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吟遊詩人をはじめたきっかけ

 私が吟遊詩人をはじめるきっかけになったのは、ストーリーテラーというものに出会ったからです。

 ストーリーテラーというものをご存知でしょうか。

 よく映画や小説などの評で「最高のストーリーテリング!」「素晴らしいストーリーテラーといえよう」とか言われているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
 要はストーリーテリングは「物語の語り」であり、ストーリーテラーは「物語の語り手」です。

 で、私がいう「ストーリーテラー」は映画制作者でもなければ、小説家でもありません。

 口づたえで物語を語って伝える人のこと。
 語り部。
 原初の「ストーリーテラー」です。

 語り部というと、とある部族のじっちゃんかばっちゃんみたいな感じがしますね。
 私が出会ったのはそういう部族の語り部ではありません。
 さまざまな人々に語るフリーのストーリーテラーです。

 そもそも、ストーリーテラーというものを知ったのは、作家ミヒャエル・エンデからです。 
 エンデは『ネバーエンディングストーリー』や『モモ』を書いた作家さんであり、私の推しです。

 昔読んだエンデの自伝かインタビューかなにかで、イタリアでデュマの物語のストーリーテラーの人にあったことが書かれていました。そして「ストーリーテラーのようになりたい」というくらいエンデが憧れたものらしいということも(記憶で書いてるので、正確なところが気になる方は、エンデさん関係の本を片っ端から読んでご確認くださいませ)。

 あのとんでもなく素晴らしい物語の語り手、ミヒャエル・エンデがなりたくなるレベルのストーリーテラーとはどのような存在なのか。

 ……知りたい。

 そう思ってたところに「オランダからストーリーテラーが来日!」というお知らせを発見しました。

 ヨッシャ行ってみよう!
 と行ったのが2008年7月。

 ちなみにこのときの様子、なんとYouTubeに動画が残っていて、私もがっつり映っています。


動画

 あと先生のストーリーテリングの動画もご覧ください。演目が、とてもパウロ・コエーリョの『アルケミスト』という小説の話に似ています。が、このお話はもともとユダヤの民話にあって、民話集にも収録されています。
ただ、やはり先生の語りで聴くのが一番効きます。
さあさあ、お聴きになってみてください!!


動画

 ↑の話以外にもたくさんお話をされました。
 特に『兵士の物語』が素晴らしいです(このお話については、話すと長いので略)。

 で、ですね。

 先生のストーリーテリング。
 動画の人たちも感想で言ってますが、本当に心の内にキます。

 人が物語を語り聞かせてくれるの、最高だな!!あと横でハープ弾いてる方のハープもいいな!!

 よっしゃ、私はどっちもやる吟遊詩人やろう。やるなら世界一になりたい。

 瞬殺で将来の夢を決めました。
 天啓ですね(主観)。
 思い込みが激しいともいいます(客観)。

 そこから爆走で、ストーリーテリング技術とハープの技術を磨きました。そして、拙速にも一年ぐらいしてから、ライブ活動をはじめました。本当に拙速です(笑)。

 すると、聴いてくださる方の中に、すさまじく感動してくださる方が、次々に出てこられたのです。

 私自身としては、お話の世界に入ってブワーッと語っているので、何がどう感動されるのかよくわからないのですが……

 とにかくすごく喜んでくださる方々がいらっしゃる。
 これはますますやるべきなのでは?と思い。

 それから十数年。爆走したり、難聴になったり、アーサー王伝説にはまったり、国家公務員の仕事をやめたり、壁にぶちあたって死にかけたり……まあ、いろいろありました……詳しく話すと弱音の洪水になるので省略します……とりあえずよく生きてるな、というくらいには大変でした。

 それでもやっぱり諦める気にはまったくならず。しぶとくずっと続けています。

今後の目標としては、

①吟遊詩人という仕事を確立して、世界を巡れるようになる。
②世の中をどんどんファンタジーに面白くする仕事をする。
③後進を育てて、今度は後進の人たちに楽しませてもらう魔女になる(唐突の魔女)。

 ③は、アレです。
 私が吟遊詩人でいたい、というより。
 私が吟遊詩人にいてほしい、ので。

 吟遊詩人、絶対たくさんいた方がいいと思うんですよ。
 物語をばんばん語ってくれる人がいる世界の方が、生きてて楽しいじゃないですか。

 私自身、もともとすさまじく読書家で本が大好きなんですが、その分本の最大の欠点を知ってるんですよね。

本は……
 寂しい!!!!!!!!!

 本喋らない。
 なぜなら人間じゃないから。
 なぜなら本だから!!!!!

 あったかくないよ〜、さびしいよ〜、一方通行だよ〜、ウエエエン!!

 物語は音声から文字になったことで、進化してるように見えて、人のぬくもりが消えたことに関して確実に退化しています。

 こう、なんだ、誰だかわからん人に向けて書かれたものを拾って読むのも、海から流れてきた瓶の中身を開けるようで、もちろんロマンなんですが。

 明らかに「自分に向けて語られる」方が嬉しいんですよね。

 やっぱり必要なのは吟遊詩人だ。
 そばにいてくれ、寂しいから!!(正直)

 なんのことはない、吟遊詩人がほしいのは私なんですが、まあ言い出したら本人やる羽目になるんですよね。
 しかもたまたま向いてましたしね……

 もちろん自分で語るのもいいものです。
 物語世界にものの見事にザバーンとダイブするので!!すっっっごく楽しい!!!

 神にも英雄にも妖精にも騎士にもなんにでもなれますよ!あれは面白い!!

 逆に、お聴きくださってる方のご感想をお聴きすると。
 ありありと情景が浮かぶとか。タペストリーが見えてくるとか、アポロンがエロかったとか、ガウェインの声がいいとか(どんどんマニアックになってきますね)。
 楽しんでいただけたのでしたら、なによりです。

 人生は、一人だとつまらない。
 どうぞみなさまご一緒に!!

 お読みいただきありがとうございました。
 吟遊詩人の妙遊(みゅう)でした。


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