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7インチ盤専門店雑記166「スロー・トレイン・カミング」

デビューしたばかりのマーク・ノップラーを大抜擢しての、「スロー・トレイン・カミング」ですが、これがなかなかにいいアルバムです。シングルは「ガッタ・サーヴ・サムバディ」。アメリカでも24位まで行った、久々のヒット曲です。その後またしばらくシングル・ヒットからは遠ざかりますから、それなりに評価も高い盤と言って問題ないでしょう。

こういう人は何をやっても批判されたり、評価もされたり、一面的には捉えられませんからねぇ。多面的に見て、自分なりに判断しないと評価を誤ります。自分の場合はボブ・ディランはかなり好きな方です。キリスト教の時期も含め、全部オーライですから、この盤なんぞとても高く評価しております。これと「ニュー・モーニング」の2枚で、ボブ・ディランの聴き方は変わりました。遡って全部聴く気になった原因の盤とも言えます。

ただ時期的には、リアルタイムではありません。80年代中盤、トム・ペティと一緒にやっていた頃からトラヴェリング・ウィルベリーズあたりの時期で、「ひょっとしたら、ボブ・ディラン、いいかも」となってきまして、初期の有名盤数枚と70年代の2枚、そして武道館ライヴを聴いて、その後全盤網羅となるわけです。早いウチにこの盤と出会えてよかったなとは思います。21世紀のボブ・ディランもバンドにチャーリー・セクストンがいるからとか言いつつ、結局どれもそれなりに評価しています。…2~3枚を除いてですけどね。

ここでは、やはりダイア―・ストレイツというバンドの出来のよさに加え、ジェリー・ウェクスラーとバリー・ベケットのプロデュース環境をそのままボブ・ディランの録音現場に持ち込んだことによる、仕事のクオリティの高さが影響しているのでしょう。かなり短期間で録音してしまったというはなしですが、それも頷けます。そういえば、私は昔からスタジオ・ライヴ的な勢いのある録音が好きなんでした。多重録音で時間をかけてというのは、実はあまり好きではないんです。

だからニュー・ウェーヴにも好きな盤が多いんでしょうね。ザ・ポリスとかも、一発で気に入りましたからねぇ…。勢いって必要だと思います。ギターのカッティングなんか、少々揺らいでいても、勢いのある一発の方が魅力的です。


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