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『1000日後くらいにめっちゃ速く走るせがれ』(125日目くらい)


125日目くらい

暑かった夏を越え、季節はすっかり秋。

朝晩めっきり涼しくなって、ランナーにとっては最高の季節。

コロナのアレにも少しずつ慣れ、例年通りとはいかないまでも、新しい生活様式の下、大会や記録会も開催されるようになってきた。


せがれのスネの疲労骨折が判明して2カ月。

最低3カ月、走ることを禁止されたせがれは、許されたトレーニング、筋トレバイクスイム、筋トレバイクスイムを「復帰したらトライアスリートになった方がいいんじゃね?」ってくらい夏中やりまくっていたらしい。

中学の頃は1回だって出来なかった懸垂も、今は7〜8回出来ると言っていた。
(7〜8回ってことは多分少ないほうの7回なんだろう)←

確かに昨日会ったせがれは、以前より体つきがしっかりしていて、身長もまた少し伸びたようだ。


そんな昨日、2カ月目の診察を受けに病院へ行った。


夕方にも関わらず待合室には結構な人。

こりゃ待つかなぁ…なんて思っていると拍子抜けするほどあっさりと呼ばれる。

レントゲンを撮ってすぐさま診察。


8月、9月、10月と3枚のレントゲンを並べて見せてくれる先生。

「違いが分かる?」と先生に聞かれるも、チーン(´・_・`)…な父子。


「そう、それがこの疲労骨折の厄介な所なんだよね」

(って先生、それ俺らが分かったら医者になれますやん!)


「結果から言うと悪くなってはいない。圧痛もなくなっているし、レントゲンから骨の外郭もしっかりしてきているような感じ。ただだからと言ってレントゲンだけで良くなってるとは断定できない。痛くないからと今負荷を掛けるとまた繰り返す。もう1カ月我慢して11月にMRIを撮って判断しよう」

とのこと。

残念ではあるが、少し前向きな話を聞けて光が見えてきた。

御礼を言って部屋を出る。


待合室に戻り椅子に腰掛ける。

しばし黙って会計を待つ。

スマホゲームに興じていたせがれが口を開く。



「ねえねえ、で、どういうこと?」



だって…。


「おまさーっwww」

と叫びたくなった。が、我慢。


そういうとこ!お前のそういうとこだぞ!w


まあいい。(よくない)


しかし、せがれの強さはこの

「気にしない力」


というか


「気にならない力」


というか


「何も考えない力」


なのかもしれない。



いや、正確には違う。


何かを考えてはいる。


きっと彼の中には足を早く治したい、早く走りたいという思いはとてつもない大きさで絶対にある。

どうすれば良いかを考え、きっと色々やっているのだろう。

だから筋トレやバイクやスイムを超頑張っている。

しかし他方、移動の車内、待合室、その全ての時間をクラロワ(スマホゲーム)に捧げ、
待合室で小さくガッツポーズをしたかと思えば、帰りの車内で大勝負に勝ち奇声を上げまくる。

帰りにウェルシア(ドラッグストア)に寄りたいからと連れて行くと、寮で使う洗濯洗剤とお気に入りの柔軟剤(ダウニー)の匂いの相性が悪いからと、真剣に洗剤を吟味していた。


これは憶測だが、彼は自分の中にある不安や恐怖を(今は疲労骨折)、それを凌駕するほどの他の物(例、ゲームや洗剤)への圧倒的な興味や拘りで打ち消しているのかもしれない。

とんでもないエネルギーで相殺しているのかもしれない。(仮説)


うん、よく分からない。


うんうん、15年一緒に住んでたけど、あいつだけは全然分からないんです。


AB型の左利きとか全然理解できなかったんです。



こういう人間が後に「大物」と呼ばれる人種なのか?


はたまた、ただの「変わり者」なのか?



それを見届けられるのはこの上なく幸せなことである。



つづく。



早よ治れ!

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