魔の交差点
「魔の交差点」という言葉をよく聞く。
なぜか交通事故が多い、危険な交差点。
あれはいったい何が原因なのだろう。
物理的な要因があるのか。
それとも心霊現象か……。
そんな交差点、あなたのまわりにもありませんか?
【交差点の花束】
その交差点を通ったとき、歩道の脇に花束が置かれているのが目に入った。
「ここで事故があったのか……」
よく見ると警察が設置したのだろうか、傍に看板があった。
『この場所で〇月〇日△時△分頃人身事故が発生しました。事故を目撃された方はお知らせください』
よく通る場所だったので少しもやもやしながら通り過ぎたのだが、しばらくするとまた新しい花が供えられていた。
そう、そこはよく事故が起こる魔の交差点だったのだ。
【魔の交差点図】
その交差点はこんなところだった。
片側三車線の幹線道路を斜めに細い道路が横切っている。
この細い道路は二台の自動車がすれ違うのがやっとの幅だが、抜け道になっているのか車の通行量はかなり多い。手前の細い道はさらに枝分かれしており、住宅街に続いている。
幹線道路にかかっている4つの横断歩道にはそれぞれ歩行者用の信号がついている。
濃いグレーの部分は高層マンション(マンションは他の場所にもあるが省略)。
この交差点はなぜ事故が多いのかおわかりだろうか……。
ある日、私は自らこの交差点でヒヤリ体験をすることになる―――。
【ヒヤリ体験】
その日、私は手前の横道から幹線道路を横断して向こう側へ渡ろうとしていた。
赤丸の地点まで来たとき、高層マンション二棟に阻まれ、視界はこんな感じであった。
その時、①の横断歩道は信号が赤、②と➂は青である。
この時の私の心理はこうであった。
「あっ、渡れる!早くわたらなきゃ赤になっちゃう!」
幹線道路の信号はいったん赤になってしまうと5分くらい待たねばならない。それが私をあせらせた。
①が赤なのはわかっていたが、右側から車が来ないのを確認すると②まで走ろうとしてしまう。
その時である。
左の死角から私の前を猛スピードの車が横切った。
危うく轢かれるところであった。
交差点を横切る車は道幅が広い幹線道路を渡らねばならないためかなりのスピードを出している。猛スピードの車が死角から急に現れ、私の額に冷たい汗が流れた。
この交差点は車がひゅんひゅん通る狭い道路になぜか飛び出したくなってしまう魔の交差点だったのだ。
【③から渡れたか】
この時私は➂の横断歩道を渡ることも考えた。
だが➂まではかなりの距離があり、信号が青のうちに渡れそうもない。
しかもマンションが道路ギリギリに建っているため、ビュンビュン走っている車のそばを通らねばならぬリスクもあった。
どっちにしろ、赤丸の地点から①が赤の時に幹線道路の向こうに渡ろうとするのは大変無謀で危険な行為であった。
それ以来、私はこの交差点を通る時は細心の注意を払っている。
しかし、考えることは皆同じと見えて、私がこの交差点で信号待ちしていると待ちきれずに渡ろうとする人が後を絶たない。
そのたびにヒヤリとしてしまう。
【もう一つの危険なケース】
もう一つの危険なケース。
向こう側から②を渡ってきた人が①が青にならないうちに矢印のように横切ろうとすることがある。これも本当にヒヤヒヤする。
赤丸の地点からは左から走ってくる車が全く見えないのでとても危ない。
車の方も信号が青のうちに交差点を抜けたくて急いでいるのだ。