NOW

宙に浮く毛の生えたビー玉が見える時、僕の心はとっても穏やかなんだ。歩道橋を渡っていると、真下を東北に向かう電車が通ったもんだから、僕の取り繕った偽善を捧げようと思ったんだ。誰かを救いたいとか、みんなに愛されたいとか、若い声で叫ばれてもなんにもできないよ僕には。僕にできることはいなくなること。人一人分のスペースと酸素を明け渡してナチュラルに忘れていただくこと。君がそうしたように。


遠い宇宙の今と違う時代を想う。ローソクの炎は揺れて、虹のトンネルは塞がれて、それでもまた来年には会える気がする。唐揚げをレンジで温めて、アヂッ、やりすぎた。見てるかい、僕はドジですよ、いつまでも、笑ってくれよ、孤独な人魚さん、僕の心はいま、とっても穏やかなんだ。

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