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バーキンへの道

事の起こりはこうでした。

昨年の12月、年末年始に住んでるサンフランシスコからパリに行こうかと思ってると日本の友人に話したら、

パリに行くなら、バーキン買って来て!

軽いお使い気分

おお、そう来たか。


私も持っているバッグを修理に出そうと思っていたので、ついでもあるし、

近頃、日本では正規のルートだとなかなか買えないという泣きも入り、

二つ返事の

いいよ。

到着した翌日に、サンジェルマン支店に向かいました。

エルメスに着くと、まずバッグの修理係に取り次いでもらいます。エルメスはそれぞれ持ち場が決まっているのでとにかく担当の人を捕まえないと、事が進みません。

私の目的は修理だったので、2階に行けと教えられます。2階は個室がいくつかあり、そこで直しやオーダーなどの相談ができます。

バーキンへの道①

バッグの修理依頼の時に、バーキンは作れるかしら?とさりげなく聞く。

今回直しに出すバッグは約30年前に本店でオーダーで作ってもらったもので、その当時ですら
今年のオーダーはもう終わっています。
その革でのお取り扱いは今年ありません、

と、厳しかったのを覚えているからです。今回は前から持ってます感をアピールする作戦で臨みました。

『すみません、バーキンのオーダーは受け付けていますか?』すぐさま、
『マダム、私ではわからないので係りのものに引き継ぎますね?』←手強い。

バーキンへの道②

階下に降りてバッグ係に引き合わせてもらう。
再び、
『すみません、バーキンのオーダー・・』とまで言うや否や
QRコードが印刷されたカードを渡されました。

『毎日朝の10時から夜の7時半の間にメールを下さい。次の日に
バッグの相談に乗れるかどうかを、応募者から抽選します。夜8時から8時半の間に折り返しのメールが届かなかったら、予約は出来ていません。』

この時点でバーキンがオーダーできるかは教えてくれません。

バーキンへの道③

翌朝、QRコードを開き、10時にメールを入れる。
8時半をすぎても返信がない→抽選ハズレ。

バーキンへの道④

さらに翌々朝、10時にメールを入れる。
8時半をすぎても返信がない→またまたハズレ。

キー!これを一週間続けるが当たらない。買ってくるという約束をした以上、これはなんとかしなくては、と焦る私。

そうだ。せっかくパリにいるのだから情報収集だ。現地でしかできない秘訣があったら、それをやらなくては!

バーキンへの道⑤

現地の知り合いやネットを駆使してどうにかバッグ係に会う方法はないかと探る。

パリに住むヴィンテージ屋の友人が首を横に振りながら、言い切ります。

今やエルメスのバッグ係は市長と同じ位偉いのよ。


まじか。

その他、方々聞いて回って見えて来たのは、パリでの正攻法は、QRコードしかない、と言うことでした。応募する際には、パスポート番号を記入する必要があるので、1日に1人、1回しかチャンスはありません。

そしてバーキンがどうしても欲しいガチ勢は分母を大きくしている、とのこと。より多くの人で応募すれば確率は上がる、これはあたり前ですね。100人単位で毎日申し込み、当選した人を翌日オーダーに行かせる、これをまとめる事を職業にしている人もいて

フランスではない国のブランド買取店に卸していているそうです。


バーキンへの道⑥

可能性を計算する。

では1日に何人がエルメスのバッグ係に会えているんでしょうか。

私の持ってる情報は、やはり友人にガーデンパーティーを頼まれた時のもの。2017年にエルメスに行ったら、バッグ係の人がどの時間帯に予約を取りたいか聞いてくれました。チラリと見えたタブレットの30分刻みのスケジュール表(この時はまだQRコードはありませんでした)

1人の持ち時間30分!


では7時間労働(休憩時間1時間有り)で、一人のバッグ係が1日に14回相談に乗ってくれるとして、バッグ係が5人(サンジェルマン店とサントノレ店は各2人。あと一店舗ジョルジュサンク店は小さいから多分1名と計算)

1日14回×5 70回、どんなに多く見積もっても、

たった70回!


一方、分母としては、毎日100人単位で応募してるグループがあったり、QRコードさえあれば世界中から応募できる(当たった場合、翌日行けることが条件)システムなので、申し込みの数は想像できないほど大きいです。

これは二週間滞在中に毎日応募してもなかなか当選しないのもあたり前。当たったとしても、バーキンは今作れません、と言われたら、もうそこまでなんです。

当たらない→買えない→希少→ますます欲しい


の堂々巡り。

人気のあるバーキン25、30のクシュベル、トゴなど、傷つきにくい革で、色がノワール(黒)ゴールド(ベージュ)エトゥーブ(グレージュ)エタン(明るいグレー)などをオーダー出来た場合、日本のブランド買取店が元値の倍の価格で引き取ってくれるとの情報もあり、

ブランド買取屋は三倍近い値段のとこも

上手くいったらこそっちに卸してしまおうかとも一瞬、頭に過ったり。←こんな人がいるから、値段が上がる。

ああ、友よ、ごめん


現実を知り放心状態の私の所に、ベルギーから友人M子が参戦。彼女もバーキン狙いです。ベルギーではバッグ係への抽選はないものの、オーダー待ちが彼女の前に1400人、、、

バーキンへの道⑦

本当に現品はないのか直接見に行く。
諦めきれないM子と私は本店サントノレ店に出向きます。万に一つでもオーダー品でないバッグがショーケースにあるのではないかという、すがる気持ちで、、

・・・・・ありませんでした・・。

バーキン、ケリー、ボリードと人気バッグは展示されていますが、全て見本です。


買えないバッグの見本市

バーキンへの道⑧ 

2人でパリに40年住んでる御意見番に話を聞きに行く。

私たち、バーキンが欲しいんですけど、、、

あははは、と彼は笑います。

コロナ禍になって、みんなどこにも行けなくて、身近で買えるものとしてバーキンを投資目的で買ってるから、あと2年はオーダーでいっぱいだよ。

かっこいいパリの御意見番

えっ?投資?

どんどん値が上ってんだよ、それでも買う人がいるから。

バーキン=ビットコイン?


投資と聞いて頭にこの図がうかびました

誰かに持たれることもないまま、さらに高値が付くまでストックされるバーキン。パリでもすぐ手に入る新品は倍の価格だそう。

またオーダー出来たとしてもエルメスは海外発送はしてくれません。つまり誰かに取りにってもらうか、自分で出向くしかない。だから、パリでのオーダーは住人の方が断然有利なのです。

結論として、
定価でバーキンを買う手段としては
パリに住んでる友人を確保して
その方の名前で毎日応募して、
当たった翌日にオーダーに行ってもらう。
半年くらいで出来上がるので
その時に店まで取りに行ってもらう。


もう色んな要素が絡み合って、私の安請け合いは

ゴーカートで丘を登るくらいと思っていたら、素手で斜めに登るボルダリングぐらい過酷なものだったんだと反省しました(当然、空手で帰国)


友人の役には立てませんでしたが、色々調べたせいで、沢山の方が定価での購入を望んでいるのが分かりました。なので2022年1月のパリ情報としてまとめました。

険しいね、バーキンへの道。

パリ店のQRコード
https://rendezvousparis.hermes.com/client/welcome

まずはここから。









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