Descendents

10月4日、Descendentsのライブに行ってきました。大阪のゴリラホールというライブハウスでした。住之江公園駅の地下ホームから地上へ出ると、昔にこの駅で降りた事あるな、と思いましたが、いつ、なぜ来たのかは思い出せませんでした。少し時間があったのでサイゼリヤに行きました。「ただいまオーブンが壊れており、提供にかなり時間がかかります」と言われ、焦りましたが、ピザを注文、さてどうなる、と思っていたら速攻で半生のピザがでてきました。南大阪の洗礼を受けるも、冷静にトニックウォーターで流し込みました。ゴリラホールはとても綺麗でした。今年できたばかりの新しいライブハウスです。半券を切られ、ドリンク代600円を払い(痛っ)、Tシャツを買い、荷物を預け、フロアーの後方で構えていました。まず出てきたのはHEY-SMITHというバンドでした。ボーカルの猪狩さんという方が、このゴリラホールの名付け親だそうです。6人編成のホーンスカパンクバンドで、メンバー全員が暴れまくっていて痛快でした。それからDescendentsでした。僕は少し前へ出ました(PA卓横辺り)。ライブがスタートし、ほとんどMCもなく矢継ぎ早に繰り出される分厚い爆音の連続、安定したリズム隊、余裕をかますメンバー、カッコ良かったです。ボーカルのマイロは肩から水筒をぶら下げてました。それにしても圧がスゴかった。音が固まって迫りくる感じがしました。

ライブが終わり、客捌け中、ドラムのビル・スティーブンソンだけが自分の機材の後片付けをする為、ステージに残っていました。なんかシュールな光景でした。「ブラック・フラッグ」のメンバーでもあった、あのビルが、作業しているのを見てるのは、不思議な気持ちでした。多くの人が帰っていきますが、(まだビルがいるのに帰るのは申し訳ないな…)と思い、しばらく見ていましたら客席から突然、


「セット・リスト、プリィーーーズッ!!!」そう叫んだ男がいました。その声に反応した1人の外人スタッフが、めんどくさそうに床に貼られていたセット・リストを2枚剥がし、左手で目を隠し、右手で客席に放り投げました。群がる客の2人が、セット・リストをゲットしましたが、多分くしゃくしゃになっていたと思います。

一方でビルはそんな様子には目もくれず、マイペースに片付けを終え、捌ける所でした。「ビル、ありがとぉぉお!!」やはり誰かが叫びました。が、こちらを見ることもなく袖へ消えていきました。僕も心のなかで(ビル、ありがとう、)と言いました。僕はようやくフロアを後にし、駅へと歩き出しました。

外は涼しかった。住之江競艇場の入口前は、今どき珍しい「自転車無料停め放題スペース」になっており、痩せ細ったオッサンが3人ほど、夜の競艇場前をうつろな目でゾンビみたいにプラプラしていました。

住之江公園駅の改札をくぐります。ここは終点の為、ホームには電車がしばらく停まっていました。出発までの間、次々と汗だくTシャツの奴らが乗り込んできました。安堵の顔、赤ら顔、何かを成し遂げた顔、興奮冷めやらぬ人、クールな人、放心状態の人。車両内はだんだんと騒がしくなり、なんとなく俺たちは仲間だ、という空気感。まだここもライブの延長戦だと言わんばかりの。今、NYの地下鉄みたく、ラジカセでDescendentsかけたら、全員がサークルモッシュして暴れだすだろう。が、現実はそんなことなく、静かに電車は動き出しました。そして、それから、僕はイヤホンを取り出し、彼らの「Everything sucks」というアルバムを聴きながら帰りました。大好きなアルバムです。うん、とてもいいアルバムだ、と思いました。

西梅田駅に着く頃には、出発した時の奴らは、ほとんどいなくなっていました。これはこれでいつもの風景のはずなのに、なぜか少し寂しい気持ちになりました。


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