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レコード棚を総浚い #71:『Daryl Hall & John Oates / Big Bam Boom』

1984年リリースの12thスタジオアルバム『ビッグ・バン・ブーム』

前作『フロム・A・トゥ・ONE』で新録された『セイ・イット・イズント・ソー』と『アダルト・エデュケーション』で共同プロデューサー、『ウェイト・フォー・ミー』のライブテイクではリミックスを担当したボブ・クリアマウンテンが、本作でも共同プロデューサーとしてクレジットされている。

ボブは、同年リリースのブライアン・アダムス『レックレス』に、ホール&オーツバンドのドラマー、ミッキー・カーリーを参加させ、80年代的な新しいドラムサウンドを表象して見せたが、本作『ビッグ・バン・ブーム』でもサウンドの破壊的な革新を施す。

ブライアン・アダムスにとっては、スターダムに駆け上がる一歩となったが、時代の音の過度な導入によって、結果的にホール&オーツが積み上げてきた彼ららしい折衷性は覆い隠され、見通しが悪くなり、残念ながら失われてしまったように感じる。

それでもこのアルバムは、ちょうど大学に入学した直後に入手した僕にとって青春の大切な一コマであり、今でもこのアルバムを聴くと、その年に失った片想いのことなんかを思い出して、胸の奥底に隠した傷跡が疼いたりする。

ダリルとジョンも失ったものに想いを馳せたのだろうか。このあと、ルーツ回帰の『Live at the Apollo』をリリースすることになる。


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