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続・いたずら好きな友達の話

noteを始めて、さて何を書こうかと思ったとき、思い浮かべたのは数十年(!)の付き合いになる友達、Tちゃんのことだった。

Tちゃんとは誕生日は1日違い、星座も同じ、細木数子の六星占術も同じ。おまけに血液型も一緒という、奇妙な縁があった。性格は全く違うが、どんなパンツが好きかという話をしたときは完全に同意見だった。

先日Tちゃんの誕生日に久しぶりに連絡をとって、お祝いのメッセージとTちゃんのことを書いたnoteの文章を送ってみた。勝手にSNSにTちゃんのことを書いたりして、怒られたらどうしよう‥‥。少しだけ心配していたのだが、返信を読んだら爆笑してくれたみたいで良かった。
「もーたるんだ腹筋使ったよ~。あの頃は、えの自転車にいかに小細工してえを驚かせるか、に情熱を注ぎまくってたからね😂反省してマス」
とか言ってるが、絶対反省していない。
「いたずら好きな友達の話」で書いたいたずら以外にも、制服のポケットにチョークを入れられたり、トイレに行くのを阻止されたり。授業中お腹が痛くなった時、痛みのグラフを書かされたりしたこともあった(書くなよ)。
Tちゃんのいたずらに耐えた日々が数十年後、こうしてネタとして実を結ぶことになろうとは。耐えるものである。

Tちゃんと私はお互いに「行ってみたいけどちょっと個人的趣味すぎて他人は誘いづらい」というところによく二人で行った。
例えば堀内孝雄のコンサート。
当時Tちゃんは堀内孝雄にハマっていて(Tちゃんはおじさん好きだった)、川崎のホールでコンサートがあることを知って私を誘ってきた。
会場に入ってみると、周りはいい年配のお姉さまばかり。10代の私たちは完全に浮いていた。
「ちょっとー、どうするー?」
「まずい、若い子全然いないよー!」
などと突っつき合っていると、前にいたお姉さまが、
「堀内孝雄、好きなの?」
と問いかけてきたので、
「ハイッ!」「はいっ!」
と即答。
堀内孝雄はアリス時代の曲も含め熱唱、コンサートは大いに盛り上がった。
「ありがとぉぉーーーーう!!」
と叫んで去っていく堀内孝雄。付き合いで来た堀内孝雄のコンサートだったが、楽しかった。何より堀内孝雄グッズを買い込んで嬉しそうなTちゃんの顔を見ることができてよかった。

横浜スタジアムに二人で野球を見に行ったこともあった。
Tちゃんは大洋ホエールズのファンで、私は阪神タイガースのファン。ちょっと遠いけど、ハマスタ行ってみない?ということになったのだ。
私はそれが初めてのハマスタだった。当時のハマスタは今のようにおしゃれではなかったが、ハマスタが醸し出す野外球場の解放感とか、ビジターファンにも優しい雰囲気とか、そういったものは変わっていないように思う。Tちゃんは月間ホエールズを買って読んでいた。
途中で雨が降り、試合は1時間中断。Tちゃんと私は二人で1枚の新聞紙をかぶって雨をしのいだ。楽しかった。試合内容は全く覚えていない。
帰りに各駅停車の電車に乗ってしまったので、家についたのは午前0時頃だった。父親に怒られたが、1時間中断して各駅で横浜から帰ってきたんだもの、しかたないじゃん。
翌日学校でTちゃんに会って、
「怒られた?」
「怒られた。」
「やっぱりー?」
と笑いあった。

数年後、私はXJAPANのライブに行ってみたいと考え、Tちゃんに声を掛けた。
TちゃんはXJAPANと聞いてちょっとひるんでいたが、堀内孝雄の貸りがあるのでいやとは言えない。私たちはなるべく濃い化粧をして来ようと話し合い、当日を迎えた。
しかし私たちの化粧など、年末の東京ドームに集まったコアなファンの化粧の前には無いも同然。私はがんばって黒っぽい服を選び、アイラインを1㎝位の太さで描いてきたが、もともと奥二重なので、目を開けるとアイラインはほとんど見えなかった。Tちゃんもいつもより濃い目の化粧だったが、XJAPANに詳しいわけではないので、どんな化粧をしたらいいのかわからなかったに違いない。結局、私たちは浮いていた。

ライブは大熱狂。途中テレビと中継でつないだ曲もあった。そして終盤、XJAPAN のライブお約束のXジャンプの場面がやってきた時、Tちゃんがつぶやいた。
「シェーでやろう!」
なにーーーー⁉
XJAPAN ファンが最も楽しみにしている、最高潮に盛り上がるXジャンプという儀式で、私たちだけおそ松くんのイヤミになろうというのか、Tちゃんよ⁉真面目なXJAPAN ファンに見つかったら殺される‥‥‥。そうこうしているうちにサビが近づいてくる‥‥。
えーーい、もうやってしまえ!

5万人のXジャンプで揺れる東京ドームで二人だけシェーーーー!
5万人のXジャンプで揺れる東京ドームで二人だけシェーーーー!
5万人のXジャンプで揺れる東京ドームで二人だけシェーーーー!
5万人のXジャンプで揺れる東京ドームで二人だけシェーーーー!

私たちはやり切った。幸い周りのファンにはバレなかった。XJAPAN およびXJAPAN ファンの皆様、この場をお借りしてお詫び申し上げます。ふざけたことをして本当に申し訳ございませんでした。でも、本当に楽しかった。



会えばいつでもあの頃に戻れる、数十年の付き合いの友達。
私が持っている数少ない宝物、それがTちゃん。
いつの思い出も、隣にTちゃんがいたから最高の思い出になる。