ITスキルを身につけたい人がIT企業就職に向いていない理由

47都道府県旅行した結果、九州が好きすぎて熊本に移住したRさんです。今日はITを身につけたいならIT企業に就職するなという「???」な内容の記事です。

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特に文系の人に多いのですが、IT企業に来る人の志望動機でよく見られるのが「潰しが効くスキルが欲しい」「ITが使いこなせるようになりたい」「どこでも生きてける人になりたい」という声を何度か耳にします。これがプログラミングを就職前にやっている人や理系の人であれば、既に手にスキルがある状態なので前述の動機が減って「自分で何かを作り出したい」「持っているスキルを磨きたい」などの動機を持ってIT企業を志望します。前者のような人が期待してIT企業に入るとミスマッチの原因になり得ます。逆に後者の人はミスマッチのリスクを軽減することができます。

それはなぜか、結論を先に伝えます。文系がIT企業に入社したところでITスキルが身につくとは限らないからです。その理由を詳細に書いていきます。

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ITスキルってそもそもなに?

まずそもそもITが使いこなせる状態ってどんな状態かを先に定義しておきます。以下の3つがポイントになります。

・新規のITサービスを自社内の中で導入するかどうかの意思決定を下す。

例を挙げるならば「100万円かかるITサービスを新規導入することで100万円以上の見返りが得られるかどうか」を判断することです。

・すでに使用しているITサービスをしっかり使いこなしたり、メンテナンスをそつなくこなしたり、その使用中のサービスを起点に組織を編成することができる。

これは調べる要素はかなり多岐に広がりますが、「今使っているサービスは目的を達成させる上で必要な機能は全て使いこなせているのだろうか、もし使いこなせていなかったらどうしたら使いこなせるようになるか」という要素分解して目的達成に近づけていくことになります。

・すでに使用しているITサービスのオプション機能をつけるかどうかや解約するかなどリソースやアウトプットを見た上で適切に判断できるかどうか。

これを例えるなら「月額10万円の利用料がかかるサービスを利用中で、このサービスがあった場合となかった場合で、どちらにメリットが大きく生じるか」などが挙げられます。

一連の流れを身近な生活に置き換えるならば「自分にiPhoneは必要なのか」「iPhoneを買ってみたもののほぼ家の中でのネトゲにしか使わなかった。通話機能も使ってみたり外に持ち出してみたりしてみるか、それとも契約プランをネトゲだけに絞って安く抑えるか」「実際iPhoneなくても弟が持っているNintendo Switchで事足りるのではないか?iPhoneを解約したら困ることは他にないか」ということを組織体で行うようなイメージです。

IT企業に就職するとなぜミスマッチが起きやすいのか

文系社員がITに就いてできることはサービスを人に伝える、発信することです。ライティングや営業、カスタマーサポートなどが中心となります。その業務はITスキルが身につくのがメインではなく、マーケター、営業マンとしてや、ライターとしてなどのスキルが身につくので、ITスキルが身に付かず「思ってたのと違う...」というミスマッチが生じるのです。

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ITスキルを身に付けるキャリアを進めるために

仮に文系がIT企業に入社した時にITスキルが身につくための条件として以下の3パターンに限られます。

・文系の学問につきながらすでに開発実績があったりプログラミング等のスキルを身につけているパターン

・ITの中でもたくさんのITツールを導入したり検討する体力を持っているほんの一握りの会社に就職できるパターン

・ゼロベースからプログラミングやITスキルを身につけさせてくれる会社に運良く出会したパターン

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IT企業の実態って他の会社にIT導入を勧めているものの、実際に自社内のITリソースが乏しい会社や導入に体力がないベンチャー企業や中小企業が世の中の大半を占めているため、IT企業に勤めることでITスキルが身につくことに直結するとは考えない方がいいでしょう。

では本当にITスキルを身につけたいのであればどんな会社に就けばいいか?これは就職活動中ではあまり見ない視点かもしれませんが、以下のところに着目すると良いでしょう。

・どんなITサービスを使っているかを事前に把握する

・ITサービスを導入する体力がある会社かどうか

・会社の課題としてそのITスキルを持った人がいることで解決に導くことができそうかどうか

学生の就職活動だと3つめの見極めは難易度が高すぎるのでスルーしても構いません。

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例えば、Nから始まる大手スポーツアパレル企業とかは物流機能を内製化していたり、倉庫機能の自動化を積極的に推進していたりします。アパレル企業の仮面を被ったIT企業なのかというくらいにITが強いアパレル企業です。アパレルだけでなくオーダーシステムを先進的なものとして取り入れている飲食業界や無人レジ化を目指している小売業界など、IT企業だけに領域を狭めるのではなく横断的に様々な業界を見てみると良いでしょう。会社がどんなIT化をしているか・目指しているかはググればたくさん出てくるので、気になる企業をたくさん見てみましょう。

リリースやメディアだけでなくSaaS企業の導入事例の記事を見るとその会社が使っているITサービスが一目瞭然です。SalesforceやSmartHR、KARTEなど様々なITサービスの導入事例記事を見て会社のIT利用の方向性を見るのも面白いかもしれません。

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以上のことから就職後のミスマッチを防ぐためには、IT企業への就職とITスキルを身につけるための就職は別個で考えることが必要ということなのです。

そもそもあなたには本当にITスキルは必要?

前述に挙げた文系の就職動機「潰しが効くスキルが欲しい」「ITが使いこなせるようになりたい」「どこでも生きてける人になりたい」という例を挙げてみましたが、それらの動機を叶えることは本当にITでないといけないのかという再認識が必要です。

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例えば、太陽の黒点活動が想定外に活発になったりEMP兵器が日本にぶち込まれたりすれば電気・通信系は全部ストップしてしまうわけです。その結果保存していたデータが全て使用できなくなったり航空機が墜落したり、携帯電話が繋がらなくなったりという影響が考えられます。果たしてIT一本で生きてきた人がこの事象に耐えうることはできるのでしょうか。

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本当に生き残るために必要なのは米を作るスキルかもしれないです。ひょっとしたら。米さえ作れたら電気が無くなっても物流がなくなっても最低限自分が生きていくことができる食糧は確保できます。その米を使って鶏の餌やりにしてタンパク質の補給もできますよね。その米を自分で直販で販売する、遠方の人にはネット通販で販売する...あれ米作ってたはずなのに気がついたらITスキルもついてしまう・・・?

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じゃあ次に世界的な冷害や洪水が来た時に生き残るためにどんなスキルが必要でしょうか。米を作るスキル?ITを駆使するスキル?他の作物を育てるスキル?自分の体を管理してしっかりコントロールできるスキル?

本当に必要なスキルとは?

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未曾有の出来事が起きた時に守ってくれる人はいません。「いつも人に助けられたし、誰かが助けてくれるだろう」「あの人は災害時は自分の命より私を助けるって言ってた!」ろいう人が身近にいたとしても、期待してはいけません。今日まで味方だと思っていた人が明日になったら裏切る可能性もあります。自分の周りだけの災害であればまだ助け合える人もいるかもしれないですが、世界規模の災害が来たら誰も守ってくれる人はいません。

終身雇用を信じていてもどれだけ強く願っていたとしても会社はあなたを守ってくれません。どれだけ今の職場の居心地が良くてもある時突然、その秩序が乱れて環境が変わることだってあります。

コロナ禍で感じた人も多いですが、政府もあなたひとりひとりの人生を守ってくれる保証はありません。年金が確保されている高齢者を除いて。

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他人が「こんなキャリアに進めばいいよ!」「こんなスキル身につけておけば食いっぱぐれしないよ!」など様々な情報が錯綜とする世の中です。アドバイスをくれるならまだしも「嫌な未来を避けるなら俺についてこい」などと騙す人や洗脳する人だってたくさん世の中には存在します。

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最終的に自分の進路に判断を下すのは自分なんです。どんな情報を入手するかも全て自分でとりにいくのです。自分の人生を自分でデザインするスキルこそが本質的に1番必要なのではないでしょうか?

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