972)
12曲目
「Tupelo Honey」Van Morrison (1972)

ヴァン・モリソン、1971年の「トゥペロ・ハニー」です。このアルバム録音時、ヴァン・モリソンはニュー・ヨーク郊外のウッドストックからシスコ郊外、マリン・カウンティあたりに引っ越します。そのため、シスコのウォーリー・ヘイダー・スタジオで録音されています。ここで、プロデュースについたのが、なんとテッド・テンプルマンです。ヴァン・ヘイレンとかやった人です。タイミング的にはドゥ―ビー・ブラザーズのファーストを仕上げた直後です。そこでこのセッションにはテッド・テンプルマン人脈が呼び寄せられます。まだエディ・ヴァン・ヘイレンはいません。テッドに呼ばれてここでプロ・キャリアをスタートさせることになったのが、ハード・ロック・バンド、モントローズのロニー・モントローズです。モントローズの初代ヴォーカルがサミー・ヘイガーですから、テッド・テンプルマンを軸にすると、ヴァン・ヘイレンにまで繋がることは繋がります。また、ここには後期ドゥ―ビー・ブラザーズでギターを弾くジョン・マクフィーもいたりします。



次回はブルース・スプリングスティーン特集です。お楽しみに。
番組へのご意見やお便りをください。
voice@fm840.jp


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