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7インチ盤専門店雑記533「大衆化したプログレは好きかも…」

産業ロックの魅力を語るイベントの準備をしておりまして、先月のアメリカ編に続いて今月はイギリス編です。単にアメリカ市場を目指した売れ線のロックを紹介するだけでは面白くもないので、ステレオタイプな産業ロックと言われる連中のヒストリーや、プログレの大衆化などといった1970年代後半から1980年代前半ごろの音楽シーンの傾向なども踏まえて語ろうかと思います。どうしても少々揶揄するような言葉のニュアンスがあり、それに対して「売れて何が悪い」「曲がいいから売れるのでは」などといったマイナス面ばかりではない応援的なプラス面を見ようとしているわけです。

その中で「大衆化したプログレって何?どれ?」となって、いろいろ聴き漁ってみました。キング・クリムゾンの80s3部作は売れてませんけど、随分傾向が変わり、エイドリアン・ブリュー的ひねくれポップ満載です。でもこの辺を産業ロックという人はおりませんね。ピンク・フロイドの「ザ・ウォール」はめちゃくちゃ売れましたけど、全然売れ線狙いといった趣きもなく、あれは独自路線ですねぇ…。イエス、…「ロンリー・ハート」あたりの80sイエスは産業ロック的な匂いが強いかもしれません。曲のよさも相まって、今でも聴けますし、当確は当確、でもイベントではしょっちゅうかけているから面白味に欠けますかね?

ジェネシス!!3人組になってからは、随分ポップになりました。「アバカブ」あたりは典型かもしれませんね。個人的には「フォロー・ユー・フォロー・ミー」や「ミスアンダースタンディング」あたりのシングル曲が大好きなもので、少なくともトークには登場しますね。曲をかけるところまで行くか…。フィル・コリンズのソロは別物ですしね…。

残るはELP!!…ありますねぇ、評判の悪いアルバムが。「Works Volume II」とか「Love Beach」とか、ファンの間でも困ったちゃん扱いのアルバムですね。ただし、如何せん、グレッグ・レイクの美声は魅力です。キング・クリムゾンからスタートという歴史的な部分でも語り尽くせない人ですし、エイジアでジョン・ウェットンの代わりにやったのもこの人でしたからねぇ。ただ、売れたかというと、そうでもないでしょうから、揶揄されるという共通点があるにしても、産業ロックとは相いれないものですかね。

グレッグ・レイクに関しては、7インチ盤専門店的に悩ましい存在でもあります。「…ファ―ザー・クリスマス」やら「セ・ラ・ヴィ」あたりは大好きなので、結構お高い値札が付いておりますよ。玉数も決して多いわけではありませんからね。「セ・ラ・ヴィ」はB面が「ジェレミー・ベンダー」という点も評価を押し上げます。

「庶民のファンファーレ」は全ELPの楽曲中でもベスト3にはいれる曲ですが、7インチ盤は猛烈な編集が施されており、そこまで短くしなくてもいいじゃんと愚痴りたくなる困った盤です。しかもB面は「恐怖の頭脳改革」ですからね。何で?と疑問符が出ますね。…でも好きな曲なんですよねぇ。「セ・ラ・ヴィ」と「庶民のファンファーレ」はオーディオ的にはいろいろ言いたくなる盤ですけど、イベントでは楽しめるかもしれません。

以前にも聴き比べして、ああだ、こうだと書いておりました。…まあ好きなあたりです。ともあれ、グレッグ・レイクの声が好きなんですよねぇ。そういう意味で、ヘッダー写真の「Watching Over You」も評価が割れるところでしょう。スリーヴからお分かりのように「Works Volume II」からのシングル・カットですから売れてないでしょうし、そもそも評判そのものを目にしないくらいスルーされているかと思います。でもこれが今聴くと結構良かったりするんです。周囲の評価に惑わされていたかなぁ…。ここしばらくの試聴で予想外に楽しめた筆頭です。イベントでも紹介してみますかね…。

ELPに関しては、キース・エマーソンも7インチ盤では楽しめる人です。「ホンキ―・トンク・トレイン・ブルース」はやはりぽちぽち売れます。ファンは押さえておきましょうという盤です。問題は「幻魔大戦」です。両面とも名曲です。これはマスト・アイテムです。…でもポップ過ぎますかね?これこそ、産業ロックと大衆化したプログレのシンボルかもしれませんね。やはり、いい曲はいいですよ。

さて一週間を切りました。追い込みです。またまた満席ですから頑張らないといけません。…実は席数以上に申し込みがありましたので、テーブルを増やさないといけない状況です。…イベントはこうでなくっちゃね。

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