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7インチ盤専門店雑記482「シンプリー・レッドのアナログ盤」

シンプリー・レッドと言えば、私的には80年代を代表するとも言える名バラード「ホールディング・バック・イヤーズ Holding Back The Years」ですが、踊る人たちに言わせるとそうでもないでしょうから、このアーティストは難しいことになります。この曲にしたって、1985年に一度リリースしておきながら、86年に再度リリースして世界的なヒットとなるわけで、ちょいとコレクター泣かせの側面もあります。

そもそもこの時期にデビューしてきたアーティストは、アナログで聴こうと思うと、かなり頑張らないといけません。LPはまだ結構流通しているんです。1~3枚目は80年代ですから、頑張れば見つけられます。3枚目はちょいとお高いという覚悟は要ります。4枚目5枚目は90年代ですから諦めもつきます。…つきますが、存在するんです。それがちょいと引っかかりますけどね。ただし何万円もします。ボロボロのヤツで1万円超です。それが理由とは申しませんが、7インチ盤は頑張って集めました。

ファーストからはこの2枚、「カム・トゥ・マイ・エイド」と「ホールディング・バック・イヤーズ」…どうして邦題はTheを抜かすんでしょうね?実は流通量は少ないのはご理解いただけるとは思いますが、見かけるのは見本盤ばかりです。テープ跡があったり、書き込みがあったりしますが、それでも貴重ですからね。リアルタイムではLPを買ってしまったので、少し後追いですが、「ホールディング・バック・イヤーズ」は大好きでしたから、CDに切り替わった頃でも頑張って探すアイテムになっておりました。…それでもレアでしたけどね。

セカンド・アルバム「Men And Women」からは4枚「ライト・シング The Right Thing」「うわきなハート Infidelity」「きっと誰かが… Maybe Someday…」「いつもさよならを Ev'ry Time We Say Goodbye」、いきなりソウル・カヴァーやらクラシカルなコール・ポーターあたりの楽曲が出てきます。意外でしたけど、こりゃフォローする価値があるなと気づかされた時期です。セカンドのアナログは87年3月リリースでしたが、もう手に入らなかったんですよね。CDは平積みでしたけどね。

問題はここからで、サード・アルバム「A New Flame」は89年2月リリース、もうアナログが簡単に手に入る時代ではなくなっております。今でも高値維持です。7インチ・シングルはセカンド・シングル「二人の絆 If You Don't Know Me By Now」だけかろうじて入手可能な枚数が出回っております。日本盤と米国盤は何とか手に入りました。ちなみに、この時期のシンプリ―・レッド、クラブとかで流行っていたのかもしれませんが、忘れられないのはカクテル・バーのBGMでよーく流れていたんですよね、ホント…。

そしてこの連中は90年代に入ってもヒット曲がありますからね。しかもかなりいいのが…。91年の4枚目「Stars」のタイトル・チューンと95年の「Life」に収録された「Fairground」の2曲は大好きでしたから、結構探しましたけどね。LPもシングルも、あるにはあっても猛烈なお値段です。目にしたことはありますが、残念ながら未入手のいまでも欲しい曲リストの上位におります。まあ、どうしてもアナログで聴きたいサウンドかと言われるとそうでもないので、諦めもついているんです。ダンサブルな曲をしっかり低音を出して聴きたい方には厳しいアイテムです。

個人的にはソウル・カヴァーやダンサブルな曲が後回しになるのはやむを得ず、結果的に初期の「ホールディング・バック・イヤーズ」をいかに高音質で鳴らすかに特化しております。86年再発時の見本盤が恐ろしく良質なので、これをイベントの時には鳴らしますかね。一気に38年前に引き戻されるような感覚が堪りません。

個人的にはティアーズ・フォー・フィアーズと並ぶ80sの巨大アイコン、シンプリー・レッドですが、「Stars」や「Fairground」を聴くと、やはり90sの空気感も持っているわけで、時期固定のイベントでは扱いが難しいことになります。イベントの準備で悩み始めると、一発屋特集にしたくなる瞬間が何度もあるんですよね…。

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