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ツボでいきいきー東洋医学よもやま話ー

005_手足の井穴 病気で温度感覚に変調

以前に述べた通り、ツボの数は現在、全部で361ある。それぞれのツボは14の経絡(けいらく)のいずれかに所属している。

なかでもユニークなのは、手足の爪の生え際にある六つのツボだろう。
いずれも経絡のエネルギーがあふれ出るところとされ、経絡の先端にあたる。少商(しょうしょう)、商陽(しょうよう)などの名前があり、総称して『井穴(せいけつ)』*と呼ぶ。

この井穴からは、『生物フォトン/バイオフォトン』と呼ばれる生体の極微弱な光が出ている。もちろん、肉眼では見えない光だ。他の部位より光の程度が強いことが近年、分かってきているが、その役割や働きは明らかになっていない。ただ、何らかの病気があると、このツボの温度感覚に変調をきたすことは知られている。

井穴の温度変調は1950年、鍼灸師の赤羽幸兵衛(あかばね こうべえ、1895年 - 1983年)が発見したとされる。高熱と寒気で湯たんぽを使っていた時、熱さに気づかず、片方の足先をやけどしてしまったことがきっかけだった。
幸兵衛は原因を明らかにしようと、火の付いた線香を使って、井穴に刺激を繰り返し、熱さの閾値(いきち)(刺激の違いが感じられるかどうかの境目の数値)を調べた。すると、病気の時には、左右の井穴で、温度感覚が違うことが分かったという。

この違いは、そのまま経絡の異常を示しており、後には熱さの閾値を自動的に計測する器具も開発された。このメカニズムを利用した診断法は「知熱感度測定法」と命名されている。

*井穴(せいけつ):
井穴は、経気が出(脈気の出ところ)を主り、主治が心窩満(心窩部の膨満感や緊張)。
免疫アップや自律神経を整えることが期待されると言われている。
手:1指ー少商(肺)、5指ー少衝(心)、3指ー中衝(心包)
  2指ー商陽(大腸)、5指ー少沢(小腸)、4指ー関衝(三焦)
足:1趾ー隠白(脾)、足裏ー湧泉(腎)、1趾ー大敦(肝)
  2趾ー厲兌(胃)、5趾ー至陰(膀胱)、4趾ー足竅陰(胆)

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