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レコード棚を総浚い #69:『Daryl Hall & John Oates / Private Eyes』

1981年リリースの9thアルバム。初の全米トップ10入りとなり、前作『Voices』を幕開けに、本作以後の『H2O』『Big Bam Boom』と続く快進撃の中核となった。

ジャケットから取り出してターンテーブルに置こうとすると、レーベルにはSIDE AとSIDE ONEと刻まれていて、どちらから聴いていいか少し迷う。
ライナーを確認して、SIDE Aを上にしてターンテーブルに置く。
『ウエイト・フォー・ミー』収録の『X-Static』から参加し、以降ほとんどのアルバムでギターを弾いたG.E.Smithの印象的なサウンドに導かれて『プライベート・アイズ』が始まる。

『プライベート・アイズ』とともに全米No.1シングルとなった『アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット』では、『キッス・オン・マイ・リスト』(『モダン・ヴォイス』収録)同様リズムボックス的なサウンドやシンセサイザーがフィーチャーされ、彼らの考える新しいソウルの形が展開される。

かつてイーグルスの『ニュー・キッズ・イン・タウン』(名盤『ホテル・カリフォルニア』収録)で、「新参者の君たちをみんな愛しているからがっかりさせるなよ。その落ち着きのなさは治らなそうだけど」と皮肉っぽいが愛情のあるエールをもらった彼らも、もう30代を過ぎていたが、その言葉通りの軽妙さを失わなかったからこそ、新しい時代の大人のポップをソウルを土台に作り上げることができたのだろう。


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