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さらまわしネタ帳050 - ジャンゴの「セプテンバー・ソング」

サラ・ヴォーンの「SARAH VAUGHAN With Clifford Brown」というアルバムがありまして、まあ結構好きな盤です。そんなにジャズ・ヴォーカルを聴くわけではないということは何度も書いておりますが、クリフォード・ブラウン目当てで購入したことは言うまでもありませんね。

この盤の中で好きなのは、やはり「バードランドの子守歌」ですが、もう一曲「セプテンバー・ソング」も聴きます。…実はこの2曲はこの盤に針をおろすときは必ず聴くのですが、他はあまり聴いてないかもしれません。「パリの四月」もいいですけどね…。ここで自分が手にしているこの盤がちょいとヘンでして、その原因を作っているんだということに最近気がついたんです。

1954年録音ですが、私が初めて耳にしたのは1991年頃だったと思います。CDの価格が大分こなれてきて、しかも音質に満足いかなかったアーティストが多かったせいか、リマスター盤が出始めた頃、ブルーノートの輸入盤CDは1000円をきるような値段で新品が買えたんです。国内盤は当初、3800円とかいったお値段でして、アナログ・レコードがメインのメディアの座を明け渡した86年頃には3200円ほどに下がってきておりました。それでもまだ高いので輸入盤や中古盤を探し求めて買っていたように記憶しております。

そんな頃に安い輸入盤CDで初めて聴いたわけですが、自分の中では好きなものはアナログでという方針を持っており、「これはアナログで聴きたいな」とまず思った一枚でした。結局かなり時間が経って、2008年頃にようやく180g重量盤が発売されたタイミングで購入に踏み切りました。オリジナル盤は大して状態がよくないものでも、それなりのお値段でしたからね。

そしてこの重量盤、どういうわけか、曲順が全然違っているんです。想像はつきますが、「バードランドの子守歌」のオルタネート・テイクが収録されており、全9曲ではなく、10曲入っているんです。うまく突っ込むために動かしたんでしょうかね。結果として、「セプテンバー・ソング」がA-1、「バードランドの子守歌」がA-2なんです。この盤ではアタマの2曲しか聴いてないに近いんです。なんせ好きな2曲が寄せてあるものですから…。

さて、そんな「セプテンバー・ソング」ですが、クルト・ヴァイルが1938年のミュージカル「Knickerbocker Holiday」のために書いた古い曲です。1950年の「September Affair」という映画で使われて以降、一気に多くのアーティストがやるようになったということですが、しっかりスタンダード・ナンバー入りしておりますな。

実は、この曲、大好きなテイクが他にあるんです。ジャンゴ・ラインハルトのギターで演じられたものですが、おそらく1953年のものです。古い話ですから、正確なことが全然わからないのですが、ジャンゴ・ラインハルトの「セプテンバー・ソング」、有名な音源がいくつかあるようです。YouTubeなどでチェックするとすぐに出てくるやつは、少々ピアノがうるさくて、あまり好きではないんです。53年の演奏(↓)はピアノがいることはいるんですけど、ほとんどコードを鳴らしているだけのものでして、ジャンゴのギターに集中できるんです。個人的にはこちらの方が圧倒的に好きだったりします。

ただ実をいうと、自分が持っているレコードの音源はこの53年のものに凄く近いスタイルなんですが、どうも違うテイクのようなんです。自信はありませんが、凄く似ているんですけど、なんか違う気がしております。楽器のバランスが違って聞こえる同じテイクかもしれませんけどね。まあ、まだ2月ですけど、ここのところ、このジャンゴの「セプテンバー・ソング」が脳内で鳴っておりまして、ついつい鼻歌まじりになってしまいます。機嫌がいいわけではないんですけどね…。


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