Pet shop boys & girls

昼下がり、田舎のど真ん中の、だだっ広いショッピングモールの屋上の駐車場で、缶コーヒー片手に景色を眺めている。平日の屋上はガラガラで、店の出入口近くもスペースは空いていて。山が青くて、打ちっぱなしが2個見えて、海へと続く道路の芸術的なカーブ、紳士服や車メーカーの大きい看板なんかが。生ぬるい風が少しずつHPを減らしてく。街の未来に期待して作られた負の遺産たちが傾いて、揺れて、打ち込みドラムみたいなリズムを奏でている。集まっては散らばって、うどん食ってはそば食って、テレビで流行りを教えてもらって、大量生産された服を着るための余生。コーヒーがなくなり、店内へと向かう。イートインスペースには高齢者が結構いた。買った惣菜なんかを食べて時間を潰していた。スマホをいじっている人は一人もいない。本読む、ナンプレ解く、歯磨く、ヨダレ垂らしてる、そんな感じ。僕もいつかはこうならなくては。ペットショップにいく。ゲージがカーテンで隠されている。「ただ今の時間、生体の休憩時間です。13:00~14:00」との貼り紙。生体って言い方、生体って。それはここにいる僕含む皆さんのことじゃないか。ゲージにいるのはペットで、僕たちは実験動物です。店が閉まった夜中とか、この子達はどんな気分で、何して過ごしているのだろう。こいつらを助け出したい。鍵をあけて、この無駄に広いショッピングモールに解き放ちたい。もしかしたら知らないだけで、夜中にはそうして散歩してるのかもしれない。そうだといい。

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