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7インチ盤専門店雑記212「デヴィッド・リンドレー」

3月3日にデヴィッド・リンドレーが亡くなったとのこと、いやはや、ホントに今年は悲しい年です。また追悼番組を企画しないといけませんね。レイナード・スキナードのゲイリー・ロッシントンも訃報が伝わってきましたから、もう毎回追悼番組でもおかしくない状況です。それにしても、デヴィッド・リンドレーはちょいとショックでしたねぇ。かなり好きなアーティストでしたから。

正直なところ、私がジャクソン・ブラウンを聴き始めたのはデヴィッド・リンドレーの演奏が聴きたかったからでした。…まあ、彼が抜けた後は、マーク・ゴールデンバーグのギターが聴きたくて、ジャクソン・ブラウンを聴き続けていたわけですけどね。こういうマルチにいろいろな楽器を扱える人間に憧れがあるのかもしれませんが、なかでもデヴィッド・リンドレーは非常に興味をそそられるアーティストでした。…好きなのはマーク・ゴールデンバーグの方が好きですけどね。…まあ、彼は別格です。

他人様のことはどうでもいいのですが、デヴィッド・リンドレーが好きということで話が盛り上がっても、その先の話ができる方は意外に少なくて、「じゃあソロやEl Rayo-Xだとどのアルバムが好き?どの曲が好き?」という話ができたことはありませんからね。せいぜいで「化けもの」でしょう。他のアルバムに関して話始めると、…病気ですかねぇ。まあ、そう言われたことがありましてね…。

「化けもの」=「El Rayo-X」(1981)
「Win This Record!」(1982)
「El Rayo Live」(1983)
「Mr. Dave」(1985)
「Very Greasy」(1988)

彼に関しては、この5枚が基本、ジャクソン・ブラウン、ウォーレン・ジヴォン、ライ・クーダー、リンダ・ロンシュタットあたりは当然押さえておきましょうと言いたいところではあります。その他にもまあいっぱいやってらっしゃいますから、キリがないというか、コンプリートは不可能という気もしますね。

ただ、そう言いつつ、この人が主役のレコードを聴かないでスルーしてしまうのは、あまりに勿体ないわけで、絶頂期の演奏は押さえておきたいです。特に1983年のライヴ盤はリリースされたとき、嬉しかったなぁ…。日本では売れないだろうなぁということも、この辺りからわかってきましたけどね。1988年という時期がアナログ的には微妙な「Very Greasy」は、個人的には必修科目みたいな盤でしたね。何が何でも手に入れて聴かねばという気持ちでした。そして、随分研究させていただきました。この盤が好きな人はそれなりにいらっしゃいまして、入手困難なのか、密林のジャングルのマーケットプレイスでは、CDでも1万円以上しておりますからね。

結局アナログで聴くことを考えてもこの5枚となるわけですけどね。アメリカーナの深い部分での理解度やテックス・メックス、イーストLAあたりの多民族混交の音楽に関する理解度の深さは、ライ・クーダーをも凌ぐかという人です。あれこれやり過ぎで「どうしても買うか?」というと、後回しになりがちなセッションも多いことは事実なんですけどね…。

たらればですが、リンダ・ロンシュタットがあんなに売れなくて、この連中と一緒に活動し続けていたら、面白い盤がいっぱいできたんじゃないかと思うんですけどね。ライ・クーダーの2000年代のメックスものを有り難く拝聴していた頃にも、日本では理解されないというか、よさがしっかり伝えられていない音楽があるようで、残念な気持ちになったものです。やっぱり、デヴィッド・リンドレーの追悼特集はやらないといけませんね。

しかし悲しい年だなぁ…。


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